八代弁護士の発言、TBSどう謝罪?音喜多氏と共産議員の場外乱闘も

「暴力的な革命、党の要綱として廃止せず」発言
  • 「共産党は綱領で『暴力的な革命』を廃止せず」TBS番組で八代弁護士の発言が波紋
  • 綱領に載っておらず、共産党は直ちに抗議。TBSも謝罪へ。しかしネットで議論も
  • 破防法で現在も調査対象。維新・音喜多氏と共産議員がSNSで「場外乱闘」も

TBSの情報番組「ひるおび!」の10日の放送で衆院選に向けた野党共闘を取り上げた際に、コメンテーターの八代英輝弁護士が「共産党は『暴力的な革命』というのを、党の要綱として廃止してませんから」と述べたことについて、日本共産党側が猛抗議する騒ぎがあった。(※13日16:00 続報追記あり)

共産党機関紙「赤旗」によると、八代氏の発言を受けて、田村智子政策委員長が記者会見で「許されないフェイクだ。党として抗議するとともに、多くの市民と一緒に反撃し、事実を伝えていきたい」との見解を表明。志位委員長も同日のツイッターで「『番組としての謝罪と訂正』をきちんと行うことを求めます」とコメントした。

共産党は現行の綱領には、八代氏が述べたような「暴力革命」の表現は存在しておらず、TBSは誤りを認め、きょう13日の放送で謝罪するとみられる。しかし、この週末のツイッターは、共産党がいまでも暴力的な革命の方針を維持しているかを巡って議論が収まらなかった。というのも共産党が本当に暴力革命の方針を辞めたのかどうか疑う向きがあるからだ。

共産党の革命に対する考え方として有名なのが「敵の出方論」だ。1950年代以降、「革命が平和的か暴力的かは、敵の出方による」というもので、これが警察当局や公安調査庁が長年共産党を監視対象にしてきた。そして冷戦崩壊を経て、21世紀に入った頃、党勢が衰退した共産党は綱領を改訂。暴力革命の路線を否定し、ソフト路線を標榜してきたが、警察当局や公安調査庁は「暴力革命の路線を堅持している」との見立ては変えておらず、公安調査庁は破壊活動防止法に基づく調査対象であることを現在も公式サイトで表明している

それでも共産党への疑念が払拭されたとは言えず、衆院選で政権交代を視野に野党共闘路線を行うことには他の野党に懸念が残っている。特に国民民主党は同日、共闘を推進する市民団体「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」との政策協定取り交わしには参加しなかった。共産党はそうした懸念を打ち消そうと、志位委員長が同日、「敵の出方論」について「この表現は使わないことを明確にしたい」と述べたが、八代氏の番組内の発言そのものは、暴力革命が綱領に載っていないこそすれ、警察や公安当局の見解が変わっていないこともまた事実だ。

嘉悦大学教授の高橋洋一氏は「要綱で暴力的革命と発言したから間違いなので、破防法で調査団体であり暴力革命の方針に変更はないといえばよかった」と指摘。続けて「TBSも単に発言誤りというだけではなく、政府答弁も参考までに示してくれればよかったのに」と述べながら、「暴力革命の方針を堅持する日本共産党」と題した警察庁の資料リンク先を引用していた。

ツイッターでは国会議員間の「場外乱闘」も勃発した。日本維新の会の音喜多駿参議院議員も、警察の見解に基づき、「暴力革命の路線を捨てておらず」と言及したのに対し、共産党の宮本徹衆議院議員が「デマはやめましょう」と抗議。音喜多氏は「ウソだと知っている?デマ?僭越ながら、書いてないから「デマ」だと言うのであれば、共産党が戦争法案だの汚染水だのと一方的なレッテルを貼ってきたこともよっぽどデマかと存じますが」と再反論。その際、高橋氏の引っ張ったリンクをここでも貼り付けていた。

果たして、TBSは共産党の主張のままに「全面降伏」してことを収めることを優先して別の波紋を呼ぶのか、それとも警察当局の見解なども踏まえた対応にするのか--。TBSがどのような形で八代氏の発言を訂正し、謝罪するのか注目される。

【追記:13日16:00】八代氏は13日放送の「ひるおび!」の番組内で「先週の私の発言についてですが、私の認識は閣議決定された政府関係に基づいたものでした。一方で、日本共産党はそれを度々否定していることも併せて申し上げるべきでした。申し訳ありませんでした」と謝罪し、頭を下げた。さらに今後に向けて「テレビで発言する者として、今後はより正確にバランスに配慮し言葉に責任を持っていきたいと思います」と誓った。

 

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