池袋事故・飯塚被告が実刑受け入れへ。ネットの注目は執行停止の有無へ

弁護士の間では見解分かれる

池袋暴走事故の一審判決で禁錮5年の実刑判決を受けた元通産省幹部の飯塚幸三被告(90)が、16日午前0時の控訴期限を前に控訴しない意向を固めたことがマスコミ各社で報じられた。事故の原因を車の異常にせいに主張するなど世間の反発を招き、ネット上で「上級国民」と呼ばれた飯塚被告だが、判決受け入れの報道に、ツイッターでは「意外といさぎよい」「最後の最後に誠意を見せた」などの好意的な反応がようやく散見された。

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一方で、「実際に収監はされない見通しが立ったのでは」「控訴して下手に争って世の中に晒されるよりも年齢、体調を理由に収監を免れる方がいいと踏んだんでしょ」などと疑いの目を向ける人も少なからず存在した。確かに刑事訴訟法第482条では以下のケースに当てはまる際は、「検察官の指揮によって執行を停止することができる」と取り決めており、

  1. 刑の執行によって、著しく健康を害するとき、又は生命を保つことのできないおそれがあるとき。
  2. 年齢70年以上であるとき。
  3. 受胎後150日以上であるとき。
  4. 出産後60日を経過しないとき。
  5. 刑の執行によって回復することのできない不利益を生ずる虞があるとき。
  6. 祖父母又は父母が年齢70年以上又は重病若しくは不具で、他にこれを保護する親族がないとき。
  7. 子又は孫が幼年で、他にこれを保護する親族がないとき。
  8. その他重大な事由があるとき。

特に飯塚被告が90歳の高齢であることから2の年齢要件、また自力での歩行困難なことから6の「不具」が相当する可能性がある。一部のメディアは実際に収監されるのかどうかも付言しながら報道するところもあった。

検察統計では、2019年に刑が確定した禁錮判決55件のうち、執行不能と決定されたのは2件に過ぎない。飯塚被告は加害者家族支援のNPO法人の関係者に「裁判所の決定に従い、収監を受け入れ、罪を償いたい」との意向を示したといい(TBSニュースより)、覚悟を決めているようだ。他方、弁護士の間で微妙に見方が別れており、ヤフーニュースの弁護士コメンテイターの間でも「検察官の判断で刑の執行停止が発動され、刑務所へ収監されない可能性はまだ十分にあります」(山岸久朗氏)との予想もあれば、「高齢を理由に執行停止となっている事案は少なく、本件でも、車を運転できていたことなどから、執行停止の可能性は低いのではないか」(佐藤みのり氏)と見る向きもあった。

事故で妻子を失った被害者遺族の松永拓也さんはツイッターで、「控訴しない方向との報道がありましたが、正式な確定は16日の24時をもってとなります。 確定するまでは動向を見守りたいので、コメントは差し控えます。 確定後に何らかの形でご報告したいと思っています」と静観する意向を示した。

 

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