子どものスマホゲーム請求で100万円超えも…家庭でできる対処法は?

コロナ禍でトラブル急増中
ファイナンシャルプランナー/キャリアカウンセラー/(株)イー・カンパニー代表
  • コロナ禍で家にいる時間が増える中、子どものゲーム課金トラブルが急増中
  • スマホやゲームを持たせない手もあるが、システムへの向き合い方を考える
  • パスワード設定などシステム的な対処もあるが、結局一番重要なことは…

こんにちは、ファイナンシャルプランナー/キャリアコンサルタントの八木陽子です。

先月、国民生活センターが「新型コロナウイルスの感染拡大が長引き、自宅で過ごす時間が増え、子供たちがスマートフォンやタブレットを利用した課金トラブルが増加している」との旨を公表しました。

2016年と比較すると、小・中・高校生のどの年代においても約1.5倍の相談件数の増加です。

オンラインゲームに関する相談のうち契約当事者が小学生・中学生・高校生の相談件数 出典:独立行政法人国民生活センター

幼稚園児のスマホゲームで高額請求

私自身、身近な友人から、幼稚園児に親のスマホを渡してゲームをさせていたら、翌月の携帯電話の請求料金を見て驚愕したという話は聞くことがありました。

通常は、未成年である子供が行った取引の場合、「未成年者契約取り消し」が有効となり、一部返金されることもあります。しかし、親のスマートフォンで、親自身が使用を許可し、親のクレジットカードもしくは携帯電話の請求で支払われる場合は、未成年者の取引と区別できませんので、支払わなくてはいけないケースも多いです。その金額が、子供のゲーム課金とはいえ、10万円~100万円以上に及ぶケースが報告されています

今回は、そんな最近の傾向を踏まえて、親として、どのように対応するのがよいのかを考えたいと思います。

kazuma seki /iStock

実は、先日、教育に造詣が深い方々と、ゲーム課金について話題になりました。

その際に、小さい子供には「ゲームをやらせない」「スマホを持たせない」という話もありましたが、今回は、いったんそれは脇に置いておきましょう。

教育的な意見には、ゲームそのものが未成年にとって中毒性が強いためNG、スマートフォンは子供に持たせないほうがよいという考えが存在します。かのスティーブ・ジョブズや、マイクロソフトのビル・ゲイツも、自分の子供にはスマホ利用を厳しく制限、14歳になるまで禁止したといったエピソードがあるぐらいです。

ある一定の年齢まで、子供にスマホを持たせない、ゲームをさせないというのは、高額課金を防ぐ一つの解決方法であることは間違いないですが、ここでは、子供がスマホやタブレットでゲームをするという家庭環境で、「課金」システムとどう付き合うかを考えてみましょう。

3種類の決済と4つの防止策

まず、ゲーム課金の支払いには大きく分けて、下記の3種類あることを知っておきましょう。

■携帯キャリア決済

ゲームをインストールしているスマホの毎月の電話料金に、課金の分を上乗せして、支払う方法です。携帯電話に上乗せされて払うので、決済している感覚がなく、子供によっては、キャリア決済を使えば、「ゲーム代は全部タダになる」という誤った認識を持った事件も出ているため注意が必要です。

■プリペイド決済

コンビニなどで決まった金額のプリペイドカードを購入して支払う方法になります。子供のお小遣いの範囲や予算内で課金ゲームをするには一番分かりやすい支払い方法です。

■クレジットカード決済

親のクレジットカードで支払う方法です。プリペイドのように端数の金額を気にすることもなく、キャリア決済よりも多額の金額にも対応しやすいため、大人自身がゲームをする方には、最も便利な方法といえます。ただ、高額課金につながりやすいです。

そして、いくつかの事例から紐解くことができる、親の防止策は下記になります。

(1)保護者用と子供用アカウントを区別する。

保護者用アカウントでログインすると、決済も保護者が行ったことになりますので、アカウントを分けることが大切です。

(2)パスワード設定やクレジットカード等の管理を徹底する。

パスワード不要で決済する選択をしないように注意しましょう。改めて、パスワード設定をしているか、また、親としてクレジットカードの管理は確認しましょう。

(3)決済完了メールに気を付ける。

日頃使っていないメールアドレスにメールがいかないように、メールアドレスの整理や再登録をしたほうがよいでしょう。

(4)子供自身がお金を使っている認識を持つ。

子供自身が、「お金の存在」を意識していないケースがあります。お金について知らない子にとっては、「ほしいものはほしい」となりがちです。お金の存在、価値、大切さに気づくというのも、トラブルを防ぐ大切な一歩になります。

ゲーム会社が、ビジネスとして提供する以上、今後も「課金したくなる仕組み」は続々と出てくると思います。

また、子供自身が中・高校生と大きくなるにつれ、ITスキルや知識が高くなり、決済完了のメールを親が読む前に破棄した、パスワードを突破できたなど、一定期間、親に気づかれないように、課金することも多いにありえます。つまり、システム的な防止策には限界があります。

Akarawut Lohacharoenvanich /iStock

親子でお金のコミュニケーションを

では、何が一番重要なのでしょうか。

「お金の大切さ」や「親のお金を勝手に使うことは悪い」ことを子どもに伝えることに尽きると私は思っています。

子供たちに、お金はどうやって手に入るのか、大切さは伝えているでしょうか。

家族とはいえ、人のお財布からお金を盗むような行為はいかに悪いことか、子供たちは知っているでしょうか。

お金が現金のみで存在した時代でも、親の財布からお金を盗む子供はいました。盗んで良心が咎めたり、見つかってこっぴどく怒られたり…。その時代と今と比較して、実は親が伝えるべき本質はあまり変わっていないと思います。

お金の大切さを教えることは、どこかの誰かが教えてくれるものでも、学校でもなく、いまだ家庭が中心です。ゲーム課金の対処方法は難しく考えすぎに、家庭の中で「お金」について話し合うことから始まると思っています。

子供が小さいときに、事あるごとにお金の大切さを伝えていくこと、お小遣い制を導入すること、ゲームの利用状況を見守りながらいくらまでならよいなど、お金のルールを決めること。

しっかりと親子でお金のコミュニケーションを持つことが一番の防止策ではないかと思っています。

 
ファイナンシャルプランナー/キャリアカウンセラー/(株)イー・カンパニー代表

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