尾身氏の病院“焼け太り”?アエラドットの煽り記事に「誤報」指摘相次ぐ

ワクチン予約騒動の「愉快犯」記者がまたも

朝日新聞グループのネットメディア「アエラドット」が24日、政府の新型コロナ分科会の尾身茂会長が理事長を務める医療法人が、コロナ補助金も含めて311億円以上の収益増だった裏で、有価証券の運用で130億円も増加した、と報じた。記事は、SNSの「尾身憎し」世論に火をつけ、ツイッターで「尾身理事長の医療法人」が一時トレンドワードに入る反響があったが、有価証券の位置付けをめぐって、企業会計に詳しいネット民から誤報やミスリードだとの指摘が相次いでいる。

尾身茂氏インスタグラムより

問題の記事はアエラドットの吉崎洋夫記者の“スクープ”として報じた「【独自】尾身理事長の医療法人がコロナ補助金などで311億円以上の収益増、有価証券運用は130億円も増加」。尾身茂氏が理事長を務める地域医療機能推進機構(JCHO)がコロナ患者受け入れの補助金を適切に運用していないのではという医療関係者の間の疑念を解き明かそうと、JCHOが公開している財務諸表を分析。吉崎氏の言うように、2020年度の当期純利益は前年比約168億円増の約200億円で、有価証券の運用額も前年度比130億円増の685億円になっている。

アエラドットは厚労省幹部にも取材し、「コロナ関連で受け取った補助金によって大幅に収益をあげて、それを間接的にでも投資に回していたとしたら、批判や疑問の声も出るだろう」などと問題視する論調になっている。同サイトは1日も補助金をもらいながら東京都内のJCHO傘下の病院で、コロナ専用病床の多くが空床になっていると指摘して反響があったことから、編集部や吉崎氏は“柳の下の二匹目のドジョウ”を意識したのかもしれない。

譲渡性預金であって株式投資ではない

記事が出た当初、目論見通りにツイッターでは、コロナ煽りの風潮に批判的なスタンスで知られる著名な医師たちや、現職国会議員、あるいは東京新聞の望月衣塑子記者らも反応した。Share News Japanやアゴラなどでもネットの反響をまとめた記事が作られ拡散された。

しかし、財務諸表をよく見ると、有価証券の運用額685億円は「譲渡性預金」として計上されている。「譲渡性預金」は第三者に指名債権譲渡方式で譲渡することができる無記名の定期預金証書のこと(参照:時事通信)に過ぎず、株式投資に回しているわけではない

「尾身憎し」一辺倒の嵐の中で、いち早く気づいたネット民の1人は「尾身さんのことを庇うわけではないですが、ミスリーディングする人がいそう」と懸念。この人は別のネット民から「譲渡するつもりの第三者は誰になるんでしょうか?」との質問に対して、「「譲渡できる」ということと「実際に譲渡する」ということは別です。譲渡性預金だから譲渡しなければならないとい性質のものではありません。短期的に、そして比較的安全に運用したいという場合には使われる手段です」と理路整然と解説してみせた。

他にも企業会計に詳しいネット民からは

有価証券運用は中身を確認してみれば全額譲渡性預金(他人に譲渡可能な定期預金)で実態は銀行に預けている預金。さも投機でもしているかのようなミスリード。

確かに130億増えてるけど、内訳は「譲渡性預金」。運用益で増えたのではなく、余った補助金の置き場にしただけだと思います。すぐ使わないお金は銀行預けますよね。

有価証券は資産であって収益ではない。内訳は譲渡性預金となっている。

どうやればこれが増加してるだけで医療法人の焼け太りにクラスチェンジするんだ。

などと続々と報道への疑念が相次いだ。

記事を書いた吉崎氏は、5月に新型コロナのワクチン大規模接種会場の予約システムを「検証」と称して、架空予約をし、システムに問題があったとの記事を書いたことでも知られる。この時は岸防衛相がツイッターで「不正な手段により予約を実施した行為は、本来のワクチン接種を希望する65歳以上の方の接種機会を奪い、貴重なワクチンそのものが無駄になりかねない極めて悪質な行為です」と猛抗議。実兄の安倍前首相もツイッターで反応し「極めて悪質な妨害愉快犯」と投稿して騒ぎになったが、当時の経緯を知るネット民からは

読み手の無知につけ込んで針小棒大に騒ぎ立てるのは今回も吉崎洋夫さん

などの指摘が出ていた。

 

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