もはや“徳政令”…立憲民主党「年収1000万円以下免税」が波紋

民主党政権元高官「ポピュリズムの極み」

立憲民主党の枝野代表が衆院選に向けた公約について、年収が1000万円以下の世帯に対し、所得税を税法の見直しや現金給付などで実質的に免除する内容を盛り込む意向を示し、この週末のネットで波紋を広げた。

枝野氏(衆院インターネット中継)

記事のソースは枝野氏が日経新聞のインタビューに応えたもので、ツイッターでは同党の左派系の支持層からは歓迎する声も上がった。しかし、枝野氏は、財源確保に向けて「現在45%の最高税率を引き上げる」との意向も示しており、1000万円を超える高所得の世帯には累進課税のさらなる強化を謳ったことにもなる。

記事を掲載した日経新聞の滝田洋一編集委員はツイッターで、現行の所得税の限界税率が「0%超~10%」の層で81%、「10%超~20%」が15%、「20%超」が4% という構成を示した上で、「「年収1000万円以下の世帯の所得税ゼロ」にしても低所得者が潤う分は限界的。「応分の負担」の受け皿となる納税者数も少ないように…」と財源的にも懐疑的だ。課税強化の当事者となる所得階層には、新型コロナ対策の最前線に立つ医師たちも多く、ある感染症医は「私たちこれ以上搾り取られるんですか」と嘆く。

元厚労省官僚のユーチューバー、おもち氏は「選挙の時期になると、この類の話が与野党から出てきますが、現役世代の収入・負担に大きなインパクトを与えている社会保険料の話などは大体敬遠されるんですよね」と社会保障費負担の問題を指摘。さらに「で、結局は現役世代の負担にハネ返ってくる。ハッキリ言うと、現役世代は政治に舐められていると思います」と苦言を呈した。

かつては左派系の人たちの間でも、枝野氏は「緊縮志向」と批判されることが度々あったが、自民党総裁選の圧倒的な報道量で注目が落ちるあまり、窮余の一策として出したような公約は、ほとんど「徳政令」とも揶揄されかねない内容だ。

民主党政権で官房副長官を務めた、松井孝治・慶應大学教授は「法人税への累進課税。ポピュリズムの極みと大企業敵視。もう完全に共産党と連立組めますよね、立憲民主党さん。いやはやなんとも」と嘆息。日本維新の会の音喜多駿参議院議員は「立憲民主の経済政策は、もう共産党と見分けがつかない。金持ち・金稼ぎをここまで「悪」と断じる制度思想には寒気すら覚える。いくらなんでもここまで酷くなかったはずなんだけどな。これが野党共闘、か」と痛烈に皮肉った。

 

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