「官房長官に萩生田文科相」朝日新聞の組閣誤報が注目

問われる「エゴスクープ」
朝日新聞デジタルより

自民党の岸田新総裁の党・政権人事をめぐり、報道機関の速報合戦が毎度のことながら“虚実”ないまぜの微妙な展開を見せている。

朝日新聞は30日17時49分付で、幹事長に甘利明税調会長、政調会長に高市早苗前総務相、総務会長に福田達夫衆院議員を起用する方向と報じた一方で、デジタル版で「政府の要となる官房長官には萩生田光一文科相を起用する方針だ」と配信した。

しかし、NHKニュースはその約1時間後、「松野博一 元文部科学大臣を起用する意向」と報じた。日本経済新聞、時事通信、産経新聞なども18時台以降、松野氏の官房長官就任の流れを報じた。

この顛末をめぐり、ツイッター上では自民党支持層から批判層まで朝日新聞の「誤報」を厳しく指摘していた。ただ、萩生田氏の官房長官起用説は前夜の時点で毎日新聞や東京新聞がネットで報道。一夜明けたこの日午前には、共同通信も配信していたが、“覆った”格好だ。実際に人事案として浮上したのは事実だが、特定の党幹部の構想に依拠しすぎたか、なんらかの事情で確定する前に変更された可能性もある。

正式に発表されるものを他社より早く書く特ダネは「エゴスクープ」との批判がつきまとっているが、朝日新聞の報道の正確性への疑義が問われるだけでなく、記者クラブがスクープ競争に注力するポイントがこれまで通りでいいのかという本質的な問題もありそうだ。

 

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