【独自】「小池+上田」新党に鳩山マネー注入という亡国の悪夢

2日の「同盟交渉」が行方を握る
2021年10月02日 00:02
SAKISIRU編集長

都民ファーストの会が国政政党旗揚げに向けた記者会見を10月3日に行うことが発表されたことで、1日夕方、政界とメディア関係者に激震が走った。

総裁選を終えたばかりの自民党は党・組閣人事の真っ最中で間隙を突かれた格好。ある自民党議員は「コップの中の争いに注力しすぎて完全に油断していた」と打ち明ける。野党側でも予期していた勢力はほとんどいないのではないだろうか。筆者も総裁選の喧騒の最中、小池氏の「不気味な沈黙」に嫌な予感を少し覚えつつも、ここ最近、小池氏周辺への取材が滞っていたこともあり、正直なところ不意を突かれた点では同様だった。

9月29日、1都3県テレビ会議に出席した小池知事(東京都「知事の部屋」より)

上田新党と鳩山新党の不気味

しかし、数日前、小池新党と地下水脈でつながりかねない気になる情報を入手していた。サキシルでも以前掲載したが、前埼玉県知事の上田清司氏による新党構想がこの夏明らかになっており、小池氏との連携の可能性を含めて、上田新党の動きがどうなるか、総裁選の喧騒の裏で密かな注目ポイントになっていた。

そして9月中旬ごろから解散総選挙を見越したように「知る人ぞ知る」レベルでさまざまな動きが出始めていた。まずは以前取材した官僚が役所を退職し、上田新党の旗揚げを視野に地元で政治活動を始めた。そして同じ頃、上田新党への合流の可能性も一時取り沙汰された無所属の柿沢未途衆議院議員が距離を置いたという情報も入ったかと思えば、逆に、他にも総選挙に向けて地元活動をしている候補予定者などから、上田氏が入った2連ポスターが増え始めた話も聞いていた。

上田清司氏公式サイトより

そうした中で興味深い情報があったのがこの総裁選の投票日のことだ。政界関係者によると、首都圏である野党の衆議院候補予定者のところにある勢力が「引き抜き」をかけてきたというのだ。まさに戦国時代の調略そのものだが、暗躍しているのが鳩山由紀夫の長男、紀一郎氏が“新党”として旗揚げした政治団体「日本先進会」。その関係者が引き抜きの条件として提示したのが1人1000万円の公認料。しかも上田新党と50人規模で擁立することも視野に入れている「合流話」も申し入れてきたというのだ。

鳩山マネーが新党の原動力に?

交渉の話の中身は事実だが、“鳩山新党”が本当に上田新党との合流をそこまで詰めきれているのか、まだ微妙なところだ。ただ、鳩山紀一郎氏が昨年6月から新党結成をめざしてYouTubeで動画発信を始めるなど動き出したことは共同通信などでも報じられ、周知の事実だ。

そして上田新党の側から見れば、2つの課題がある。カバン(資金)と看板(知名度)だ。前者については、往年のみんなの党くらいの30人規模で当選者を出す政治勢力を目標にしているとなると、5〜10億程度の軍資金がいる。上田氏にそこまでのスポンサーがいるのかは知らないが、この額を水物の政治活動に出す物好きは日本でそう多くはない。しかし、かつて民主党を政権与党まで押し上げる原動力となった「鳩山マネー」ならそれが可能だ。

鳩山由紀夫氏(首相時代、官邸サイト)

鳩山氏の資金力と政治的野心が今も健在なのは明らかだ。その証拠に、総務省に昨年出された政治資金収支報告書によると、ある元民主党議員が近年発足した政治団体には鳩山由紀夫氏個人から950万円の寄付と800万円の借入金、計1750万円を計上している。

上田新党の課題に話を戻すと、2つ目の新党の看板は、埼玉で4期知事を務めた上田氏といえども知名度は県内ローカルに限られる。だがここに小池新党とのM&Aが成立すれば、「看板」を手に入れることが可能だ。小池氏サイドにとってもメリットは小さくない。小池氏本人は議員たちをまとめ、党運営といった地味な裏方の作業はできないし、都民ファの側近議員たちも政治経験の浅い若手や中堅でも国政未経験でおぼつかないところがある。海千山千の上田氏がここにある程度の年季の入った現職、元職の議員たちを引き連れてくれば、足場は築くことができる。

なお、小池氏サイドと上田新党はまだ正式に同盟関係になったわけではない。幕末の薩長同盟に例えれば、京都・二本松の薩摩藩・小松帯刀邸で桂小五郎と西郷隆盛が同盟のための最終交渉をこれからする段階のはずだ。政界関係者によると、「同盟会談」は2日、東京都内で行われる見通しで、都民ファの荒木千陽代表と上田氏が面会して条件交渉をするとの話が出ている。会談が無事に実現し、話がまとまるかどうかだろう。

仮に3日の記者会見に上田氏やベテラン政治家が出てくるようだと、立憲民主党の右派への動揺を誘い、国民民主党も合流するかどうかさらに話題性が大きくなるかもしれないが、小池氏が1日夕の都庁からの退庁間際に会見に出ないと明言した以上、出席者が荒木氏ら都民ファ関係者にとどまるなら初動の勢いはそこまで出ないかもしれない。

「見えない侵略」の問題点

一方で、永田町では1日深夜になり、鳩山由紀夫氏や紀一郎氏らが東京都内の選挙区で出馬するという話も駆け巡り始めている。このあたりは自民党や他の野党関係者などを揺さぶるための情報戦の一環の可能性もあり、半信半疑なところだが、鳩山氏サイドが復権に向けて動き出しているのは間違いない。

いずれにせよ、仮に小池新党と上田新党の合併が成立し、そこに鳩山マネーが注入されるような事態があると衆院選に向けて大きな話題になるだろう。しかし、鳩山氏を巡っては中国・韓国との親しすぎる関係性への懸念があまりに大きい。それどころか、5年前にはアジアインフラ投資銀行(AIIB)の顧問に鳩山氏が就任したように、露骨な利害関係があり、いわゆるチャイナマネーが鳩山氏でロンダリングされ、新党勢力の資金源になる構図も理論上はありうる。

台湾やオーストラリア、カナダなどでは中国による政界工作マネーが現実に問題となったが、日本は経済安全保障の観点からこうした問題の議論は保守派のごく一部でしかなされておらず、保守、リベラル問わずにリスクに向き合う他国と差異は大きい。自民党総裁選でも河野太郎氏が親族企業と中国企業の取引関係が批判されたことが敗因の一つになったが、チャイナマネーの政界工作は、決して「ネトウヨのエンタメ」ではない。総裁選の最中、自民党がほとんど政界への世間の関心をさらった中で、この新党への動きが台風の目になるのだろうか。

【追記  21:00】政界関係者によると、荒木氏と上田氏の会談は見送られた模様だ。都民ファ側の都合で申し入れたという。本当に延期なのか、このまま交渉が暗礁に乗り上げるのか、引き続き注目を集めそうだ。

【訂正  3日2:00】荒木氏の名前の漢字と、薩長同盟の会談場所訂正しました。

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