横浜市・山中竹春市長が「リサーチフェロー」について絶対に答えないのはなぜだろう?

“回答しない”という態度が雄弁に語るもの
ライター
  • 山中市長の3回目の会見で、経歴詐称について再三に渡って質問するも、回答避ける
  • 本人は「リサーチするフェロー」、「リサーチ目的のフェロー」などと不可解な説明
  • 「はい、そうです」と答えれば済む話なのに、なぜか絶対に答えない

横浜市の山中竹春市長は9月30日、市長定例記者会見を実施。旧市庁舎の売却問題などについて説明したのち、質疑に応じた。記者(私)は改めて経歴詐称問題について質問した。やりとりは以下の通り。

横浜市の山中竹春市長。寺澤有氏の質問に答えた直後の表情(筆者撮影)

――NIHの役職名について、確認されましたでしょうか?
前回も申し上げた通りなんですが、期間に関して2002年7月から2004年6月まで在外研究としてNIHに在籍しておりました。今NIH時代の上司に在籍、在職の期間を確認致しまして、期間に相違はございませんでしたね。それで、NIHのほうから許可の書類が出て、ビザを取得して行ったということで。今そういった書類に関して問い合わせをしているところでございます、はい。

――役職については?
前回申し上げた通りなんですけど、リサーチするフェロー、リサーチ目的のフェローとして、一般的な用語としてリサーチフェローを使ったということなんですが。

ここで早くも司会者が妨害行為を始めたが、「まだ途中です!」と言い返して、質問を続けた。

――ということは、NIHの組織内部の役職であるリサーチフェローには該当していなかったということ?
前回申し上げた通りなんですが、研究員を示す一般的な用語であるリサーチ目的のフェローとして、リサーチフェローや、リサーチャーとの言葉を使っておりました。

――つまりNIHの役職ではなかったということ?
前回申し上げた通りでございます。

――「はい」か「いいえ」でお答え頂きたいんですが?

司会者の女性が再び割って入り、こう言った。

「同じ質問と回答が繰り返されていますので、次の質問に映らせていただきたいんですが」

市長はそれまで司会者に指名を任せていたが、ここで自ら他の記者を指さす仕草をした。

「はいかいいえで答えて頂きたかったんですが」と言って負けじと質問を続けたが、市長の意を汲んだ司会者がひときわ険のある声を張り上げた。

「ずっと同じ質問と回答なので、次の方に移らせてもらいます!はい、神奈川新聞××さん」

結局、NIHの役職としてのリサーチフェローに就いていたかどうかは最後まで答えず、私の質問は打ち切られてしまった。

フリージャーナリスト寺澤有氏が「感染症や吸血鬼の映画を見るか?」と質問すると、市長は水を吹き出して笑った。一見風変わりな質問こそ実はとても良い質問なのかもしれない(筆者撮影)

「はい、そうです」と言えないワケ

これまで3回に渡って記者会見で直接市長に繰り返し質問したが、「研究員であったことに誤りはない」、「研究員を表す言葉としてリサーチフェローと名乗った」など、質問とはズレた答えを延々と繰り返すばかりで、すべて途中で打ち切った。

逆に言えば、ここまで何度も質問をしたおかげで、明確になったことがある。「NIHのリサーチフェローでしたか?」という質問に対して、山中市長は“絶対に答えようとしない”ということだ。司会者である横浜市職員も「ずっと同じ質問と答えになっている」と認め、これ以上やり取りをしても意味がないと判断した。敢えて好意的に解釈すれば、「山中市長はこれ以上回答しません、これが結論です」と市役所が認めたということだ。

そもそも本当にNIHリサーチフェローであったなら、たった一言「はい、そうです」と答えれば済む話である。そう答えずに、質問とズレた回答を延々と繰り返すのは、なぜなのだろうか? 読者の皆様には、是非考えて頂きたい。

よく見ると、側頭部には白髪もあるようだ(筆者撮影)

あるいは、リサーチフェローと名乗っていたことについて本当に問題がないと山中市長が認識しているのであれば、私の質問に対して、最初から「はい、NIHのリサーチフェローをしておりました」と答えるはずである。その後、記者から問いただされた上で「いや、リサーチフェローというのは、研究員を意味する言葉として名乗っていただけなんです」と答える流れになるはずだ。それなら、一応は筋道が通る。だが、実際は記者から問いただされる前から先回りして、自ら進んで屁理屈を並べた。

一番最初に質問した時のやり取りを、振り返りたい。

「アメリカ国立衛生研究所(NIH)でリサーチフェローの肩書きを持っていたのは事実ですか?」

との質問に対して、いきなり「詐称はございません」と答えた私はこの時点では、詐称のサの字も言っていないのだ。

「あなたはサキシルの記者ですか?」
と聞かれて、
「私は記者の身分を詐称しておりません」

と答えたら、おかしいではないか。山中市長の回答は、最初から何か異常だったのだ。

山中市長が自身に向けられた疑惑について“絶対に回答しない”という態度を貫いたことは、何よりも雄弁に事実を語っているのではないだろうか。疑惑を晴らすべく説明しようという姿勢は、まったく見られなかった。あるいは、「何も説明できなかった」というべきか。あとは横浜市民の方々が、どう判断するかであろう。

※以下は余談ですが、私(西谷)は今月から1〜2か月ほど香港に取材のため滞在するので、しばらく市長会見には出席できません。決して出禁を言い渡されたわけではないので、ご了承ください(こんな釈明が必要になっている時点で、横浜市長と横浜市役所の対応はどうかしている思うのだが)。

 

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