岸田新政権誕生、中国メディアが特に気にしていたことは?

有識者「人権カード切らないか警戒必要」
ライター

岸田文雄首相の誕生について、中国メディア「環球時報」が記事を公開した。記事中には、「特に注目したいのは、岸田氏が『新政権では中国の人権侵害に対応する首相補佐官を設置したい』と語っていた点だ」と書かれていた。日本の対中政策への関心の高さがうかがえる。

岸田首相の誕生を伝える環球時報

国家安全保障担当の首相補佐官を兼務する形となった木原誠二官房副長官について、こう説明した。

「木原誠二氏はかつて環球時報の取材を受け、『中国人を含めた多くの外国人観光客が日本に旅行に来ることを希望しており、そのための政策や措置を考えている』と語っていた。中国に対して前向きなシグナルを送っていた人物が、どのように“中国に対応する”のか、今しばらく観察を待ちたい」

中国国際問題研究院アジア太平洋研究所特任研究員の項昊宇(シャン・ハオユウ)氏が、以下の見解を述べた。

「首相補佐官の設置は、岸田氏個人の政策理念である『価値観外交』を反映したものですが、一方では、党内の対中強硬派の求めに応じたものと言えます。補佐官の実質的な影響は限られていますが、今後の岸田政権が“人権カード”を切って香港やウイグルなどに干渉し圧力をかけるようなことがないか、警戒が必要です」

穏健派の岸田首相を歓迎か

特別に危険視はしていないが、警戒が必要との見方だ。項氏はこう続ける。

「まもなく衆院選があり、来年は参院選もある。日本社会の中国に対する空気感は思わしくない状態で、岸田政権が対中関係を改善できるかどうか、あまり大きな希望は持てないだろう」

「バランスをうまく取り、党内の右翼勢力のネガティブな言動を抑え込めるかがポイントになるでしょう」

項氏は岸田首相について、

「新内閣は論功行賞で新味に欠ける。各方面のバランスを取った結果だが、岸田氏の穏健で慎重、バランス重視の考えが反映された」

とも解説した。中国国際問題研究院は中国外交部直属の研究機関であるため、中国政府も、これに近い見解を持っていると見て良いだろう。

このほか、新浪財経は「岸田文雄が日本の100代首相に任命 核兵器使用に明確に反対」との見出しで紹介。

「広島出身の岸田氏は、核兵器が故郷に与えた影響を知り、明確に核兵器反対を唱えている」

とした。

高市早苗氏などの対中強硬派とされる人物ではなく、比較的穏健な岸田氏が日本のトップになったことを、中国はひとまず歓迎しているようだ。

 

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