日本のラストチャンス!学びはいつでも始められる:マイクロソフト三上執行役員に聞く

「DX化に不可欠なマインドセット」(後編)
2021年10月09日 06:00

デジタル庁も発足した今年は、日本がようやくDX(デジタルトランスフォーメーション)元年を迎えたと言える。だが、日本の社会人は、他国と比べて「自ら学ぶ」文化がないといわれている。世界で急速な技術革新が進む中、キャッチアップしなければ企業も個人も、取り残されるのは自明の理だ。

誰もがデジタル化対応を余儀なくされたコロナ禍は、ある意味チャンスなのかもしれない。日本マイクロソフト執行役員として日本企業のDX化に取り組む三上智子氏に、人生100年時代を生き抜くためには、どういう心構えで新たな技術と向き合えばいいのか、話を聞いてみた。

三上 智子(みかみ・ともこ) 日本マイクロソフト執行役員。2001 年Indiana University – Kelly School of Business (MBA) 修了。デル株式会社を経て2005年日本マイクロソフト株式会社入社。経営企画、米国本社 Strategic Finance Planning、グローバルOEMパートナーマネジメント部門を経験。2014年 windows及びSurface製品マーケティング部門統括責任者。 2016 年 業務執行役員。2020 年 執行役員 コーポレートクラウド営業統括本部長、同年5 月執行役員 コーポレートソリューション事業本部長。

今が日本のラストチャンス

日本のDX化が大きく遅れていることは、コロナ対応で更に浮き彫りになりました。今回、政府がコロナ対応に苦慮しているのは、データが無いからです。日本は自治体の数が多いうえに、自治体ごとにデータがバラバラに存在していて連携していないのも根の深い問題です。行政が変わっていくのは時間がかかります。新しいデジタル庁にも非常に大きな期待をしています。ただ、我々の生活が大きく変わるまでには時間がかかるでしょう。

そうした中で、私はまずは企業から変わっていけるのではないかと期待しています。コロナをきっかけに、誰もがクラウドのことがわかるようになりました。DXという言葉が様々なところでもてはやされるようになり、誰もがデジタルの力を実感しました。今が日本のラストチャンス、ここで変われなかったら変われないくらいの意気込みで、企業の皆様には身近な課題から一つ一つ、クラウドサービスやデジタルの活用を検討いただきたいです。

学ぼうと思えば、いつだって始められる

誰であっても学ぶのに遅すぎるということはありません。仮に今デジタルに疎かったとしても、人はいつからでも学ぶことができます。高度な技術者になるのは別としても、やり方を学ぶことで誰でもすぐにできます。弊社でもスキリングに注力しています。社内でのスキリング教育と同じものを、パートナー企業にもラーニングプラットフォームを作って提供しています。

三重県伊勢市で創業100年以上の老舗飲食店『ゑびや』様は、AI分析によって来客予測をしています。このシステムでは、どの時間帯に何人が外を歩いていて、何人が店に入るかなどを予測するのですが、その的中率は90%以上といいます。いまではそのソリューションを他の小売・飲食業などに販売しているのです。もともと店舗で働いていた方が、今ではデータサイエンティストとして活躍されています。店員をやられている方が業務のことは一番わかっていますよね。

老舗飲食店「ゑびや大食堂」での実体験ノウハウをもとにAI分析で飲食店のDXを支援するEBILAB(日本マイクロソフト社お客様事例サイトより)

このように、学ぼうと思えば、いつだって学べるのです。クラウドの技術によって、いま全員が安価に最新技術にアクセス出来るようになっています。アプリケーションひとつとっても、弊社でもパワープラットフォームというサービスがあり、パワーポイントのスライドを作るような感覚でアプリケーションを構築できます。弊社では、一社でも多くのお客様にクラウドを身近に感じていただき、活用いただきたいです。

画一性を改め多様な働き方認める時代に

生産性もデジタルの活用度によって向上しますが、みんな右向け右ではなく、多様性を尊重できる社会、そして働く環境の実現が、新しいテクノロジーを使いこなしていく”成功のカギ”といえます。

日本企業はいまだに全員が9時に来て17時に帰るという昭和の高度成長期の画一的な働き方を引きずっているところがあります。残業も、デジタルツールを活用すれば生産性が上がるのに、会社に絶対来なければならないという考え方が根強いです。

monzenmachi /iStock

これからの日本は、いろんなライフステージにいる人が、いつでもどこでも働けるようなフレキシブルな働き方を作ることが重要です。古いやり方にこだわるマインドセットを変えて、多様性を受け入れていくマインドの醸成が大事だと思います。

これから日本は人口減少時代となり人がどんどん減っていくのですから、子育て中の人にも介護中の人にも、社会で働く一員になって欲しい。この国が今後、移民をたくさん受け入れるとは考えづらいですし、人口減少時代には潜在的な労働者を社会復帰させることが重要になってきます。定年退職した人が復帰して活躍できることも大事になってくるでしょう。

様々なライフステージにいる人が、それぞれの形で自分の可能性、得意領域を最大限に活かして社会参画できる世の中になってほしいです。そして、多くの人達の活躍を支えるクラウドサービスやデジタルツールを一人でも多く、1社でも多く使っていただけるよう貢献していきたいと思います。

タグ: ,

関連記事

編集部おすすめ

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

過去の記事