横浜市・山中市長の日本語崩壊「AではあるがAではない」に等しい論理矛盾
追及の議員「両方とも言えるなんて絶対にあり得ない」横浜市議会の委員会で10月6日、公明党の行田朝仁議員が山中竹春市長に質問し、市長の経歴詐称問題について追及した。

まず、早稲田大学政治経済学部の卒業年について市長は1996年と明言。だが、その後質問が進み、NIH組織内の役職一覧を提示したあたりから、質問と回答が噛み合わなくなった。
――2002年にNIHに赴任した時はどの役職だったのか、お答えください(行田議員、以下同)
「九州大学から在外研究員としてNIHに赴任をしておりました」(山中市長、以下同)
――このなかのどれか、教えて頂きたい。
「九州大学からの在外研究員として、派遣をされておりました。しかしながら20年も前のことですので、NIHのなかでもかなり改変等もあった可能性もございますし、私としては、在外研究員として赴任をしていた。研究生活を送っていた、その事実に相違はございません」
可能性としては、①役職がなかった、②把握していない、③Student Opportunity(=学生への機会提供)のいずれかではないかと考えられる。
――いつからNIHのリサーチフェローだったのでしょうか?
「従来から申し上げておりますが、リサーチフェローという言葉は、研究員に相当する一般的な用語でございます。研究員として赴任したのは、2002年の7月でございます」
――研究室の提供や報酬はあったのか?
「NIHのプログラム体系、こちらにございますものと、私が約20年前に行っていたもので相違がある可能性はありますが、私が約20年前に赴任をした当時は、研究員としてラボラトリーに入る。そういったプログラムに参加をしておりました。多くの研究者がNIHに研究職として行く場合は、どっど、いずれかのラボラトリーに入る。それが一般的でございます」
ビザについての質問もあった。
――J1ビザでは就労ではなく交流になる。J1ビザではNIHにリサーチフェローとして受け入れられないのでは?
「アメリカで研究生活を送る多くの人間が、最初にJ1ビザを取ります。J1ビザは外務省のHP等で交流とかそういった用語を使われることもございますが、就労ビザの一つとして考えられております。実際に、J1ビザを取り、NIHから給料をもらう。これは就労だと考えておりますが、そういったことがJ1ビザで可能となっております。」
「よく分からないんですけど…」
行田議員はスライドに2つの選択肢を提示し、問題の核心に迫った。
――市長は①NIH固有の役職で博士号が必要となるリサーチフェローなのか。②それとも、単に研究をしている人指す言葉で研究者なら誰でも名乗れるリサーチフェローなのか。1か2でお答えください。
「1も2も両方あるかとございます。NIH固有の定義としてそういったものが定められている場合もあるのかもしれませんが、リサーチフェローという言葉は、極めて多くの研究者を含みうる言葉であり、研究者としまして、リサーチするフェロー、研究員、さまざまな言葉で、えー、研究員を表すことが一般的かと考えております」
説明として完全に破綻しており、行田議員もこう評した。
「1も2も両方とも言えるなんてことは、普通、と言いますか、絶対にあり得ません。そういうことをおっしゃる、何かを隠されている印象が残らざるを得ないわけであります」
――リサーチマップなどでNIHリサーチフェローとしているが、こういう表現をしてきたのか?
「そちらにそうございます限りは、そうだと思います。先ほどの説明を細くいたしますが、修士卒の院生でも、リサーチフェローのポジションにつける施設はございます。日本でのいくつかのリサーチフェローの定義を見ますと、ものすごく曖昧です。ばらばらです。なかには、修士の段階でも、あるいは博士の段階でも、えー、リサーチフェローになれる。そういったことで助成をしていく制度もございます」
行田議員は「NIHリサーチフェローは、こういう人だと書いてある。それに合う人かと聞いたら、『そうでもあるし、そうでもない』と。どっちなのかよく分からないんですけれども」と語った上で、質問を続けた。
――選挙前になって急にリサーチフェローをやめて、研究員という肩書きに変えられております。なぜ変えたのでしょうか?
「従前より、リサーチフェロー、フェロー、研究員、そういった言葉を互換性を持って使用しておりました。たとえばスペースがあるとかないとかの関係で、リサーチフェローを使うこともございましたし、スペースによっては、研究員、フェロー、そういった言葉を使うこともございました。いずれも互換性があると考えて使用していた次第でございます」
――大学院生などがリサーチフェロー名乗っても、研究者だから良いということになるんでしょうか? はい、いいえをお願いします。
「さまざまな定義がございますので、リサーチフェローという言葉は、極めて研究者のなかでバクっとした曖昧な言葉かと存じております」
こうして質疑は終わった。注意深く質疑を見てみると、多くの質問に対して会話のキャッチボールが成立していないことが分かる。「これはリンゴですか?」と聞かれて「リンゴは赤色です」と答えるような場面が目立ち、議会の質疑として正常に機能していないように見えた。
特に、「1も2も両方」というのは、説明としておかしいのではないか。本当にNIHリサーチフェローなのだったら、堂々と「1です」と答えれば良いだけだ。山中市長の回答は、言い換えれば「AではあるがAではない」と言っているに等しく、完全に破綻している。山中市長の説明を聞いて納得できる市民は存在するとは、とても思えない。
(市長の追及はパワハラ疑惑でも。続きはこちら)
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