孫正義氏にチャンス到来 ⁉︎ ビットコイン、ブラジルで法定通貨化の動き

「大国」参入のインパクト
2021年10月09日 06:00
ジャーナリスト/SAKISIRU副編集長

ビットコイン価格が600万円を超えている。きっかけは米FRBのパウエル議長が「中国のようにデジタル資産を全面禁止することはしない」と発言したことだった。中国の仮想通貨全面禁止を受けてビットコインは450万前後まで下がっていたが、今回米高官のお墨付き発言で投資家の安心感が増したことで値上がりをしたようだ。

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ブラジルでビットコインの法定通貨構想

9月にビットコインを法定通貨としたばかりのプエルトリコのブケレ大統領も安堵していることだろう。ビットコインの値上がりによって、国民の資産も一気に増えたのだから。ブケレ大統領のツイートによると、すでにエルサルバトルの国民の半数に当たる300万人がビットコインのウォレットを使っているという。

中南米の国々はエルサルバトルに倣って、法定通貨のビットコイン化を検討している国も多いが、今度は大国ブラジルでその動きがはじまったようだ。ブラジル連邦共和国の連邦議会議員で連帯党党首でもあるAureo Ribeiro氏は「近い将来、ブラジルでも法定通貨にする動きがある」と発言した。同氏はビットコインが法定通貨となる法案が承認される可能性が高いとみているようだ。

同氏は「ビットコインはまもなく、ブラジルの通貨になるでしょう」と議会公式サイトの動画音声で語った。「ビットコインで家や車、マクドナルドのハンバーガーも買えるようになる可能性があります。他の国でも起こっているように自国の通貨になるのです」(同氏)。エルサルバトルのように、既存通貨のドルと並行してビットコインを法定通貨として受け入れるのかは明かされていないが、おそらく本当に採用するのならば併用の可能性が高いだろう。

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1日で「100万円が1円」になる南米の法定通貨

ブラジルでとったアンケートでは、ビットコインを自国通貨に採用することについて、なんと48%もの人が賛成しているという。円という法定通貨の安定度が高い日本では全く考えられないことだが、ブラジルのレアルという通貨はインフレのたびにデノミネーションを繰り返してきた過去がある。

インフレに悩まされることが日常の国にとっては、金と同様に「インフレヘッジ」資産とも言われているビットコインは、より受け入れやすいものだろう。ビットコインの位置づけは日本のように「キワモノ」では決してないようだ。

同じ南米国であるベネズエラでは、今月1日、ハイパーインフレによって、過去3年で2回目となるデノミネーションを実施した。通貨切り下げでなんと“100万分の1”になってしまった。「ボリバル・デジタル」という世界初のデジタル通貨が発行されたものの、誰も新貨幣の価値を信用せず、ビットコインを所有しようとする人が多いといわれている。

日本円に例えれば、100万円の貯金がいきなり1円の価値しか無くなるというのだから、既存の通貨が信用されないのは無理もない。ブラジルリオの貨幣価値はここまでひどい状態ではないものの、既存の法定通貨が不安定な南米では、世界で発行数2100万枚の限られた価値が認められているビットコインの信用性が相対的に高くなるのは必然だろう。

ブラジルのような南米の大国が仮に採用すれば、他の中南米の小国がビットコインを採用しない理由はなくなるだろう。一気に地球規模のビットコイン経済圏が形成されることも予想される。2100万枚しか無い有限の資産は、利用者が増えればふえるほど価格も上がっていく。ブラジルのような大国が利用すれば一気にビットコインの価値も高騰することになるだろう。

ビットコインで黒歴史の孫正義氏、取引所で大リベンジ!?

ブラジルという地球の裏側の話題に思えるが、実は日本も関係が無いわけではない。孫正義氏の率いるソフトバンクグループは、世界で10兆円規模の投資を行っているが、ブラジルにおいてもビットコイン事業を大規模に出資しているのだ。

写真:つのだよしお/アフロ

ソフトバンク・ラテンアメリカファンドは、今年7月にブラジルの仮想通貨取引所「メルカド・ビットコイン」に220億円を出資した。ラテンアメリカにおいて、この分野では最大の投資規模だという。もし法定通貨化ともなれば、この取引所は銀行に近い位置づけになる。このメルカド・ビットコインのプラットフォームには、今年1月から5月の間だけでも70万人が登録するなど急増中で、7月時点ですでに280万人もの顧客がいるなど急成長中だ。

孫正義といえば、友人からの勧めでビットコインを資産の1%持ったものの、値下がり時に怖くなって売却してしまい大損失をするというエピソードでも知られている。投資の素人にありがちな失敗をしてしまったこの一件で、ビットコインの仕組みに対して無知なのではないかという印象を持たれてしまったが、現地メディアPipelineでは「仮想通貨を購入する代わりに、取引プラットフォームに参加することで投資した。孫正義はビットコインを理解していないが、ビットコインから利益を得る方を見つけたようだ」(ジャーナリストのLuiza Ferraz氏)などと評価されているようだ。

日本国内では、人口減少による経済規模の縮小などネガティブ要因に目が行きがちな昨今、成長する世界に目を向け、種を蒔いてきた孫氏はやはり慧眼の持ち主なのかもしれない。

ジャーナリスト/SAKISIRU副編集長

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