NFTで“生きた証”を永遠に残す「バーチャル墓地」とは?
いつでも、どこにいても。デジタルで”墓参り”- ブロックチェーンで墓を”NFT”化。デジタル空間でいつでもお参り出来る墓とは?
- 現代人が先祖代々の墓を守ることは限界に。先祖を祀るために必要なこととは?
- 「未来に残したいもの」は人により様々。タイムカプセルは利用者からアイデアも
ブロックチェーン技術を使ったNFTによって、“バーチャル墓地”をつくり、生きた証を後世に遺す――そんな試みが始まっている。今年春に開業したベンチャー企業「each tone」がはじめた会員制バーチャル墓地サービス「víz PRiZMA」(ヴィーズ プリズマ)では、NFTによるバーチャル墓地として、本人がワークショップに参加して制作した作品に、瞳(虹彩データ)から生成した作品を織り交ぜ、デジタルアートとして保存する。

人生を表現したアート作品
NFTをつけ、バーチャル墓地に保管して未来へ届けるアート作品とはなにか、同社代表の柿田京子氏は説明する。
「まずは会員様に、ワークショップに参加していただきます。ご本人にこれまでの人生を振り返って“人生の棚卸し”をしてもらい、今後の人生を展望いただくのです。そこで得たヒントをテーマにして、様々な色や線を使って、アーティストと一緒に、人生を表現したアート作品をつくります」(柿田氏、以下同)。
これとは別に、生体データ(本人の声や、瞳からとった虹彩データなど)を取得。アルゴリズムで解析、本人制作の作品と共に加工して、ひとつのアート作品として完成させるのだという。

「虹彩は、指紋認証と同様に個人認証にも使われる、唯一無二、本人だけの特有なものです。”生きた証”でもあるのです」
ブロックチェーンで永久保存
アート作品に加え、本人が遺したいデータを保管出来る「タイムカプセル」も用意される。子孫へのメッセージや、大切な作品、思い出の記録など、後世に伝えたいものを、デジタルデータとして永久保存するのだ。ブロックチェーンで保管されるため、本人のデータである真正性が担保され、改ざんされる心配もない。
本人が生前、自身のパソコンに大切なデータを入れていたとしても、死後には誰かに捨てられてしまう恐れがあるが、ブロックチェーンを利用するこのサービスならば、永久に残しておくことができる。
こうしたデータは、会員本人が他界した後に、生前に指定しておいた家族、子孫が受け取って、スマホやPCなどから時間や場所を問わずデータにアクセスできる。墓や仏壇であると同時に、インターネット上の”永久金庫”ともいえるわけだ。
日本の墓文化は限界に来ている
従来の墓の概念を覆すこのサービスを、どのように思いついたのだろうか?
「日本の墓は社会問題ではないかとの意識がありました。先祖代々の墓を受け継いで墓守をする仕組みは、いま限界に来ているんじゃないのかと思ったのです」
故郷から離れて都会や海外に永住する人も珍しくはないこの時代、固定的な場所への墓参りは、一層難しくなっている。大切な人を想う伝統やしきたりを尊重しつつ、利便性と経済性を向上させた墓はないか。そこで考案したのが「víz PRiZMA」だという。

「我が家でも、先祖代々のお墓は地方にあり、長男である叔父が継いでいますが、訪れる機会は少ない。次男、三男以降は、お墓がない。首都圏でお墓を買うとなると高額で、都心の一等地では、小さな区画でも800万円したりします。こうした都心の墓を買ったとしても、子孫は海外に引っ越すかもしれません。より安い地方に墓場を作ったとしても、遠いために、めったにお参りには行けないわけです。なかなか買いたいお墓が無い。買いたいものが無いなら、自分で理想的なサービスを作りたいと思いました」
そもそも生きる人にとっての墓地の存在意義とは、何なのだろうか。
「生きている人が亡くなった人を忍び、その人への想いを届ける場所だと思います。祀るという本来の意味を大切にしながら、テクノロジーの力を借りて、21世紀にふさわしい利便性と経済性を併せ持つ仕組みを提案できないかと思ったのです」
先祖代々の土地に子孫が住むとは限らない。でも、デジタル上ならいつでもどこでも会える。そう考えるとバーチャル墓地という奇想天外な発想は、時代の必然なのかもしれない。
想像を超えた活用法で、墓地の概念が変わる
同サービスの存在は、口コミやネットで広まり、説明会には、50代、60代を中心に、20代から80代まで、幅広い世代が集うという。
「死生観や最新技術に関心のある若手から、お墓問題に直面する高齢者まで、様々ですね。80代でもデジタルに強い方はいらっしゃいます」
限りある人生をより良く過ごすためのコミュニティも併設。“死ぬこと”以上に“生きること”に主軸を置き、様々な藝術イベントを催し会員間で交流を深めているという。

人々が未来永劫に残したいものは、個々の人生や事情によって多岐に渡る。永遠にデータが残せるという特徴からか、サービスを始めると会員からは、想像を超えるアイデアが次々に飛び出してきたという。
「伝統工芸の職人の方からは『後継者がいないので、技術を継承できない。ブロックチェーンで技術を保管し、未来の有志に継承を託したい』という声を頂きました。
香港から来られた方からは『いま、香港は政治的に厳しい状態にある。自由な発言もままならない。未来の人たちに、こんな時代があったことを、歴史の真実として知らせたい』とのご意見も。
また、戸籍上は夫婦になり得ない同性婚の方々からは『パートナーであった証を、このサービス上で残せる』と、期待を寄せられたりもしています。
起業時には、シンプルにご本人のアート作品を残せないかと始まったサービスですが、実際に始めてみると、皆さんの発想が多様であることに気づき、このサービスに秘められた可能性を感じています。」
本人が望んだ残したいものを後世に伝え、子孫がその想いや記録に直接触れることができる――バーチャル上の墓場がそんな位置づけになれば、墓場というひっそりとした偲びの場を、人類の”英知の宝庫”に塗り替えることになるかもしれない。
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