「韓国色を隠す」LINE問題、外部有識者の報告書で広がる衝撃

「新しい資本主義実現会議」川邊氏の去就は?

LINEの個人情報が、中国の委託先で閲覧可能だった問題で、Zホールディングス(ZHD)が設置した外部有識者による特別委員会の最終報告書が18日、公表された。その中で、中央省庁や国会議員、地方自治体への渉外活動の担当者が、韓国にデータを保管していたことの説明を避け続けてきたことについて、報告書が「上級役員らにおける『韓国色を隠す』という方針等の存在を疑わせる重要な根拠である」と厳しく指摘したことがネットで注目された。

Wachiwit /iStock

LINEの問題は今年3月、朝日新聞の峯村健司記者らがスクープ(今月6日に、今年度の新聞協会賞)。経済安全保障の問題が社会的に認知される大きなきっかけとなるなど、衝撃を与えた。この日の特別報告書について、ブルームバーグが「韓国色を隠す」という文言に着目して見出しに入れて速報。日本のメディアはなぜかあまりクローズアップしなかったが、その“パワーワード”にツイッターでは、右派系のアカウントが敏感に反応した。

頑なに隠して騙してまで何かしてたのかな?こわやこわや

どうしてこんな分かりきってた事を嘘ついたんだろう。

深刻なのは、外部有識者のヒアリングに対し、韓国でのデータ保管の問題について、LINE社の4人の首脳陣(出澤剛代表取締役社長CEO、慎重扈(シン・ジュンホ)代表取締役CWO、舛田淳取締役CSMO、黄インジュン取締役CFO)が、正直に答えたのか疑義が呈されている点だ。報告書では、「いずれも画像、動画及びファイル(PDFなど)は韓国で保管されていると認識していた」とする一方で、渉外活動の担当者がLINEの日本ユーザーの全データが日本国内で管理されているという事実に反する説明を行なっていたことについて、首脳陣は事実を認識していなかったと説明したという。

しかし、外部有識者側は、過去の社内会議の記録や、社内関係者へのヒアリング結果から

公共政策・政策渉外部門の役職者において、日本のユーザーのデータが全て日本にあると考えていたとは信じがたい

LINE社の上級役員らがこの説明のことを知らなかったとは、およそ信じがたいところである。むしろ、上級役員らはこの説明を知っており、上級役員らの「韓国色を隠す」という意向・方針に沿ってこのような説明が繰り返されたと考えるのが自然である。このような意向・方針は、正式な意思決定や具体的な指揮命令を伴うものではなかったかもしれず、暗黙の合意であった可能性もある。しかし、そのような意向、方針、ないし合意がなければ、本委員会に報告された様々な事実を整合的に説明することは困難である。

などと厳しく指摘した。先述した、朝日新聞の峯村記者は最終報告書のオンライン記者会見に参加したというが、ツイッターで「最終報告書としては不完全燃焼感が否めません」と指摘、今後の追及にも含みを持たせた。

LINE問題は、最終報告書で一つの区切りを迎えたが、政治的に最終決着するか、まだ微妙な点がある。この日、サキシルでもおなじみの渡瀬裕哉氏がツイッターで「あらあら。新しい資本主義」と皮肉まじりに投稿したように、岸田政権がこのほど設置した「新しい資本主義実現会議」(議長・岸田首相)の有識者メンバーの中に、ZHDの川邊健太郎社長がジョインしている。川邊氏はZHDの合併前はヤフーの社長で、LINEの問題をむしろ厳しく検証するように推進してきたとする指摘もあるが、「新しい資本主義」と並んで岸田政権のもう一つの看板が「経済安全保障」だけに、川邊氏が今後も実現会議の参加するのか、その去就や政府首脳、自民党・甘利幹事長の判断も注目される。

 

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