フェイスブックが社名変更か。メタバース事業が注目も、告発騒動の渦中
新社名には“Horizon”がつくとの憶測もあのフェイスブックが来週にも社名変更するのではないか?米テック系メディア「the Verge」が報じた。同メディアは、事情に詳しい関係者に確認をしているという。社名変更については、同社創業者のマーク・ザッカーバーグCEOは、10月28日の年次開発者会議「Facebook Connect」で発表を予定している。場合によっては発表を早める場合もありうるという。
新社名は「Horizon」!?
同社には、「Facebook」以外にも「Instagram」「Oculus」などがあるが、今後Facebookは新社名の親会社の下に同社のいちブランドという位置づけになっていくという。
フェイスブックという名前は超ビック・テックとして世界の誰もが知っているだけでなく利用している。これ以上無いほどの知名度を誇っているところで、今さらなぜ改名するのだろうか?同メディアによると、社名変更の目的は同社の業態の拡大にあるという。これまでのSNS企業を脱して、これからはバーチャルリアリティを日常で体感する「メタバース事業」に力を入れていくためだという。
新社名には「Horizon」(太陽)の名前が付く可能性が高いのではないかとの憶測もある。というのは、フェイスブックは2019年に発表したメタバース・プラットフォーム「facebook Horizon」を、今月「Horizon Worlds」に改称したばかりなのだ。
仮想空間「メタバース」事業に注力
フェイスブックは先日、「メタバース」人材のため、ヨーロッパで今後5年間に1万人の従業員を採用していくと発表したばかりだ。商品としては、ARメガネの様なハードウエアを指しているという。
このメタバースとはインターネット上の“仮想共有空間”のことだ。VR空間でアバターを使い、コミュニティを形成する。過去に流行ったメタバースには、「セカンドライフ」というアバターゲームがあったことを覚えておられるだろうか。技術も進化した今、おそらくもっと高度な形で実現していくのだろう。
すでにフェイスブックが今年8月発表され20か国で展開している「オキュラス・クエスト2」では、バーチャルリアリティ空間の中で世界で違う場所にいる人同士が、それぞれのアバターで、同じ会議に出席出来るという。ザッカーバーグCEOは今後、これがスマートフォンと同じくらいのユビキタスになると信じているという。今年9月には5000万ドル(55億円)を投じるメタバース開発計画を発表。10月にはメタバース内のコンテンツクリエイター支援のために1000万ドル(11億円)の基金設立を宣言した。
告発騒動の影響は?
フェイスブック社が「メタバース」に注力しているのは事実だろうが、社名変更の理由はおそらくこれだけではないとの指摘もある。フェイスブックは元社員の女性による「児童保護に対し不都合な情報を隠していた」という告発をきっかけに、同社はいま批判の矢面にある。告発時にはフェイスブックの株は大暴落、フェイスブックやインスタグラムが6時間ダウンする騒動もあった。女性は議会の公聴会にも呼ばれ、同社は政治的な圧力にもさらされている。
起業当初の新興ベンチャーのイメージから、今ではビックテックのひとつとして、あまりに大きくなりすぎ、寡占を批判され、新興テクノロジーのポジティブなイメージよりも、情報を寡占的に吸い上げているネガティブな文脈で報じられる機会が増えていた。告発を機に以前からあったSNS依存症が社会問題としてフォーカスされ、SNS悪玉論が火を吹いてしまった感もある。
社名変更が事実とすれば、SNS起業からメタバース起業へと心機一転し、イメージの刷新を図る。これは、社名変更の背景のひとつとして否定できないのではないか。「依存症」という暗いイメージから脱したい。Horizon(太陽)には、眩しいほどの明るさを取り戻したい。そんな願いが込められているのかもしれないと言ったら皮肉すぎるだろうか。
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