横浜市・山中竹春市長のフェイクニュース会見、原因は「市長のアドリブ」か

資料には国の数字は「0歳〜」と明記。責任は職員ではなかった
ライター
  • 横浜・山中市長のワクチン接種率の虚偽説明「国の数字より10%高い」の続報
  • 市議が請求した資料では市職員が接種率の正しい母数を認識していた可能性
  • 原因は職員のミスではなく、市長の記者発表時の言動か。説明が待たれる
横浜市・山中竹春市長(筆者撮影)

横浜市の山中竹春市長が記者会見で横浜市のワクチン接種率について説明した際「国の数字より10%(10ポイント)高い」というフェイクニュースを発表したことが、波紋を呼んでいる。

なぜ市長は誤報を発表するに至ったのか。横浜市議の井上さくら氏は、議会で問題を追及。市職員が山中市長にどのような説明をしたか、資料要求を行った。

市職員が作成した資料には(0歳以上)と明記されていた。赤線は筆者記入

市役所から井上氏に出された資料には、

国平均 / 全世代(0歳〜)59.29%

と明確に書かれていた。山中市長はこれまで、横浜市のワクチン接種率についてさまざまな場面で言及しており、横浜市の全世代は神奈川県と同様、12歳以上を指すと認識していたはず。万一その認識がなかったとしたら、これまで何度も自身が語っていた「ワクチン接種率」について、何も理解していなかったことを意味する。

「これは市長の責任」

少し前の記事で、私(筆者)は「誤情報の発表に至った原因は、市役所のずさんな資料作成にあったようだ」と書いた。市職員の説明を聞いてそう思ってしまったのだが、今思うと、この認識は間違いだったかもしれない

提出された資料を見る限り、市職員に「国より10%高い」との認識はなく、国の数字は「0歳〜」とハッキリ書いてある。国の数字と市の数字をそのまま比較できないことは、小学生レベルの知識があれば分かることであり、データサイエンティストの市長がそんな初歩的なミスをするなんて、完全に想定外だったのではないか。

横浜市役所の関係者は、こう語る。

「市長がミスをした場合、現場が泥をかぶって『職員のミス』としてしまった方が、正直楽な場合があります

井上市議も、こう指摘する。

「これは資料を作成した職員の責任ではなく、確認もせずに安易に記者会見の場で発表した市長の責任です。現場が泥をかぶるような問題の収め方は、非常に良くないです」

フェイクニュースの発表から1週間近く経つが、山中市長は何ら訂正を行なっておらず、フェイク情報を信じたままの市民もいるかもしれない。公式な訂正と、誤報発表に至った経緯の説明が必要ではないだろうか。

 

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