小学校に寄付をしたら確定申告を:寄附金控除のしくみ

確定申告で税が戻ってくる!
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営エキスパートアドバイザー
  • 小学校への寄付は、所得税の寄附金控除の対象。所得税が軽減される
  • 寄附金控除の計算方法とは?学校への寄付は税額軽減が大きくなることも
  • 年末調整を受けている人も確定申告で還付される

小学校受験といえば幼児教室や模擬試験など、受験本番までにお金がかかるイメージがありますが、その先にもお金がかかります。合格をしたらすぐに納入する入学金や、新学期におさめる授業料や施設設備費、そして寄附金もあります。

寄附金は各家庭の任意で納めるため金額は決まっていませんが、寄付をすれば所得税の軽減を受けられます。小学校への寄附金と税の軽減について解説します。

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寄付をしたら「寄附金控除」で所得税が軽減

膨大な時間とお金をかけて合格を目指す小学校受験。幼い子どもの将来のために、お金をつぎ込んできたご家庭も少なくないでしょう。しかしそれが合格に結びつくかどうかは、蓋を開けてみなければわかりません。

また受験対策で取り組んできたことが子どもの血肉になるかどうかも、数年先、数十年先と子どもが成長するまでわからないものです。 そう考えると、子どもへの投資は目に見える形ではなかなかリターンを得られないといえますが、そのなかで比較的短期間でメリットを見出しやすいもののひとつが、寄附金です。

学校への寄付は所得税の「寄附金控除」の対象になり、税の軽減を受けられるのです。小学校への寄附金も含まれます。 寄附金控除とは所得税の制度で、国や自治体、特定の団体に寄付をしたときに、税の負担が軽くなるものです。 (参照:文部科学省「学校法人に対する個人からの寄附に係る所得税の税額控除について」) 一般的な寄附金控除では「所得控除」といって、寄附金額に応じた所定額を、課税の対象になる所得金額から差し引きます。

控除額を差し引いた後に所得税率をかけることで、おさめるべき税額が低くなるしくみです。 控除できるのは1年間に支払った寄附金のうち2,000円を超えた金額です(※総所得金額等の40%相当額とする場合もあります)。

たとえば1万円を寄付した場合には、10,000円-2,000円=8,000円が、所得から差し引かれます。所得税額は差し引いた後の所得に税率をかけて計算しますので、所得税率が20%の人なら、8,000円×20%=1,600円分、税額が低くなります。

学校への寄付は税額軽減が大きくなることがある

上記が寄附金控除の基本ですが、寄付先が学校の場合には軽減額が大きくなる場合があります。学校法人へ寄付をしたときには上記で説明した所得控除に代えて、「税額控除」という計算方法を選べるためです。

税額控除は、所得税率をかけた後の税額から、寄附金控除額を差し引く方法です。この場合に差し引く控除額は、2,000円を超える寄付金額の40%です(※所得税額の25%までが上限)。たとえば1万円の寄付をした場合には10,000円-2,000円=8000円の40%、つまり3,200円を、所得税額から差し引くことができます。

上記の例では所得控除よりも税額控除を使うと軽減額が大きくなりますが、所得控除と税額控除のどちらが有利になるかは、年収や寄付する金額などによって変わってきます。

一般的には所得税率や寄付金額が低い場合には税額控除の方が有利になり、高額な寄付をする場合には所得控除の方が軽減効果が高くなります。いずれにしても、寄付金額がある程度高額なら税の軽減効果も大きくなります。

かりに100万円を寄付した場合、課税所得が600万円の人ならどちらの方法でも所得税の軽減額が19~20万円になります。

寄付金控除を受けるには確定申告が必要

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寄附金控除を受けるには、確定申告が必要です。寄付をすると後日、学校から領収書や寄付の証明書が発行されますので、確定申告書に添付して税務署に提出します。

会社員や公務員で年末調整を受けている人も、翌年に確定申告をすれば税が戻ってくることがあります。年末調整時に勤務先から発行される源泉徴収票を使って、確定申告をします。確定申告をしないと税の軽減は受けられませんので注意しましょう。

申告書は手書きして税務署の窓口に提出することもできますが、国税庁のサイトでパソコン・スマートフォン上から申告書を作成して郵送したり、電子申告をすることもできます。電子申告の場合には、学校から発行された寄付の領収書や証明書の内容を申告画面から入力すれば、原本の提出を省略できます(ただし申告期限から5年間は手元に保管しておく必要があります)。

詳しい記入方法や申告方法は、国税庁の確定申告サイトで確認できます。 このように、子どもの学校への寄附金は、わが子の教育環境を充実させる財源になるとともに、わが家の税の軽減につながることもあります。学校へいくら支援をするか迷ったときには、所得税でどれくらいの軽減効果がありそうかをおおまかに見積もってみてもいいかもしれません。

 
ファイナンシャルプランナー(CFP®)、健康経営エキスパートアドバイザー

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