自民党、単独過半数確保も、甘利幹事長選挙区落選の激戦!立民も小沢氏、中村喜四郎氏も落選
維新、大阪「全制覇」の一人勝ち第49回衆院選は31日、投開票が行われ、与党が過半数を維持するものの、野党が候補者の一本化を進めた激戦区を落とし、自民党は解散前勢力276から議席を減らし、単独過半数(233)はかろうじて確保。公明党と合わせて絶対安定多数(261)は抑えたものの、甘利幹事長が選挙区で落選するなど重鎮・幹部クラスが苦戦した。

甘利氏落選、立民伸び悩み、維新大阪制覇
政界関係者によると、自民党の終盤の情勢調査でも単独過半数を割り込む恐れが浮上。午後11時台になり、自民党の単独過半数は確保したが、閣僚経験者を含む大物議員が軒並み落選危機に陥った。
衝撃だったのは甘利明幹事長。神奈川13区で苦戦を強いられ、大票田の大和市で立民の公認候補に差をつけられて届かなかった。1996年の小選挙区制導入後、自民党の現職幹事長が選挙区で落選したのは初めての事態だ。甘利氏はその後比例復活したものの、NHKニュースは1日未明、甘利氏が岸田首相に幹事長辞任の意向を伝えたことを速報した。
ほかにも、石原派の領袖でもある石原伸晃・元経済再生担当相が東京8区で選挙区で落選となった。午後8時過ぎに速報で敗れるなど、立民の新人候補に完敗し、比例復活も難しい情勢だ。伸晃氏の実弟、石原宏高氏も東京3区で落選したことで、元都知事の石原慎太郎氏の時代から続く「石原ブランド」の凋落を印象づけた。
熊本2区では保守分裂になったこともあり、党税調会長や自治相などを歴任した80歳の野田毅氏が在職50年を目前に、無所属新人に完敗する波乱もあった(詳報はこちら)。

一方、大阪府では維新が候補者を擁立した15の選挙区を全て制した。自民にとっては、選挙中から取り沙汰されていたとはいえ、まさかの「大阪全敗」となった。維新の勢いは東京にも及び、東京12区では小選挙区で敗れたものの、当選した公明現職に肉薄。前回議席を取れなかった東京の比例ブロックで3議席をうかがう情勢で、解散前の11議席から40議席近くまで大幅に躍進する見通しだ。
リベラル系野党は立憲民主党が共産党などとの「野党共闘」戦術が局所的には奏功した形だが、事実上の勝敗ラインとされる「140」に達するどころか、解散前の109議席に届きそうにない。象徴的なのが枝野幸男代表が埼玉5区で自民候補との一騎打ちでこれまでにない僅差に迫られ、NHKが枝野氏の当確を出したのは日付が変わってからという苦戦だった。
またベテラン勢では、選挙終盤にNISA(少額投資非課税制度)への金融所得課税を考えているとのテレビ発言で炎上した江田憲司代表代行は早々と当確を決めたものの、小沢一郎氏が18回目の当選を岩手3区で果たせなかった。小沢氏が落選したのは1969年の衆院初当選以来、初めて。茨城7区では、「無敗の男」中村喜四郎氏が保守系無所属から立憲に鞍替えして初めての選挙となったが、こちらも小選挙区では初めての土をつけた(選挙の模様はこちら)。
いずれにせよ、この後、未明にかけて最終議席が確定するが、自民党は9月の総裁選での一時的に盛り上がった機運が失せ、岸田新政権・甘利執行部は国民の信任を得られたというのは微妙な情勢だ。自公と合わせて絶対安定多数(261)こそ確保したものの、甘利氏が幹事長として前代未聞の落選を喫するなど敗北ムードは避けられず、岸田首相の「選挙の顔」としての疑問が噴出する可能性が強い。
一方で立憲民主党は、自民の取りこぼした議席を維新にさらわれ、伸び悩んだことで共産党などと組む選挙戦略を見直すのかどうか岐路に立ったと言える。結局、当初は「勝者なき選挙」になる可能性もあった中で、維新だけが議席を大きく躍進させる「一人勝ち」になった。
なお、朝日新聞は25日の時点で「自民が単独過半数確保の勢い」と情勢報道したが、「①自民党は公示前の276議席より減る公算が大きいものの、単独で過半数(233議席)を大きく上回る勢い②立憲民主党は比例区で勢いがなく、公示前の109議席からほぼ横ばい」と予測しており、他社が野党優勢の読みをする中で精度の高さを見せた。
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【更新:午前2:00】最新版をアップしました。一部、誤記を訂正しています。
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