衆院選で見えた「脱団塊」。マスコミが知らない、これからの政策トレンド
減税と次世代の社会福祉を望む声- マスコミでは報道されない、衆院選での「時代の変化の兆し」とは?
- 減税を掲げたN党候補が保守地盤の熊本で健闘。れいわ新選組も全国200万票
- 人口動態を見るとロスジェネに主役交代へ。政治に求める新しい社会政策
マスコミでは全く報道されていませんが、衆院選で「時代の変化の兆し」を強く感じさせる2つの動きがありました。

まずは減税を訴え続けた無名の新人候補が、衆院選で公明党や共産党の単独候補にならぶ票を獲得。N党(NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で)の本間あきこ氏は衆議院選挙で落選したものの、熊本3区で7.34%の支持を集めました。これは無所属や諸派、他のN党候補者の得票率が1〜3%であったのに比較すると明確な差です。
地盤・看板・鞄を持たない本間氏の政策は、地域農産業振興のための2対1ルールに基づく規制改革、観光業と関連したNHKの受信料問題など。減税×地域経済の再生という争点を前面に出し、N国流の「省エネ選挙」でも短期間で組織政党ガチガチの地域で成果をあげました。
「減税と規制緩和」に投票する人は全国で150~250万人。筆者の知人に、元国家公務員の経済アナリストがいるのですが、その彼は「創価学会や共産党のようなパワーがある」とも評価しました

「減税」が新たな岩盤票に
もう一つの注目すべき結果は、れいわ新選組が当初の0〜1議席から比例3議席を獲得しし衆参あわせて5議席と政党要件が申し分ない段階まで満たす存在へと成長したことです。
当初れいわ新選組は、野党共闘への参加の是非をめぐり混乱が目立ちましたが、それにも関わらず200万の岩盤票が存在することが示されました。これは参院選前の2019年6月時点に党独自で実施した世論調査で得られた結果と一致します。
そして驚くべきことに選挙期間中、山本太郎代表がほとんど遊説に訪れなかった九州、東海で約4%を獲得。立憲や維新を上回る野党最大級のボランティア集団5万人が、「消費税廃止、消費税5%を条件とした野党共闘」というワンイシューで全国の票を掘り起こしました。
またガソリン価格高騰が庶民に負担を強いる中、国民民主党玉木代表が打ち出したガソリン価格のトリガー減税は有権者に響く争点となり躍進。渡瀬裕也氏の指南を受け発足したクルマ減税会では、減税誓約書を交わした「サインナー」5名の新人候補が当選しました。
その一方で選挙戦最終版、立憲民主党 江田憲司氏のNISAに対して課税するという発言は猛バッシングに。野党第一党が選挙戦最終盤で「庶民増税」を言ったことで、接戦区100近くのうち31の選挙区において1万票差以内での競り負けを呼びました。
同じく金融資産課税という庶民増税 をかかげた自由民主党 岸田総裁が応援に入った59選挙区のうち31は小選挙区落選。
このように減税×地域経済、減税×庶民の暮らしという争点を作り出すことで、「減税」に投票する150〜300万票の今まで見えなかった岩盤票を掴み、基礎票よりも多く票が取れることが示された選挙結果と見ることができます。
- 立民・江田憲司氏、NISAにも金融所得課税の認識示し、投票日直前に大炎上 – SAKISIRU(サキシル)
- 首相応援の小選挙区27勝32敗: 日本経済新聞 (nikkei.com)
- 総選挙2021結果について – クルマ減税会
人口動態に見る政策トレンド変化
この変化をサキシルの新田編集長は「ロスジェネが影響力増した」と分析。実際2020年の人口動態をみると、これまで政治やマスメディアのトレンドをリードしてきた団塊世代の人口が、既に団塊ジュニア「ロスジェネ」の人口と横並びになっていることがわかります。
高齢者男性が政治参加に熱心であることは既出統計でも示されていますが、団塊世代男性の減少は特に顕著。団塊世代女性も、パートナーの政治参加へのリタイアに影響を受ける可能性は大いにありえます。
シルバーデモクラシーにより停滞した政治も、これから先10年でついに有権者の世代交代が始まります。政策トレンドも変化し「ロスジェネ」自身の社会的課題が選挙の争点へ。
この変化をとらえ敏感に反応した政党と、過去の成功体験を引きずった政党で選挙の明暗が分かれ、これまで団塊世代の組織票に埋もれていた、減税を求める強固な塊が浮き彫りになってきました。
新しい主役が向かう先に

団塊世代が駆け抜けた高度経済成長期では、チャンスは無数にあり賃金は働きぶりに比例するものでした。その社会的課題は悲惨な戦争への反省や、核家族化し孤立した高齢者への社会福祉が中心だったかもしれません。
一方でロスジェネたちは、膨らみ続ける社会保障負担、中国の台頭とグローバル経済による産業構造の変化、就職氷河期やリーマンショックによる非正規・低所得労働者の増加とその無貯金・無年金問題など、彼ら自身に関わる課題をかかえています。
不運にも新卒での就職活動に失敗した人、途中でレールから外れてしまった人、貧困や学歴の再生産・地域差でチャンスに恵まれなかった人たちは、経済的衰退をつづける平成30年の間に再び這い上がる機会を持てませんでした。
いままでの雇用形態や社会保障の枠組みでは解決できない問題を前に、社会構造の現状維持はもはや限界。新しい主役であるロスジェネたちは、これまでのような国民負担増と企業・施設主導型の社会福祉ではなく、減税×地域経済、減税×庶民の暮らしという新しい社会政策によって、「先」へと向かおうとしています。
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