韓国のBTSは参入…日本のジャニーズがNFTでDXする時代は来るか?
日韓エンタメDX事情のスピード格差- BTSの事務所が仮想通貨取引所とタッグ。コンテンツNFT化でビジネス展望
- コンテンツの権利守り収益化するNFTは、タダで流出しがちなネットに変化
- ネット進出に保守的だったジャニーズなどショービズ界にもチャンス到来

世界的に大人気の韓国の人気グループBTS(防弾少年団)がNFT事業に参入する。BTSが所属する芸能事務所「ハイブ(HYBE)」社は、韓国の仮想通貨取引所「アップビット(Upbit)」を運営のドゥナム(Dunamu)社と合弁会社を設立。11月4日にハイブ社がYouTubeで行った会社説明会では、今後、BTSのコンテンツをNFT化したうえで販売していくと説明した。
音楽・動画などとセットにしたフォトカードや、さらにBTSのゲーム等を作成したり、アーティストIPを活用してウェブトゥーン(韓国のデジタルマンガ)や、ウェブ小説を公開していく。ハイブ社は国、地域、産業の境界なき拡張を意味する「バウンドレス(無境界)」というビジネスモデルを表明。さらなる世界進出を目論む。
大人気BTSコンテンツのNFT化は“鬼に金棒”

NFT(non-fungible token)は、カードが販売後にプレミア化した場合でも、芸能事務所など発行者に転売されるたびに利益が還元される仕組みだ。NFTが売れた後、値上がりして別の所有者に1億円で転売された場合、その1割の1000万円程度がオリジナルの発行者に入ってくるスキームがNFTには多い。現在、世界で爆発的な人気を誇るBTSの限定コンテンツがNFT化すれば、“鬼に金棒”で芸能事務所が莫大な利益を得ることは間違いないだろう。
「プロマイド」とも呼ばれるアイドルの限定カードは、アナログな形でかつてから存在はしていた。これまでそういったカードでは一度販売した後に、プレミア化したとしても、その高騰で事務所に利益は還元されることはなかった。
また、コピーされ無断で販売されるケースも後をたたない。日本でも原宿では、事務所が販売や公認していない芸能人のプロマイド写真が無断で売られることが常態化していた。ジャニーズ事務所は、雑誌などで所属タレントの写真が無断掲載されたり、ネットの画像が報道向けにすら使用されることを強く警戒することで知られているが、事務所が頑ななのも、それだけこの分野が“権利の侵害”が頻繁にあるからだともいえよう。
権利守り収益化できるNFTはジャニーズにも商機
日本のエンターテイメント事務所は、韓国のそれと比べてDX化への対応が遅れていることが、昨今よく比較されるようになった。韓国のエンタメ業界は、テレビではなく、YouTube動画など、ネットメディアに力を入れて成功してきた。これに比べて、ジャニーズ事務所など日本のエンタメ業界は、収益化しにくいことを背景に、進出に慎重だった。ジャニーズでは、2018年には遅まきながらYouTubeに進出するなど、日本のエンタメ業界も変化を見せてきている。

これまで無断転載などもされやすく、収益化しにくかったデジタルコンテンツだが、いま、NFTという発行者の権利や利益が守られる仕組みができたことは、コンテンツを生業にする人たちにとってはチャンス到来だろう。新しいNFT化への動きは現在、日本では、サブカルチャーを中心に始まっているが、日本の芸能事務所のメインストリームに君臨する「ジャニーズ事務所」が、まだそういった新たな試みを行うという話は聞こえてきてはいない。
BTSの芸能事務所のような試みは、斬新で経営陣にDX化のリテラシーがあるからこそできるのだろう。ジャニーズの経営陣は、従来型のエンターテイメントの手法に慣れた経営陣たちと、元アイドルたちで運営されているため、そのメンバーだけでゼロから絵を描くのは難しいことだろうが、全く畑違いの異業種の業界と手を組み、DXとの融合を積極的に行えば、日本のジャニーズも、BTSのように新しい可能性を拓くかもしれない。
イノベーションとは、掛け合わせの妙。これまで接点のなかった他の世界とコラボすることで、今までにないものが生まれてくるとも言える。「あたらしい事に取り組みたい」という気持ちさえあれば、日本のエンタメも無限の可能性があるようにも思える。
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