テスラ株、売っちゃおうか?イーロン・マスクがアンケート実施

目的は“断捨離”ではなく...

大手テスラのイーロン・マスクCEOが自身が保有するテスラ株の10%(1705万株)について売却するか否かについて、ツイッターでアンケートを実施。「結果がどうあれ、アンケート結果に従うことを宣言します」とツイートした。アンケートには約350万人が参加。日本時間8日午前4時14分に締め切られた。結果は賛成票に58%が投じられた。本当にアンケート結果に従うことになれば、テスラ株を売却することになる。

イーロン・マスク氏(Automobile Italia/flickr:CC BY 2.0)

唐突な提案の背景には、マスク氏は先日、所有する株の時価総額がトヨタを超えて、推定純資産額が3000億円(約34兆円)を超える世界一のお金持ちとなったことがある。同時に、世の中からは「税金払え!」という批判が渦巻いていた。

国連の世界食糧計画(WWE)のデビット・ビーズリー事務局長は、マスク氏のような億万長者に対し「60億ドル(6800億円)」の寄付をすれば4200万人の人々を救うことが出来る」などといって批判。イーロンは「それで本当に飢餓問題を解決できることを示してくれるのなら、今すぐテスラの株を売ってその収益を寄付する」とも語っていた。

世界的な大富豪でもあるイーロン・マスク氏だが、実は社長報酬を貰っていない。「いっておきますが、私はどこからも給与やボーナスを受け取っていません。株しか持っていないので、税金を払おうと思えば、株を売るしかないのです」

マスク氏は最近、いわゆる“断捨離”を実施。多数保有していた豪邸も売却して、現在550万円で借りられるプレハブの37平方㍍の“狭小住宅”に住んでいる(過去記事参照)。大富豪にしてはある意味、一般人よりも質素な生活をしているともいえなくない。マスク氏からすると、「世界一の富豪」と呼ばれても、自社株を持って買い支えているだけで決して贅沢しているわけじゃない。なのに、税金払えなどといわれてしまうのは、少々悔しい思いもあったのかもしれない。ただ、こうした批判にツイッターアンケートという独特の方法で、最善の対応をしようとするのは、イーロンらしくもある。

株売却には株式相場の下落を懸念する声もある。売却する10%と評価額は2.3兆円程度。こうした兆単位の株を一度に売ると、マーケットが混乱、暴落してしまう懸念がないわけではない。これまで、ビットコインなど、仮想通貨を巡っても彼の一言で市場が動乱したが、今度は株価でも混乱する可能性がある。実際に、株売却のアンケートの実施によってすでにテスラ株は下がっている。同社株は4日に上場来高値を更新したが、5日0.6%安の1222ドルに引けた。

とはいえ賛成が多い結果だったのは、「納税してほしい!」という声とはまた別に「チャンス!テスラ株を買い増したい!」という声が多かったのもある。専門家の間でも「勢いのあるテスラ株ゆえに、あっという間に売り切れてすぐに元値に戻るのでは」という声があるくらいだ。実際のところ、マスク氏に振り回されることを、楽しんでいる人も多くいる。何をやってもプラスに転じる勢いが、今の彼にはあるのかもしれない。

 

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