脱東京・空室化の東京。コロナ後はどうなる !?

分散か?集中か?

コロナ禍が続いた昨年から今年にかけて、企業の「脱東京」本社移転が話題となっている。コロナ禍以降、大企業でも東京離れが加速。帝国データバンクの上半期の調査では、首都圏外への本社移転が半年だけで186社を超えている。このペースはかつてなく、初めてのことだという。

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2020年に人材派遣のパソナが本社を兵庫県淡路島に移転することを発表。さらに芸能エンタメのアミューズも今年7月に富士山麓への本社機能を移転したことなども話題となった。他にも今年7月にはお茶の専門店ルピシアが渋谷から製造拠点のある北海道ニセコ町に移転。森田薬品工業も東京から創業地である広島県福山市に本社をUターンさせた。

一方、4日に本社移転を発表したニコンは、地方ではなく現在の品川インターシティ(東京・港区)から、ニコン大井製作所(同・品川区)の空き地に移転するのだという。ニコンの場合は、特にコロナ禍との関係性は言及されていないが、本社移転といっても、都外への移転するケースとは違う事例だ。都内から地方だけでなく、オフィスのあり方を根本から見直し、都内から都内の別の場所への移転するケースも増えている。

またみずほフィナンシャル・グループはグループ社員1万2000人のうち25%を恒常的にテレワークしていく。富士通も今後3年を目処にオフィススペースを半減させるという。

出る企業あれば、来る企業も…

とはいえ「都内流入」も172社と、2015年に並ぶレベルの高水準だという。脱・東京の数の方がやや上回るものの多、流入も同時に盛んなのだ。コロナ禍において企業の間で場所の見直しが行われ、引っ越しが盛んに行われたことが伺える。

都心の空室率については、コロナ禍よりも空き具合がひどかったのは東日本大震災の起こった2011年頃。3.11の震災を機に空室が目立ち始め、翌年の5月には都心5区の空室率が9.40%を記録した。その後徐々に持ち直してコロナ禍が始まる直前の2019年12月は、1.49%になるまで空室率が低下していた。それがコロナ禍が始まって以降は再び空室が目立ち始めたのである。

10月7日に発表した今年9月末までの平均空室率は、6年10ヶ月ぶりに6.43%の高水準に再び上がった。(空室率はオフィス仲介大手の三鬼商事のオフィスビル市況より)

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23年以降に改善の予測も

現在、新型コロナの新規感染者は現在日々減っており、緊急事態宣言も解除された。コロナも落ち着いて出勤を再開し、“平常運転”に戻る企業も増え始めている。東京の街の賑わいも戻り、再び活気を帯び始めているようにも思えるが、都心のオフィスビルは今後どうなっていくのだろうか?果たして今後企業は、分散か、集中かどちらの方向へ進んでいくのだろうか?

そうした中で、11月5日に日本不動産研究所と三鬼商事による「オフィス市場動向研究会」がマクロ経済予測を元に2015年までの東京を含む三大都市のオフィス賃料予測(21年秋)を発表した。それによると、2024年には上昇に転じる見込みだという。来年の東京の22年の空室率は6.1%と高止まりするが、23年以降、空室率は5.3%に改善。24年には需要増で4.2%に、25年には3.5%まで改善するとの見通しを発表している。

コロナ禍が一段落すれば、また東京も活気を取り戻すのかもしれない。去る会社もあれば、新たに来る会社もある。そんな流動性の高さこそが、東京という街の魅力なのかもしれない。

 
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