「新自由主義から転換なのに竹中氏起用」批判、岸田首相に“令和の近衛文麿”説
昭和天皇の近衛評「聞き上手で誰れにもかつがれる」彷彿- 第2次政権を発足した岸田首相に「近衛文麿を彷彿」とする説が浮上
- 就任以来、首尾一貫しない言動がクローズアップされている
- 昭和天皇はかつて近衛について「聞き上手で誰れにもかつがれる」
衆院選の結果を受けて特別国会が10日開かれ、自民党の岸田文雄総裁が改めて首相に選出された。
岸田氏は同日中に第2次岸田内閣を発足させ、「来週中に数十兆円規模の経済対策を取りまとめる」と表明。年収960万円以下の所得制限付きで、18歳以下に1人当たり現金とクーポン合わせて10万円の支援を行うことを正式に発表し、さらにコロナ禍で困窮する学生に10万円の緊急給付金を出すことも明らかにした。

首尾一貫しない岸田首相の言動
いよいよ本格始動する岸田政権だが、この前日、看板政策を議論する場となる「デジタル田園都市国家構想実現会議」に竹中平蔵氏がメンバーに入ったことがネット上で波紋を広げた。竹中氏はかつて小泉政権時代、「経済政策の司令塔」として規制改革を推進したが、保守層から左派層まで「新自由主義者の代表」としてすこぶる評判が悪い。岸田首相は自民党総裁選の当時から「小泉政権時代からの新自由主義からの転換」を掲げ、新しい資本主義を政権に旗印にした経緯があっただけに、あまりにも矛盾があるというわけだ。

ツイッターでは、民族団体「一水会」が「選挙前は『新しい資本主義実現会議』で竹中氏を切るフリをしながらよくも選挙後にヌケヌケと発表したモンだ。『小泉改革以降の新自由主義的政策からの転換』『新しい資本主義』も所詮口だけか。言葉が軽すぎる」と吐き捨てれば、左派メディアのリテラも「どこが”新自由主義と決別”? 」と書き立てた。
岸田首相の発言をめぐっては、他にも首尾一貫していない部分がクローズアップされてきた。
10月4日の首相就任記者会見では、「1億円の壁を念頭に金融所得課税についても考えてみる必要があるのではないか」と述べておきながら、株価が激しく下落し、市場関係者から「岸田ショック」と言われ始めると、すぐさま「金融所得課税強化は来年度税制改正では議論しない」と封印。
総裁選の最中には「成長と分配の好循環」「分配なくして次の成長なし」と述べ、分配に力点を置いているように見えたが、これが批判されると「『成長も、分配も』が基本スタンスだ」と軌道修正した。
「近衛文麿」彷彿させる理由
ブレが目立つ岸田氏の言動について、ある自民党の中堅参議院議員は「バランスの岸田だからね」と苦笑気味に語るが、「本当に自分がやりたい政策がない」(自民党関係者)と厳しく見る向きも。自民党内でもそういうドライな見方が出てくるくらいだが、ある経済団体の幹部は「近衛文麿を彷彿させる」と指摘する。

近衛文麿(1891〜1945)といえば、名門貴族・近衛家の生まれで、戦前の政界で貴族院議長や外相など要職を歴任。細川護煕元首相の祖父としても知られるが、近衛も3度首相を拝命。国家総動員法を制定し、国会に議席を有していた全政党が戦時協力のために合併した大政翼賛会の初代総裁になるなど、政界から戦時体制構築を主導した。
一方で、優柔不断なことでも知られたのが近衛だ。日中戦争の野放図な戦線拡大を危惧された際、蒋介石との首脳会談で“手打ち”する構想が持ち上がった際には、南京行きの航空機をチャーターしておきながら、直前にドタキャン。軍部の側で、この首脳会談を推し進めていた石原莞爾が「二千年にも及ぶ皇恩を辱うして、この危機に優柔不断では、日本を滅ぼす者は近衛である」と激怒したと言われる。
昭和天皇も戦後、近衛が死去した後に「(近衛は)意思が弱いし、悪(にく)まれたくないし聞き上手で誰れにもかつがれる」と述べていたことが、初代宮内庁長官の田島道治が残した『拝謁記』で明らかになっている。岸田首相は総裁選出馬に当たり、長年愛用のメモノートを掲げ「聞く力」をアピールして見せたが、歴史に詳しい国民の中には微妙にオーバーラップして見えてしまう人がいるかもしれない。
こうした戦前の宰相を彷彿させる岸田氏の聞き上手な姿に、「調整型だった小渕(恵三)元首相のように最初は人気が今ひとつでも安定感が知られれば長期政権になる可能性はある」(前出の自民党関係者)とポジティブに捉える向きもあるが、コロナ禍で傷ついた日本を再生することができるのだろうか。
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