ガソリン元売りに補助金、大ブーイングでも減税したくない政治のウラ
音喜多氏指摘「複雑化してまで権力の源泉を守ろうとする」- ガソリン高騰に、政府が元売りに補助金を出し価格抑制する対策発表も不評
- 維新・国民両党や一般国民は減税での対策を求める声
- むしろ国民の負担を増やす補助金に「愚策」との声が続出。その背景は?
高騰するガソリン価格への対策として、政府が17日、石油元売り会社に補助金を出す形で小売り価格の上昇を抑える方針を打ち出したことにネット上で猛反発が出ている。こうした形での補助金は初めてというが、国民感情に与える波紋は小さくなさそうだ。

政府の新しい対策はこの日夕方、萩生田経産相が発表した。萩生田氏は12日の時点で補正予算より機動性のある予備費の活用による対策を明言していたが、業界への補助金という形に結実した。
他方、維新と国民がガソリン税を実質的に減税する「トリガー条項の凍結解除」を打ち出し、近く両党で法案を共同提出する方向が決めたばかりだったが(関連記事)、この日の発表前にも松野官房長官はトリガー条項の発動について「ガソリンの買い控えや、その反動による流通の混乱や、国・地方の財政への多大な影響などの問題があることから凍結解除は適当でない」などと考えを示していた。
こうした政府の“塩対応”に対し、衆院選の最中から「トリガー条項の凍結解除」を公約に掲げていた国民の玉木代表はツイッターで「元売りへの支援ではガソリンの購入価格が下がるかどうか分からない。しかも170円/ℓを超えないと発動されないし下がっても最大5円/ℓ」と政府案を問題視。「それより国民民主党が主張するトリガー条項の凍結解除なら160円/ℓを超えれば25.1円/ℓ下がるのでより効果的だ。全てが小出しで中途半端」と重ねて批判した。
また、減税推進論者で、規制改革に詳しい渡瀬裕哉氏(早稲田大学招聘研究員)も「最初は産油国に増産要請と言って不首尾に終わり、その後は事業者に補助金を撒く対応。減税すれば良いだけだと思うのだが、それは薄く広く恩恵が及ぶので採用しない。政府は無能だが、それで良いのか?」と疑問を示した。
国民負担増やすだけの「愚策」背景
政府が減税ではなく、むしろ血税と言う形で国民の負担をさらに増やす政府の対策には一般のネット民からも「愚策」との声が続出したが、岸田政権が異例の措置に踏み切ってまで減税を拒否する背景に何があるのだろうか。

維新の音喜多駿参議院議員はツイッターで「意地でも減税はせず、補助金のバラマキで誤魔化したい自民党。すでにあるトリガー条項という仕組みを使わず、複雑化してまで自分たちの権力の源泉を守ろうとする。この古い政治を正面からぶち破らなければならない」との見解を示す。これを維新のポジショントークと見る向きもあろうが、事実として自民党と石油業界の関係性は深い。
東京都選管に提出した2019年の収支報告書によると、石油業界でつくる政治団体「全国石油政治連盟」(全石連)は、自民党議員のパーティー券購入に合計約526万円を支出。購入先は、片山さつき参議院議員や、元自治相の野田毅・衆議院議員(当時、衆院選で落選)らのベテラン議員が並ぶ。
また、全石連から全国各地の支部に寄付の形で活動費が支給。さらに各地石油政治連盟から地元の自民党議員への寄付にも充てられている。例えば全石連の東京都支部にあたる東京都政治連盟は同年、衆院東京1区を地盤とする山田美樹氏や、参院東京選挙区選出の武見敬三氏、朝日健太郎氏の政治団体に10万円ずつを寄付している、といった具合だ、
「政」だけではなく「官」も石油業界と強い利害関係がある。かつて日本の石油開発を目的に1967年に設置された特殊法人「石油公団」が、小泉政権時代の2005年に“お取り潰し”となったのは、旧通産省の次官経験者の天下りが続いて放漫的な経営を行なって1兆円を超す巨額の不良債権を出したためだった。令和に入った近年も、地方の石油協同組合に、経産省がその地元に出先で置いている事務所の経済産業局部長が再就職をしていることが公表されている。
減税よりもあくまで補助金という国民のさらなる負担で業界を“救済”することに拘ってのガソリン価格抑制策が打ち出される背景には「政官財の鉄のトライアングル」という、陳腐な表現にして腐臭漂う構造が存在している。
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