輸出で逮捕は「青天の霹靂」…企業は経済安全保障強化にどう対処すべきか

【連載】経済安保「不都合な真実」国賠訴訟の弁護士に聞く #3
ライター・編集者

「生物兵器の製造に転用できる噴霧乾燥機を、ドイツ企業傘下の中国の子会社に無許可で輸出した」との外為法違反容疑で、2020年3月、機械メーカー・大川原化工機の社長以下幹部3名が逮捕された。勾留は11カ月に及び、1名は勾留停止中の入院先で、ガンで死去。だが2021年7月、起訴取り消しとなり、現在、大川原化工機が国と政府を相手取る国賠訴訟を提訴している。

一体どんな経緯があったのか。この事件を経済安全保障重視の視点から考えるべく、国賠訴訟の担当弁護士である高田剛弁護士(和田倉門法律事務所)に引き続き聞く(#1はこちら#2はこちら)。

プロセスを経ない無理な告発

――この大川原化工機の噴霧乾燥機の事例は、経済安全保障上の様々な問題を含んでいます。国際的な枠組みで決まっていた規制、つまり「相手が誰であれ、要件に引っ掛かる機械を輸出する際には届け出を出し、許可を得てください」という仕組みがあったにもかかわらず、経産省は訳文を間違えていたうえ、関係する企業に積極的なアナウンスをしていなかった。

企業側は「うちのは規制に抵触しない機械だから大丈夫だ」と許可を得ずにいたら、警察に目を付けられ、外為法違反で逮捕された。青天の霹靂のような話です。

この記事は会員限定です。ぜひご登録いただき、続きをお読みください。サブスクなら読み放題です。

関連記事

編集部おすすめ

ランキング

  • 24時間
  • 週間
  • 月間

人気コメント記事ランキング

  • 週間
  • 月間

過去の記事