安倍晋三氏に中国が抗議「軍国主義の道を進む者は頭をぶつけて血を流す」

中国メディア、岸田首相との勢力争いとの見立ても
ライター
  • 安倍晋三元首相が台湾のシンポジウムで「台湾有事は日本有事」と発言
  • 中国外交部は即座に「強烈な不満を抱いており、断固反対する」と抗議
  • 中国の大手紙「環球時報」は「政治闘争の一環である可能性」を指摘
オンラインで講演を行う安倍晋三氏(YouTube「あべ晋三チャンネル」より)

安倍晋三元首相は1日、台湾のシンクタンク「国策研究院文教基金会」が行ったシンポジウムに日本からオンライン参加し、「新時代の日台関係」とのテーマで講演。「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と述べた。

安倍氏は講演で「尖閣諸島や与那国島は、台湾から離れていない。台湾への武力侵攻は日本に対する重大な危険を引き起こす。台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある。この点の認識を習近平主席は断じて見誤るべきではない」と語った。

これに対し中国外交部報道官は同日、定例会見で次のように述べた。

「安倍晋三前首相は国際関係の基本原則と日中間の4つの政治的文書の原則を無視しており、公然と台湾問題についてまったく筋が通らないことを言っている。他人の粗探しをして、中国の内政に対しデタラメな議論をしている。中国はこれに対し強烈な不満を抱いており、断固反対する。すでに外交ルートを通じて厳正な交渉を行なっている」

4つの政治的文書とは、

  • 日中共同声明(1972年)
  • 日中平和友好条約(1978年)
  • 日中共同宣言(1998年)
  • 「戦略的互恵関係」の包括的推進に関する日中共同声明(2008年)

の4点を指す。日中共同声明において、中国は「台湾は中華人民共和国の領土の不可分の一部である」という立場を表明しており、日本は中国の立場を「十分理解し、尊重する」と合意している。

中国外交部・汪文斌報道官(外交部サイト)

安倍氏の「狂った発言」

発言は、さらに続いた。

台湾は中国の神聖な領土であり、絶対に外部の者に好き勝手に手出しをさせない。日本はかつて台湾の植民統治を半世紀に渡って行い、筆舌に尽くし難いほどの罪を犯した。日本は中国人民に対し歴史的犯罪の重大な責任を負っている。国家の主権を守り領土を完璧に守ろうとする中国人民の堅い決心と強固な意志、強大な能力を、誰もみくびってはならない。向こう見ずに軍国主義という古い道を進み、中国人民の一線を越えようと挑戦する者は、誰であれ必ず頭をぶつけて血を流すことになる!」

後半は愛国心を鼓舞するような過剰な形容詞が続いた。中国から見ると、「軍国主義という古い道」を進んでいるのは、日本のほうらしい。

中国の大手紙「環球時報」は「安倍晋三が台湾のイベントに参加『台湾有事は日本の有事』と狂った発言」とのタイトルで記事を掲載。

「首相退任後の安倍氏は、今年に入ってたびたび勢い付いている。靖国参拝や台湾問題に口出しをして、日本国内の右翼勢力の支持を集めて影響力を発揮している。安倍氏と台湾内の一部勢力は相互利用の関係にあり、露出を高めようという意図がある」

また、記事中では安倍氏と岸田氏が互いに牽制し合う関係であると指摘。

「安倍氏は台湾カードを切って、2022年にも台湾を訪れる計画がある。今回のビデオ演説は、自民党内の政治闘争の一環である可能性がある」

と結論づけた。米中対立が深まるなか、台湾は両国の対立の最前線にもなり得る。台湾の存在意義は、今後さらに高まっていくのかもしれない。

 

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