「石原法」提出を求める!岸田縁故世襲内閣から民主主義を守れ!

民主主義の価値損ねるトンデモ人事
国際政治アナリスト、早稲田大学公共政策研究所招聘研究員
  • 落選した石原伸晃氏の内閣官房参与任命は「トンデモ人事」
  • 違法性はないが、公職につくことを否定されたばかりで民主主義軽視
  • 世襲縁故主義が蔓延して国民の常識から乖離。法制度が必要と筆者

岸田首相が12月3日、石原伸晃前衆議院議員を観光立国担当の内閣官房参与に任命する人事を発表した。これは民主主義の重要なプロセスである選挙を全否定する人事であり、岸田政権の世襲お友達体質を露わにしたトンデモ人事だ。

石原伸晃氏(2017年、経済再生担当相時代。内閣府サイト)

国民の審判否定のトンデモ人事

石原伸晃氏は、2021年衆議院議員選挙に東京8区から立候補し、小選挙区で落選した上、比例復活もかなわなかった人物だ。つまり、彼が国会議員として公職に関わることを国民は投票という民主的手続きによって否定したことになる。

岸田政権は衆議院選挙の投開票日から僅か1か月程度しか経ていない段階で、国会議員として公職に関わることを否定された人物に政権運営に対する助言者として内閣官房参与のポストを与えたことになる。

たしかに、政府は内閣官房参与に登用する民間人の人選を行う権限を有している。したがって、岸田総理が石原伸晃氏を内閣官房参与に任命することは現行法上問題ない。しかし、それは民主主義の正当性を守る観点から現行法に不備があるというだけの話で、岸田政権の反民主主義的な行為を政治的に何ら正当化するものではない。

仮にこの民主主義を軽視する人事を正当化するなら、そのロジックは民間人閣僚に落選者を登用することも良しとすることになる。閣僚と参与の間には有する権限に差はあるものの、その人事が民主主義に反する行為であるという点では同じだ。

「石原法」制定が必要

石原氏は大臣経験者でもあり、与党の派閥の長であった人物だ。その人物が落選後も内閣参与の肩書を持って、中央省庁の役人らに接触できる大義名分を持つことは、彼らを委縮させるのに充分だ。彼の存在は岸田政権の政策に確実に影響を及ぼすであろうし、そうでないなら参与に任命する必要もない。これでは有権者が何のために衆議院議員選挙で比例復活すらできない票差で同氏を落選させたのか全く分からない。

石原伸晃氏(2017年、経済再生担当相時代。内閣府サイト)

通常の政権なら「上述のような人事をするべきではない」と常識で理解するだろう。しかし、現在の政治環境は世襲縁故主義が蔓延しており、それらの世襲議員の感覚は国民から極めてかけ離れたものとなっている。

だが、重要世襲候補なら選挙落選後も特別扱いを受けられるなど論外だ。したがって、誠に嘆かわしいことであるが、民主主義の観点から見て当たり前の常識を守るために法改正が必要だと言えるだろう。

国会議員は石原法(衆議院議員選挙及び参議院議員選挙の落選者を政府役職に就けることを禁止する法律)を立法・提出することが望ましい。

少なくとも直近の国政選挙に落選した人物を政府要職に就けるべきではない。国会議員は自らの正統性を毀損する人事を許容するべきではない。

岸田総理は近く米国で民主主義国サミットに出席するとのことだが、民主主義の価値を損ねる人事を平然と行う岸田首相に同サミットに出席資格があるのだろうか。同会議に日本代表として出席して何かを述べるというなら、まずは自ら政権運営について襟を正してみたらいかがだろう。

国際政治アナリスト、早稲田大学公共政策研究所招聘研究員

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