ラニーニャで現実味…「大寒波到来」で「大規模停電」リスクを憂慮する
「脱炭素」で火力削減、天然ガス高騰...- ラニーニャ現象で大寒波が訪れる可能性が強まる
- 脱炭素で火力発電が減少。冬の電力需給見通しは心許ない
- 近年多発する異常気象。想定以上の寒波が来ない保証はない
カメムシの多い年は冬が寒いという言い伝えが日本各地にある。科学的にこれが正しいかどうかは不明だが、今年は地域によってカメムシが多く見られたそうだ。また、私事で恐縮だが我が家ではアゲハチョウを飼っている。アゲハの幼虫は成長してサナギになった後、夏であれば10日余りで羽化するが、冬は羽化せずにサナギで越冬する。そのアゲハが越冬態勢に入るのが、今年は例年よりひと月以上早かった。これも寒い冬の前触れなのだろうか。
ラニーニャ現象で寒波到来か
11月10日の気象庁の発表によれば、ラニーニャというペルー沖赤道付近の東太平洋の海面水温が平年より低くなる現象が現れたので、今年の冬は寒くなる可能性が強いそうだ。

冬の寒さが厳しくなる原因には諸説あるが、このラニーニャが起きると偏西風の蛇行が大きくなり北極圏の強い寒気が南下するために、北半球諸国が大寒波に襲われる可能性が高くなると言われている。
今年2月、北極圏の寒気団がアメリカ南部のテキサス州まで下りてきて、平年なら最低気温がせいぜい0度くらいの場所が急にマイナス19度になった(テキサス州ダラス、2月16日)。このため、天然ガスのパイプラインが凍結して火力発電所にガスを送れなくなったり、風力発電の風車が凍りついたりする一方、人々が一斉に暖房のスイッチを入れたため電力の需給バランスが崩れて大停電が発生し、200人以上の死者が出る大災害となった。
その少し前、日本でも令和3年豪雪が発生し、各地で停電が発生したり、太陽光パネルが破損したりしたほか、関越自動車道で1000台以上の車が立ち往生したりした。
なぜラニーニャが発生するか、なぜ偏西風の蛇行が大きくなるかということの根本の原因については、太陽の周期活動説と地球温暖化説の相反する説があるが、理由はなんであれ、ここのところ日本の冬が寒くなる傾向にあることは事実で、東京の都心で23センチの積雪があった2018年以降、毎年寒波に襲われている。

ぜい弱な電力の供給体制
その一方で、寒波に対する私たちの備えは以前よりも強化されたかといえば、逆にぜい弱になって来ていると言わざるを得ない。
10月26日に経産省が有識者会議で示したこの冬の電力需給見通しによれば、来年2月の供給余力見込みが、東京電力では3.1%と安全水準と言われる3%ぎりぎりで、中部、北陸、関西、中国、四国、九州でも軒並み3%台と余裕がない。
この電力需給の余裕のなさの背景には、世界が脱炭素社会に向かう流れの中で、火力発電所の数が減って来ていることがある。近年風力、太陽光などの再生可能エネルギーによる発電が増えてきているが、電力の需給バランスを保つために日中は火力発電所の発電量を抑える結果、火力発電所の稼働率が下がって採算がとれなくなり、発電所を次々と休廃止しているのだ。

ところで、この電力需給見通しで心配なのは、見通しの前提となっている気象条件として10年に1度の厳しい寒さが想定されていることだ。今年2月にテキサスを襲った大寒波は、ダラスでは1930年以来91年振りのものだったし、2018年の日本の寒波では1月26日にさいたま市で観測史上最低のマイナス9.8度を観測したように、近年異常気象が多発しているので想定以上の寒波が来ない保証はない。また、見通しに織り込んだ計画外停止率(2.6%)以上の大規模な発電トラブルが発生して電力の供給能力が下ってしまう可能性もある。
さらにもう一つ、火力発電の主な燃料となっている天然ガスの需給が世界的にひっ迫していることも懸念材料だ。最近中国が脱炭素政策や大気汚染対策のために天然ガスを爆買いしていることや、欧州諸国もこの冬に備えた天然ガスの貯蔵が十分でないため、盛んに天然ガスを購入していることなどによる。
経産省は既に大手電力会社に、この冬に備えて発電設備の点検をして計画外停止の発生を抑えるようにすることや天然ガス在庫を適正な水準に確保をすることを指示しているが、私たちもこの冬は部屋の暖房を控えめにして節電に協力し、厚着をして過ごす必要がありそうだ。
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