日中ネット世論「ウクライナ・台湾同時侵攻」を危惧

「ウクライナ侵攻と同時に中国が台湾に…」
ライター
  • ロシアがウクライナ国境沿いに軍隊を集結し、緊張が高まっている
  • 日本・中国のSNS上では「ウクライナ・台湾同時侵攻」を思い浮かべる人も発生
  • 中国メディアは「ロシアが戦争を発動される可能性は低い」と見ている

米紙ワシントン・ポストは3日、「早ければ22年初頭に、ロシアは最大17万5千人規模でウクライナ侵攻を計画している」と報じた。ロシアは現在、ウクライナとの国境沿いに9万4000人を超える軍隊を集結させている。

Silent_GOS /iStock

こうしたなか、日本のネット世論では、「ウクライナと台湾の同時侵攻がありえるのでは」との声も出ている。早稲田大学の有馬哲夫教授は、「中国もなんかやってくるかもしれません。この2か国は仲悪いのにこういうときだけは、国際非難を避けるために、一緒になんかやります」と指摘。

ITコンサルタントの“めいろま”こと谷本真由美氏も、「コロナ禍はいつ終わるかわかんないし、台湾やウクライナが攻められる可能性は高い。まさに乱世」と嘆いた。

中国のSNS「微博(ウェイボー)」でも、同様の投稿が散見された。

ロシアがウクライナを攻撃した際に、もしも中国が台湾を武力統一したら、正義の味方を自称しているアメリカは、どうするだろうね

ロシアのウクライナ侵攻と同時に中国が台湾に手出しをしたら、欧米はどう出るだろう?

とはいえ、中国政府が実際に台湾侵攻を行えば国際社会から非難を浴びるのは必至。そこまで踏み込むメリットはなく、現実的・常識的に考えて起こり得ない。「台湾統一」は中国共産党の悲願とはいえ、現時点では機が熟しているとはいえない。

※画像はイメージです(ewg3D /iStock)

また、中米対立が深まるなか、「敵(=アメリカ)の敵(=ロシア)は味方」という構造が成立し、中国国内ではロシア寄りの論調が目立つが、現時点では、ウクライナ侵攻は現実的とは見られていない。

中国紙「羊城晩報」国際問題解説員の銭克錦氏は、こう述べた。

「プーチン大統領が本当に新たな戦争を引き起こしたいと考えているかというと、厳正に分析する限り、その可能性は否定的だ」

銭氏は現在の状況について「2014年のロシアによるクリミア併合の最大の危機」と認め、ウクライナ東部はロシア系住民が大半を占めており、ロシアは当地への支配を高めたい考えがある見られることなどを解説。ロシアが実際に武力衝突が生じた場合、NATOの介入を招き代償が大きいという。

「多くの識者は、ロシアは実際には開戦を望んでいないと分析している」

と述べ、ロシアの新聞「モスクワタイムズ」を引用しながら、こう結論付けた。

「ロシアの行動は欧米諸国に対する不満の表明であって、ロシアが実際に戦争を発動することはないと見られる」

「ただし、ウクライナにNATO加入の考えがあり、西側諸国がロシアの安全を保障しないのであれば、こうした冷戦状態は続くだろう」

バイデン米大統領とプーチン露大統領は7日(日本時間8日未明)、オンライン会談を行う予定。アメリカはロシアに対し、ウクライナの主権と領土の保全を支持することを明確に伝えると報じられている。

 

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