クーポンか全額現金か…松野官房長官 vs. 松井大阪市長の舌戦ヒートアップ!

“ナニワの喧嘩師”、岸田政権を揺さぶる

半額はクーポンか、全額現金か--。18歳以下を対象にした10万円の支給方法を巡り、岸田政権と野党や一部自治体との間での論争がヒートアップしてきた。8日には、松野官房長官と松井一郎・大阪市長(日本維新の会代表)との間で舌戦に発展した。

舌戦となった松野氏(左)と松井氏

11月中旬、5万円分をクーポンとする10万円支給が経済対策として打ち出された直後は、さほど問題視されなかったが、12月に入り、クーポンを配る事務経費が960億円にものぼることが判明してから雲行きがおかしくなった。野党からも批判の声が出ただけでなく、現場となる自治体からも疑問の声が上がり始めた。

松井市長は1日、「クーポンを配る方式では膨大な時間がかかるし多額のコストもかかる。現実的ではない」と批判。他の自治体でも、群馬県太田市の清水聖義市長がNHKの取材に対し「「クーポンで使い方を限定するのは国民を信じていないことになる」などと厳しく批判したことが全国的に注目されるなど、波紋が広がり始めた。

ネットではこれら首長の意見に賛同する人が多く、JNNが6日に報じた世論調査でも給付方式について、「全て現金」が55%と断トツ。「現金とクーポンの併用」(11%)「クーポンのみ」(9%)「給付はするべきではない」(20%)と比べても民意が明らかになっていった。

“喧嘩師”の本領発揮

世の中の「現金待望論」を意識したのか、政府は7日、松野官房長官が記者会見で「クーポンを基本として給付を行うが、自治体の実情に応じて現金給付も可能としている」との見解を示すと、波紋がさらに広がっていく。

同日午後、大阪市の松井市長が記者会見で、現金給付に「ペナルティーがないなら」との条件付きで全額を現金給付で行う意向を表明した。ところが松野官房長官は翌8日午前、「それぞれ別の給付措置で同時支給は想定していない。まずはクーポン給付を基本として検討いただきたい」と、あくまでクーポン配布に固執する姿勢を見せた。時系列から松井氏の発言を意識したとみられる。

こうなると松井氏が“喧嘩師”の本領を発揮する。松野発言を伝える速報記事をツイッターで引用しながら「やっぱり永田町の常識は世間の非常識ですね」と苦言を呈すと、記者団の取材に、内閣府から全額現金給付は趣旨が違うとの指摘を受けたことを明らかに。

(現金給付が)ダメならダメとはっきり言ってもらわないと準備ができないじゃない。準備は今もう整っているので、(全額現金で)10万円にしたいのよ。そのためには来週前半、できたら今週中に答えがほしい」と、国側に決断を迫った。

総理へ“直訴”、他首長にアジり

松井氏の空中戦はなおも終わらない。記者会見後のツイートでも「年末27日に児童手当給付世帯に5万円給付準備中、これを10万円とする為には今週中に判断しなければ間に合いません」と述べた上で、「岸田総理、財源は立て替えますので、何卒児童手当給付世帯の声を聞いて下さい」とネット上で“直訴”に打って出た。深夜には、山梨県富士吉田市長がクーポン配布を「大変ばかばかしい」と述べた報道に触れて、「全国の市町村長の皆さん、声を上げましょう」と“アジ”るのも忘れなかった。

この日は国会で立憲民主党の泉新代表が就任後初めての代表質問で現金給付への一本化を主張。国民民主党の玉木代表も11月時点からクーポン配布に反対し続けている。

ただ、マスコミもフル活用して対決構図に持ち込む点では、百戦錬磨の松井氏が一枚上手か。のらりくらりと追及をかわそうとする岸田政権との攻防戦は大詰めを迎えている。

 

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