横浜市・山中竹春市長の不当圧力疑惑:「市民の会」が刑事告発状提出へ

「SNSで不誠実を知ってもらう」は害悪の告知か否か
ライター/SAKISIRU編集部
  • 山中氏の横浜市立大学に対する「不当圧力問題」が進展
  • 「市民の会」が横浜市・山中竹春市長に対し強要罪での刑事告発を予定
  • 「害悪の告知」の有無が強要罪の成立のポイントか

横浜市・山中竹春市長の「横浜市立大学への不当圧力問題」。一連の問題を追及してきた郷原信郎弁護士は事実解明を求める請願書を市に提出していたが、市議会は16日、請願書を不採択とした。

一方、郷原氏はこれを見届けた後の同日夕、同市役所で記者会見を行い、市民有志のグループが、山中氏を刑事告発することを明らかにした。元検事でもある郷原氏は、この告発を専門家としてサポートしている。

山中竹春市長(筆者撮影)

市民の会は、横浜市立大教職員と退職者、横浜市民からなり、告発状は横浜地検に提出される予定。郷原氏によると、山中市長が市立大の小山内いず美理事長に対し、山中氏を称賛する内容のメールを学内に発出するよう要求したことは、刑法223条の強要罪に当たる可能性が高いという。強要罪は

生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。

と規定しているが、大学側が残した7月24日の面会時のメモによると、今回のケースで山中氏は小山内理事長に対し、このように言ったとされる(太字は筆者)。

市民にSNSやインターネット上理事長・学長の不誠実を知ってもらった方がよいとも考える

「コンプライアンス違反で訴え厳正に対処することも考えている」

小山内理事長はメモの内容について、事実であったと認めているが、山中氏は「記憶にない」と主張している。

しかし、郷原弁護士は、山中氏による「市民にSNSやインターネット上で不誠実を知ってもらった方がよいとも考える」「コンプライアンス違反で訴え厳正に対処することも考えている」といった発言が、小山内理事長の「名誉に対する害悪」に当たる、とみている。

ここでもう一つ考慮する必要があるのが、当時の山中氏の立場だ。発言のあった時点で、山中氏は立憲民主党や共産党、社民党などの支持を取り付けた市長選の立候補予定者だった。ネット上で支援者に呼び掛ければ主張が一気に拡散し、小山内理事長は自身と大学の名誉が傷つくことを恐れ、義務のないことを強要されてしまうのではないか――。というのが郷原氏の見解のようだ。

ただし、こうしたケースで「強要罪」が成立するかどうかは、微妙との見解もある。甲南大学名誉教授で刑法が専門の園田寿弁護士は、こう語る。

「強要罪が成立するには、暴行あるいは脅迫が要件となります。脅迫とは『害悪の告知』を意味しますが、公共性のある場合には免責される。『不誠実であることをSNSで晒す』といった発言は正当な場合もあり得るため、判断は分かれると思います」

それでも、SNSで晒す行為は十分に「名誉に対する害悪の告知」になり得ると郷原氏は強調する。

「いまの時代、SNSで知ってもらうと言われただけで言われた方は恐怖を覚えるのではないか。条文の通りであれば『害悪の告知』をするだけで強要罪に当たるはず」

時代の変化に応じて、法解釈が変わることはあり得る。告発状は、果たして受理されるのか。今後の成り行きに注目したい。

【9:39】表現を一部修正しました。

ライター/SAKISIRU編集部

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