上場請負人が解説!SPACとは何か?IPOと何が違うのか?
アメリカで話題、日本でも解禁の動き- アメリカで話題の上場「SPAC」とは?上場請負人の筆者が解説
- IPOより短期間で上場可能。コロナ禍背景に資金調達を急ぐ新興企業のニーズ
- IPOとの比較。上場の方法、公開価格の決定方法、上場までの期間
ここ最近、企業が上場する方法の1つとしてSPAC(特別買収目的会社)が注目されています。特に、アメリカでは、2007年にIPO市場におけるSPACの調達資金が占める割合は14%ほどだったにもかかわらず、2020年は50%ものシェアを記録しており、とても勢いのある手法です。
日本ではまだ承認されていないSPAC制度ですが、今年6月に閣議決定された成長戦略実行計画では、スタートアップの振興策が項目として盛り込まれており、その目玉は「SPAC解禁」です。
今後、SPACが認可された場合には、上場する際の選択肢としてSPACを検討しやすいよう、事業会社目線に加え、投資家目線も含めて、SPACとは実際にどのようなスキームなのか、どのような点が他の上場する方法と異なるのか、岸田政権になってからも変わらずに政府がSPAC制度を模索してるようなので紹介していきます。
ちなみに、先日も新しい資本主義の会議で話題にはなったようです。
参照:SPAC検討を提言、投資家と起業家が「納得し上場」-資本主義会議(ブルームバーグ)
コロナ禍背景に注目度上昇
SPACとは”Special Purpose Acquisition Company”の略で、日本語で「特別買収目的会社」と呼ばれています。買収することを目的としたハコ会社を設立し、設立された企業が先に上場し、将来的に成長すると見込む未上場企業を買収することで、上場を果たすスキームです。よって、上場する時点では事業を持たないため、「空箱上場」とも言われます。
大きな特徴は、新規株式公開(IPO)によって資金を調達し、買収を実現するための「箱」であることです。IPOに用いられている手法の1つとして、昨今注目を浴びています。
昨今、SPACが注目されている背景には、コロナ禍で業績予想が見通しにくくなり、従来のIPOによる上場では、上場審査にかかる時間とコストが大きな負担となってしまうため、SPACにより短期間で上場したいといった理由もあります。
SPAC解禁で恩恵を受けると言われているのが、資金調達ニーズの大きいスタートアップ企業や、研究開発費が莫大にも関わらずリスクの大きさから金融機関が融資をしてくれない例が多いバイオベンチャー企業です。
SPACによるIPOの場合は、以下の図1流れに沿ってIPOプロセスが進んでいきます。
- SPACの設立者は、自己資金を用いてSPAC(空箱)を設立・・・①
- SPACを上場させることで、公募を実施し、投資家から資金調達(IPO)・・・②
- 買収検討先企業を探索して、デューデリジェンスを実施・・・③
- SPACと買収された企業が合併し、事業を営んでいる被買収企業が存続会社となって、上場企業として存続・・・⓸
図1:SPACによる上場のプロセスの図
SPACと一般的なIPOの比較
では、SPACと一般的なIPOはどのような点で異なるのかを見ていきます。
◎上場の方法
SPAC:SPACが先に上場し、資金調達を実施、その資金でターゲット企業を買収することで被買収企業が上場します。
一般的なIPO:主幹事証券会社を中心にシンジケート団を編成し株式を引き受けてもらい、証券取引所に新規株式を公開することで、上場します。
◎公開価格の決定方法
SPAC:SPACと被買収企業の交渉によって、価格が決定します。
一般的なIPO:主幹事証券会社やロードショーでの機関投資家の意見を踏まえ、ブックビルディングの結果を経て、価格が決定します。
◎上場までの期間
SPAC:SPACが上場し、買収先企業を決定し、発表してから4~6か月程で買収が完了し、上場企業として存続します。
一般的なIPO:主幹事証券会社の予備調査が約1年、引受審査が約6ヶ月~1年、証券取引所の上場審査が約3カ月と、合わせて2年~3年の時間を要し、上場します。
図2:SPACと一般的なIPOの比較図
これを見るとSPAC上場は一般的なIPOに比べいいことづくめな感じがします。ただし何事もいいことばかりではありません。SPACにも一定のルールやデメリットもありますので、次回、そのことについて解説していきます。(続きはこちら)
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