香港の立法会選挙、棄権者の8割強が「選挙制度に不満」「適切な候補者がいない」

英国の人権団体「選挙はイカサマであり茶番」
ライター
  • 香港で12月19日、立法会選挙が行われ、親中派が議席を独占
  • 投票率は30.2%と過去最低。メディアの取材に棄権者の4割「選挙制度に不満」
  • イギリスが拠点の人権団体「選挙はイカサマであり茶番」

香港で12月19日、立法会選挙が行われ、直接投票枠での投票率は前回2016年の58.3%を大きく下回り、過去最低の30.2%となった。立法会は地方議会に相当し、定数90議席に対し153人が立候補した。

90議席のうち、選挙委員枠(40議席)と業界別枠(30議席)は69人議席を親中派がほぼ独占。残りの20議席が直接選挙枠として、市民の投票によって選ばれ、こちらも20議席すべてを親中派が占めた。

投票率について報じる香港メディア(筆者撮影)

親中派のみが当選できる選挙システムは以前から問題視されており、海外にいる民主活動家らは、棄権や白票の投票を呼びかけていた。だが、香港政府は棄権や白票を呼びかける行為も禁止していた。

香港メディア「明報」は19日、香港区内の大型公園などで投票しない人に対してアンケート調査を実施。18歳以上の市民100人に質問したところ、次のような結果となった。

――投票に行きますか?

行く……13人
行かない……70人
未定、分からない……17人

投票に行かないと答えた70人を対象に、さらにこう質問した。

――投票に行かない最大の理由は何ですか?

選挙制度に不満……30人(42.9%)
適切な候補者がいない……28人(40%)
忙しい、暇がない……8人(11.4%)
政府に満足しているので投票の必要がない……3人(4.3%)
その他……1人(1.4%)

調査結果を見ると、棄権した人の8割以上が「選挙制度に不満」または「適切な候補者がいない」と考えていたことが分かる。

イギリスを拠点とする人権団体「香港ウォッチ」は選挙後、声明を発表。共同創設者のジョニー・パターソン氏は「この選挙はイカサマであり茶番だ。中国共産党は反対する人々をすべて締め付け、ルールをいじり、簡単に勝利する方法を選んだ。これは民主的な選挙でなく、正当性・合法性のないプロパガンダである」と述べた。

7割が棄権し、棄権者の大多数が選挙制度に不満があったり、投票したい人がいないという選挙は、「正当な選挙」と言えるのか。西側諸国では、選挙を疑問視する声が高まっている。

 

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