「ドドーン!」台湾軍の砲音届く与那国島で「シェルター建設構想」浮上

台湾有事想定、町議の提案に町長「真剣に考えていく」
ライター
美しい景色の広がる与那国島(wataru aoki /iStock)

中国・習近平国家主席は10月9日、台湾統一について言及し「必ず果たさなくてはならない」と宣言。12月1日には安倍晋三元首相が「台湾有事は日本有事であり、日米同盟の有事でもある」などと発言したことから、「台湾有事」への関心が高まっている。

嵩西茂則・与那国島町議(自民党沖縄県連HPより本人の許可を得て転載)

こうしたなか、日本最西端で台湾にもっとも近い島「与那国島(沖縄県与那国町)」では台湾有事や北朝鮮有事を想定した「シェルター建設構想」が持ち上がっている。

自民党所属で与那国町の嵩西茂則(たけにし・しげのり)町議は20日、有事を想定したシェルター建設が必要ではないかと町議会で提言した。

嵩西議員に話を聞いた。

「中国による領海侵犯や北朝鮮のミサイル発射がもはや常態化しており、4〜5年前からシェルター建設が必要ではないかと考えるようになりました。中国が台湾に進出して武力統一した場合、与那国は中国と向き合うことになる。中国は、何をしでかすか分からないという脅威がある。北朝鮮よりも恐ろしい相手国だと思っています」

万が一の場合に備えておきたいという思いがあるようだ。

「与那国は、有事の際に真っ先に危険にさらされる地域。海上からの砲撃やジェット機の飛来なども起こりうる。イラク戦争のような、テレビや映画で見るような戦争状態が起きる可能性もあります。そうした有事を想定した際に、事前に避難できる場所を作っておくことが必要だと思ったのです」

2017年に北朝鮮がミサイルを発射した際、政府はミサイル発射警報で即座に避難することを国民に呼びかけたが、「どこに避難したら良いのか」と困惑する声もあった。この時の経験も、「シェルター建設」が必要との思いを後押しさせたという。

先週末には、『ドドーン! ドドーン!』という地響きのようなものすごい爆音が聞こえてきた。住民のほとんどは聞いていると思います。頻繁ではないけれど、数年に1度ぐらいの頻度で聞こえてきます。台湾海峡の緊張を、非常に身近に感じています

アメリカの核シェルター入口(Michael Vi /iStock)

とはいえ、シェルター建設を実現するには、まずは住民の合意形成が必要となる。

「必要という人もいれば、必要ないという人もいるかもしれない。必要だと合意形成ができれば、国の防衛予算が必要になる。もし与那国島で実現できれば、全国に広がっていく可能性もあるでしょう」

具体的な工法などは、建設が決定した段階で専門家に依頼するという。

「山にトンネルを掘ってコンクリートで周囲を覆うとか、いくらでも方法はあると思う。食料や電力などが確保でき、1700人の島民の安全が確保できるものを想定しています」

糸数健一与那国町長は嵩西議員の提言について

情勢を踏まえて真剣に考えていく必要がある。

と議会で説明。爆発音について、

2、3日前に爆発音を複数名の町民が確認し、ちょっとした騒ぎになった。確認すると台湾軍が演習した砲撃訓練の音だった。

と話した。日本最西端の島でのシェルター建設の必要性、なかなか判断が難しそうである。

 
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