「昭和の資本主義は人道的、小泉以降が冷酷は嘘八百」冨山和彦氏の直言にネット賛否

資本主義とは?白熱する“大人の議論”展開

JALやカネボウなどの企業再生で知られる経営コンサルタント、冨山和彦氏が年末ツイッターで連日、昭和期から平成にかけての雇用や産業の構造転換について持論を発信している。特に小泉政権時代の構造改革の評価をめぐり、異論を唱えたネット民と議論を交わすなど、「資本主義」や「日本の構造問題」の本質を考えさせる機会となっている。

議論のきっかけは、26日の冨山氏のツイート。企業統治改革を牽引した前金融庁長官の氷見野良三氏が朝日新聞のネットメディア「グローブ」の取材に応じ、経営者たちとの軋轢をどう乗り越えて改革を進めていったかを振り返った記事を、冨山氏は引用。「(注・氷見野氏)も私も1960年組、狭間の世代、昭和半分世代。経済における僕らの世代の責任は、ここまで引き摺っちまった昭和を徹底的に終わらせ、次の世代にさっさと引き継ぐこと。若者よ年長世代への尊敬は不要ですぞ。まさにアクセル全開で踏み潰して前へ進むべし」と、世代交代の必要性を訴えた。

この発言に賛同する若手ビジネスパーソンもいたが、政治家志望というアカウントが「小泉構造改革は昭和を終わらせる改革のはずでしたが、残ったのは労働人口40%の非正規化という凄まじい負の遺産でしたね。 これは改革の方向性の間違いだったのでしょうか」などと、小泉政権時代の構造改革の問題点を指摘。「 資本家・経営者・正規労働者・非正規労働者それぞれ誰がどうなるかをブレイクダウンして考えないと改革=是とはなりませんよね」と食いかかった。

冨山氏はこの人物に対し、丁寧にリプライで反論。「昭和型の正規雇用はグローバル化とデジタル化による産業構造の転換でいずれにせよ半減したので、その受け皿が非正規雇用と中小サービス業への雇用シフトです。昭和の大量生産工業と新卒一括終身年功モデルからの転換は本質的に民間経済側の新陳代謝力の問題です。ここでの政策介入は小さいです」と、政・官だけでなく、民にも時代に遅れた問題を指摘。

冨山氏はこのリプライを自ら引用しながら、「実は昭和にも季節工、臨時工、日日雇いと言う形で非正規雇用はたくさんありました。朝の連ドラ「ひよっこ」でも描かれてましたが、その多くが農家の出稼ぎで統計的には自営農家。前回の東京五輪時の突貫工事はそう言う人々が担いました。昭和の資本主義は人道的で、小泉以降が冷酷と言う話も嘘八百」との見方を示し、別のネット民が「パソナはけしからんとか言うけど昭和時代の日雇いとか人夫出しとかって仕切ってたのヤクザなんやけどね」と指摘すると、冨山氏は「まさに!」と応じていた。

それでも、政治家志望のアカウント氏は「①社会における構成比が昭和と今で全然違う ②農家からの出稼ぎと都市労働者で孤独感とか生活コストが全然違う。当時と今で税社会保険料負担も」と述べて、「冨山さんはやっぱり視点が経営者サイドなんですよね」と食い下がる展開に。

これに対し、冨山氏は「農家からの出稼ぎの多くが日雇いで、どれだけ危険な仕事で本人も家族も孤独だったか。それを解決したのは田中角栄の産業的プラグマティズム。現代の問題もイデオロギーではなく、産業構造の変化が原因。だから重要なのは日本型正規雇用で吸収できない雇用を保護し、高賃金にするプラグマティズム」と述べ、令和にも新しい富国モデル作りが求められているとの見解を披露。

さらに「昭和40年代までの出稼ぎ農家の貧しさ、どんな場所でどれだけの収入だったか、どんな生活してたか、出稼ぎ日雇いの人たちが東京のどんなところに住んで、どんな生活してたか。生活コストとか税や社会保障負担で今と比較できる次元じゃない。私の祖母はそう言う場所で亡くなるまで僻地医療やってました」と振り返り、昭和に対して持たれがちな“幻想”を喝破していた。

 

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