“維新スピリッツ”はそんなもの?資産課税論(貯金税)で公約と有権者を弄ぶ足立康史議員
ネットの減税クラスタと年明けから激突- 昨年の衆院選公約を巡る足立康史・国会議員団政調会長の発言は問題
- 金融資産課税を公約で撤回したのに、政策責任者が政策論として復活
- 選挙用の建前と実際の本音を分けるべきとも公言。有権者との契約違反
年明け早々、日本維新の会の国会議員団の維新スピリッツとはこんなものかと思わされることがあった。筆者は大阪の有権者が作り上げた維新スピリッツという政治意識を尊敬していたが(参照:昨年暮れのサキシル連載:前半 後半)、昨年の衆議院議員選挙の選挙公約を巡る足立康史・国会議員団政調会長の発言で一気にその全てが眉唾に思えるようになった。(念のため、実際には大阪の府市改革はしっかりと行われていると信じたいと付記しておく)

政策責任者が公約反故!
選挙公約は衆議院議員選挙や参議院議員選挙で有権者が自らの票の投票先を判断するために重要な情報であることは言うまでもない。
ただし、「公約」という言葉に多くの有権者が胡散臭さを感じており、「公約は破るためにある」という決まり文句すら語られることがしばしばだ。また、一般的に野党が掲げる選挙公約は与党のものと比べてやや夢見がちなものが多く、その実現性は低いといって良いだろう。
したがって、野党の選挙公約の内容がやや粗削りなものであっても、実際に政権を取るまではその真実性などを国民は真剣に気に留めないものだ。
しかし、公約内容が堂々と反故になる可能性を口にする政党の政策責任者はやや常識から逸脱した存在だと言えるだろう。
日本維新の会は昨年に発表した政策文書である日本大改革プランを基にして衆議院議員選挙公約を立案した。当初のプランには巨額の財政支出の伴うベーシック・インカムの財源として金融資産課税などが明記されていた。しかし、政党として検討した結果、経済成長と行政改革によって同税収見込みを代替できるものとし、実際に発表された衆議院議員選挙公約からは同課税案は取り除かれていた。(平たく言うと金融資産課税とは貯金に課税するということだ。)
ところが、総選挙から約2か月後となる今日(1/4)未明に日本維新の会の国会議員団の政調会長である足立康史議員が驚くべき発言をツイッター上で行った。
総選挙前ドタバタの中で落とした資産課税について、本当に党として「捨てる」ということでいいのか事後検証したかった次第です。別途、藤田幹事長と話したところ政策論ではなく運動論として【フロー大減税+ベーシックインカム】でいきたいとのことでしたので、国会議員団としても支えていく所存です。 https://t.co/fZeDQqgrFi
— 足立康史 衆議院議員 (@adachiyasushi) January 3, 2022
本音は「金融資産課税」(貯金税)?
同党の藤田幹事長と話した結果として、資産課税は落としたが、それはあくまでも「運動論」であり、「政策論」とは別だというのだ。「運動論」とは言うまでもなく、政治運動論または選挙運動論であり、選挙で票を取るためのものだ。政策論は実際に実行を検討するものということだろう。要は、評判の悪い課税案は票を取るために公約への明記は控えたが、万が一政権入りするなら実行する政策論として扱う可能性があるというのだ。
昨年の衆院選の時、日本維新の会の候補者らは「金融資産課税は撤回されているのか」をツイッターや街頭で何度も有権者から確認されており、その際に金融資産課税は盛り込まれていないと回答している。
しかし、実際には撤回した政策を政策論として再度盛り込む気満々で運動論と政策論を分けていたなら、有権者が同党の選挙公約に基づいて行った投票は詐欺にあったようなものだ。
この足立康史政調会長の発言に対して、藤田文武幹事長は下記のようにフォローしている。具体的には誤解を招かないようにと指摘し、自らの主張として、運動論(建前)と政策論(本音)という区分はないものとしている。同幹事長の発言は有権者からの投票を獲得している政党の幹事長として至って良識的だ。
多分足立さんにその意図は無いだろうけど、皆さんに誤解されないよう補足。
私のスタンスは「政策論×、運動論◯」という二元論では無く、パッケージとして各政策のコンセプト、時間軸、相互補完性、実現可能性のバランスを総合的に検討。日本大改革プランは政策論として自信を持って発表しています。 https://t.co/t0ufvy2rbE— 藤田文武(日本維新の会 幹事長) (@fumi_fuji) January 3, 2022
度肝を抜く建前と本音の使い分け
しかし、その常識的なフォローに対して足立氏は下記のように返答したことは、日本維新の会の選挙公約を見て投票した有権者は度肝を抜かれたことだろう。
政策論と運動論とは分けた方がいいと思います。別途、クローズドで相談させて下さい。(笑) https://t.co/UVmeKedRDx
— 足立康史 衆議院議員 (@adachiyasushi) January 4, 2022
足立康史政調会長はあくまでも選挙用の建前と実際の本音を分けるべきで、それをクローズドな場で話し合おうというのだ。ジョークにしても質が悪すぎる。(ちなみに、選挙後、足立康史政調会長主導で、日本維新の会はオープンな政調ということでネット配信を開始したが、それが無意味な茶番であることも公言したと言える。)
もちろん選挙公約も社会環境の変化で内容が可変することも当然だ。その際には事前の打ち合わせということで、クローズドな会議も必要だろう。だが、僅か2か月前に審判を受けた内容の選挙公約を変更するほどの大規模な社会変化があるはずがない。
したがって、足立氏は有権者との政党としての契約である選挙公約に対して何ら重きを置いていないことは明らかだ。これは一議員の発言ではなく国会議員団の政調会長の発言であることに改めて驚かされる。
ただし、筆者の感想は「なんだ、期待した維新スピリッツとはそんなものか。民主党が行った消費税増税の公約違反と何も変わらないことをやる気か」というだけだったが。こちらは有権者として悪質な政治家に騙されるのは慣れっこだ。

国民は遊びで1票を投じていない
今後、日本維新の会の選挙公約について一切信用することはできない。なぜなら、それは運動論ではあって政策論ではない可能性があるからだ。その言い訳を幾らでも許容する政策責任者がいるのだから、投票する側からそのように捉えられても仕方あるまい。
有権者は己の一票を日本の生活・社会の在り方を賭けて真剣に投票している。
投票のための重要な判断要素である選挙公約が最初から虚偽である可能性を公言する国会議員団の政策責任者がいる、そのような政党の選挙公約は何の意味もなく検討に値しないことは言うまでもない。
傲慢な政治家が愚民として蔑む国民は遊びで1票を投じているのではない。政治家として国民の投票の重みが分からない人間が国会の場にいるべきではないだろう。
筆者は東京の人間なので維新のことはまだ良く知らないが、大阪の有権者は今までこれで良かったのだろうか。少なくとも筆者はこの政党に自らの票を投じようとは思わない。(前回は選挙では選挙公約を見て日本維新の会に投票しました。)
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