香港の民主派ネットメディア「衆新聞」が閉鎖 中国からの圧力強まる

「合法・非合法の境界線が把握できなくなった」
ライター
  • 香港の民主派メディア「衆新聞(CitizenNews)」がサイト運営を停止
  • 「立場新聞」の上層部が逮捕され解散に追い込まれたことがきっかけ
  • ネット上にはサイト停止を惜しむ声が多数

香港のネットメディア「衆新聞(CitizenNews)」が4日、サイトの運営を停止した。一定の時間を置いてサイトを閉鎖する。

衆新聞は国家安全法成立後も、民主派寄りの立場で報道を続けていたが、2021年末に同じく民主派寄りのネットメディア「立場新聞(Stand News)」の上層部ら7人が扇動出版物発行共謀の罪で逮捕され廃刊に追い込まれたことから、衆新聞は自らサイト閉鎖の道を選んだ。

サイト閉鎖の挨拶を告げる「衆新聞」トップページ

衆新聞は2日夜、Facebookの公式ページで「衆新聞告別 感謝読者(=衆新聞よりお別れのご挨拶 読者の皆様ありがとうございます)」とのメッセージを投稿。以下のような文言が書かれていた。

本日2022年1月2日、創立5年目を迎えた衆新聞は、皆さんにお別れをしなくてはなりません.

私たちはこの土地を愛しています。しかし今直面しているのはただの雨風ではなく、竜巻のような突風と凄まじい大波です。決して初心を忘れたことはありませんが、残念ながら、この2年間に起きた社会の激変によりメディアの生存環境は悪化し、憂慮なく我々の理念を達成できる状態ではなくなりました。

台風の目のなかにある私たちの小舟は、非常に厳しい状況にあります。危機のなかにあって、まずは乗組員たちの安全を確保しなくてはなりません。

衆新聞の編集長らは3日、記者会見を行い、運営停止に至った経緯を説明した。楊健興主筆は、次のように示した。

運営停止は短時間のうちに決定した。先週、『立場新聞』が運営停止したことがきっかけとなった。合法・非合法の境界線が把握できないため、落ち着いて記事を書ける状況ではなくなり、運営を停止するよりほかなくなった。

別れを告げたメッセージには、約7600件のコメントが投稿された。

鋭い批評なきあとは、マイルドな批評が批評となる。マイルドな批評なきあとは、沈黙すらも批評となる。沈黙すら許されなくなり、称賛の声しか許されない世界となれば、その声はすなわちウソでしかない。

リンゴ日報と立場新聞のなき後、『衆新聞』しか見るべきものがなくなった。今やそれすらも終了してしまったら、何も無くなってしまう。香港人は何を見たら本当の言葉を知れるのか。

分かりました。なんだかちょっと安心しました。

残念だけど、みなさんの安全が第一です。

衆新聞はこれまで、天安門事件の記念碑撤去に異議を唱えたり、2019年に発生した香港デモの犠牲者を追悼するほか、リンゴ日報の廃刊を惜しむなど、民主派寄りの記事を多数発表していた。香港では現在、「独立媒体(Hong Kong In-media)」という名のネットニュースが辛うじて民主派寄りの報道を続けているが、厳しい状況に立たされている。

 
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