維新・足立康史政調会長が語った!「選挙公約」に対する認識の耐えられない軽さ
一幹部の言動で、政策の全てのクオリティ疑問符- 維新・足立氏への追及第3弾。「選挙公約」への軽すぎる認識を問う
- 政策の事後検証をTwitterのスペースでやるのは「尋常でない」と筆者
- 公約に対する認識が不誠実な人物を、責任あるポストに据えていいのか
筆者は「日本維新の会」の選挙公約に共感し、同党に衆議院議員選挙で投票した。そして、減税や規制改革を打ち出した同党の選挙公約に魅力を感じており、筆者の友人・知人にも同党への投票を呼びかけた。
しかし、日本維新の会の足立康史国会議員団政調会長が新年早々に語った「選挙公約」に対する認識は衝撃的なものだった。
総選挙前ドタバタの中で落とした資産課税について、本当に党として「捨てる」ということでいいのか事後検証したかった次第です。別途、藤田幹事長と話したところ政策論ではなく運動論として【フロー大減税+ベーシックインカム】でいきたいとのことでしたので、国会議員団としても支えていく所存です。 https://t.co/fZeDQqgrFi
— 足立康史 衆議院議員 (@adachiyasushi) January 3, 2022
高市政調会長が同じことをすれば「政局」モノ
一見すると単純に「政策の検証」をしたと発言したように見えるが、この投稿が持つ意味は極めて重い。
まず、足立氏が指している事後検証とは「1月2日にTwitterスペース上で行われた『あだスペ(第3回)資産課税とベーシックインカム』」のことである。
昨年、発表されたメイン政策である日本大改革プラン当初案の中で、資産課税はその財源として大きなウエートを占めるものだった。つまり、この政策は日本大改革プランの重要政策の1つであったと言って良い。その重要政策の1つである資産課税について同党は内外識者との意見交換も含めて党内議論を行った結果、2021年衆議院議員選挙の選挙公約から落としている。(藤田文武幹事長が明言しているので間違いない。)
ご意見ありがとうございます。また記者発表をご覧いただき感謝申し上げます。
説明の全体をご覧くださればご理解頂けるかと存じますが、これまで党内外から様々なご意見を頂き、専門家の方々とも議論を重ね、金融資産課税については日本大改革プランからは完全に落としました。— 藤田文武(日本維新の会 幹事長) (@fumi_fuji) May 17, 2021
その重要政策に関する「事後検証」の場が「選挙当日僅か2か月後、正月2日同日に告知された深夜22時からのTwitterスペース」であったという事実は尋常なことではない。
このイベントが当選1回議員の正月余興なら同党に投票した有権者として黙認しよう。しかし、今回、重要政策の「事後検証」を行った人物は政策立案の中心人物である国会議員団政調会長であり、政党のガバナンスとして「一議員の正月の思い付きイベントでした」という詭弁は通用させてはならない。(自民党の高市早苗政調会長が同じことをした場合、政局に発展する可能性があるだろうことを想像してほしい。)
そして、一般社会の常識として、重要政策の検証とは、政党として正式な場を設けて学識者らを招聘またはシンクタンクに委託し、その検証結果を公表することが求められるものであるはずだ(Twitterスペースで夜22時に不特定多数の方を集めて喋る形で、政策の検証は十分という方は意見を異にするかもしれないが。)
日本維新の会の国会議員団政調会長は政策の検証の「場」「方法」「公表の仕方」についてどう思っているのか。これはフルオープンな政治という綺麗事とは全く位相が異なる問題であり、同党の政策立案能力に関する疑義が生じるレベルの問題だ。党として国政政策責任者の軽はずみな行為が容認されるなら、日本維新の会として公表されている政策の全てのクオリティに疑問が湧いても仕方があるまい。

「事後」とはなんぞや?選挙公約への認識
さらに、「総選挙前ドタバタの中で落とした」と「事後検証」という発言にも、同党に投票した者として呆然とさせられた。
今回の衆議院議員選挙は任期満了選挙であり、衆議院議員には4年間の選挙公約を立案する時間が与えられていた。日本維新の会所属議員には、議員報酬のほかに、政党助成金(2018年~2021年10月までの合計:約60億円)、立法事務費(毎月議員1人当たり65万円)、文通費(毎月議員1人当たり100万円)、政策秘書人件費など、膨大な金額の政策立案のための税金が投入されている。事前に多額の税金と有権者から与えられた時間がありながら、総選挙前の「ドタバタ」を理由とし、財源論の根幹となる増税案の検証が十分にできなかったという発言を行ったことは、同党の現在の国会政策責任者としてあまりにお粗末だ。
極め付けは「事後」検証という選挙公約に対する根本認識も指摘しておきたい。大前提として、日本維新の会は政権を取っていない。通常の場合、政策の事後検証とは政権奪取後に政府として政策執行された結果に対して行われるものだ。
しかし、足立康史国会議員団政調会長が指す「事」はそういうものではない。同氏が指した事後検証の「事」とは衆議院議員総選挙のことであることは自明だろう。つまり、「事」=「選挙」のことであり、選挙対策が終わったので「事」後と発言したと解釈しても良い。
実行されていない政策の検証は常に「事前検証」である。一体、選挙公約として2か月前までに事前検証して落としたものが、実は詳細な検証が済んでおらず、有権者に対して中途半端な自信の選挙公約を示して審判を受けたというのか。
これではかつての民主党政権が示して実行できなかった「マニフェスト」と何が違うのか。もちろん民主党にとっても政権を取るまでは「事後」の「事」は選挙のことだっただろう。
維新は足立氏を放置してよいのか?

選挙公約の遵守及び実行力を重んじる大阪維新の会から生まれたはずの、日本維新の会の国会政策責任者からこれほど不誠実な選挙公約に関する認識が示されたことに愕然とした。
筆者は前回の寄稿で「政策論」「運動論」という足立康史国会議員団団長の認識を問う文章を公表したが、同氏が投稿したTwitterのような日常の延長線上でメッセージを発信できるツールに投稿される言葉のちょっとした表現には「国会議員の本音」が漏れてしまうものだ。
今後、同党は毎年何十億円も受け取りながら、当日告知で集めた人々による深夜のTwitterスペースを重要政策の「事後検証」の場と称する国会政策責任者を責任あるポストに本当に置き続けるのか。これでは大阪維新の会も含めた同党の関係組織の政策が眉唾物に見えてしまうことも懸念される。
筆者は日本維新の会の選挙公約に共感して投票した1人の投票者として、同党の選挙公約に対する「認識の耐えられない軽さ」が是正されることを希望する。
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