成人式までコロナで中止……「2001年度生まれ」は「令和のロスジェネ」なのか

高校の卒業式は安倍政権の一斉休校、大学生活もオンライン...

10日の成人の日を目前に、新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受け、沖縄県、山口県の各市や広島市などが今年の成人式の延期や中止が続出。該当する自治体の新成人たちがネット上で次々に哀しみの声を挙げている。

作:39ちーちゃん/ Photo AC

人生に一回しかない大切な節目なんだよ おじさんたちは何不自由なく数十年前に開催できただろうに

成人式延期になったの悲しすぎる。

成人式延期はさすがに萎える。

成人式中止じゃなくて、延期が良かったあああああ!

ところで、今年、成人式を迎える2001年4月1日から2002年3月31日生まれまでのこの世代。多くの大人が経験してきている、青春のあらゆる行事を新型コロナウイルスによって根こそぎ奪われている。

大学入試も終わり、卒業までクラスメートたちと最後の思い出を作っているころであろう時期、新型コロナウイルスが日本で本格的に感染拡大を始めた。全国的な感染拡大を受け2月27日には、安倍首相(当時)が小中高校などの全国一斉休校を要請。高校の卒業式は相次いで中止となった。かろうじて卒業式を行えた高校でも、規模は縮小、内容は簡略化され卒業生たちが思い描いていたものとはほど遠かったろう。

4月に入っても状況は変わらないどころか悪化。進学を決めても多くの大学は、入学式を延期した。サークルの新入部員を獲得するために、入学式を終えた新入生を無数の先輩たちが待ち構える――。ほんの1年前までどこの大学でも繰り広げられていた光景だ。しかし、彼らにとってはドラマか映画でしか見たことのないものになってしまった。

新学期に入っても、大学には登校できない。ほとんどの大学はこの時期、全面的にオンライン授業に切り替えている。小中高校が分散登校を始めたころになっても、大学は大人数が一堂に会する機会が多いこともあってか、オンライン授業を継続し続けた。もちろん、サークル活動なんてできない。人と顔を合わせないのだから、大学で新しい友達などできるはずがない。

ようやく、新型コロナウイルスの新規感染者が落ち着きを見せ始めた昨年の秋ごろ。彼らは「成人式だけは普通にできる」と思ったのではないだろうか。ところが、今年を迎えると突如としてオミクロン株が猛威を振るう。昨年12月13日に7人だった東京都の新規感染者は、たった1カ月で1,200人を突破した。沖縄県では1,700人以上になった。新規感染者の急拡大により、急遽、今年の成人式の延期や中止を決めた自治体も少なくない。

「ロスジェネ」からコロナ世代へ

過去にも天変地異や戦争、経済危機により、本来謳歌できたはずの「青春」を奪われた世代はあった。近年でいえば、いまの40代が社会人生活をスタートした90年代〜2000年代初頭、バブル崩壊の煽りで日本経済が総崩れ。未曾有の就職氷河期に突入した。「ロスジェネ」と呼ばれた、この当時の世代の中には、一定の学歴がありながら、いまも非正規労働などで不安定な働き方を続けている人も多く、国の支援策も遅きに失している。

いま、おじさん、おばさんになったロスジェネの人たちは若い頃、目上の人から「若い頃の苦労は買ってでもしろ」と言われても「あなたの時代に存在しなかった余計な苦労を強いられたんですけど」と釈然としない思いをしたはずだ。だから、同じように、新成人の皆さんに軽々に「この経験を将来に生かして」などとは言うつもりはない。

ただ、振り返ってみると、ロスジェネの中でも苦労を重ねて、それまでのレールやシステムが壊れたところから、独自で道を切り拓いた人たちも少なくない。当時はインターネットの興隆期。一握りの成功事例かもしれないが、学歴がなくてもネットで起業して成功し、上場した人もいた。

昨年4月、本サイトの創刊時、作家の猪瀬直樹さんが述べていたが、コロナで止まった時間を生かし、自分自身の想像力を磨く機会は誰にでも与えられている。本サイトの編集部メンバーの多くがロスジェネ世代。皆さんよりは少しばかり長く生きてきた経験からに過ぎないが、人生そう悪いことばかりではないのは確かだ。「2001年度生まれ」は長い目で見れば全てを失うはずがない。

新成人の皆さんの門出を祝福するとともに、自ら力強く、そしてしたたかに1人ひとりが歩まれていけるよう応援している。

 
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