「敵基地攻撃能力」巡り、外務省大物OBと自民・長島氏がツイート論戦

「慎重な対応が必要」VS.「『専守防衛』墨守から転換」

先週7日に行われた日本とアメリカの外交・防衛担当閣僚協議(2プラス2)で、日本側が敵基地攻撃能力の保有を検討していると伝えたことを巡って、元外務審議官の田中均氏と、自民党・長島昭久衆院議員が週末にツイッター上で火花を散らした。

長島氏(自民党サイト)田中氏(RIETIサイト)

田中氏は小泉政権下の2001年、アジア大洋州局長として北朝鮮との秘密交渉の窓口となり、日朝首脳会談や拉致被害者の帰国を実現した実績で知られる。2005年に退官し、現在は大手シンクタンク、日本総合研究所の国際戦略研究所理事長を務めているが、近年は、韓国に強行姿勢を示した安倍政権について「日本の保守ナショナリズムの台頭」と論評するなど、政府の外交方針に批判的な論評をしている。

その田中氏が問題視したのが、政府が近年検討してきた敵基地攻撃能力の保有問題。7日に岸田政権発足後に初めて行われた「2プラス2」のオンライン会合で、日本が敵基地攻撃能力の保有を検討しているとアメリカ側に伝え、これを歓迎されたと報じられたが、田中氏は翌8日、ツイッターを更新。「頭から反対は出来ないが、敵ミサイル発射の瞬間をとらえることの困難性から、専守防衛を超え単に敵地に届くミサイルの保有となるのでは」との見方を示し、「米の中長距離ミサイル日本配備に道を開くのか。大戦略なければ軍拡となる。慎重な対応が必要では」と戒めるようにコメントした。

これに黙っていなかったのが長島氏。民主党時代、野田政権で防衛副大臣を務めるなど、永田町では外交・安全保障政策の論客で知られる。長島氏は田中氏のツイートを引用する形で、「ミサイル防衛システムの進化に加えて、我が国の「拒否的抑止」を強化する上で極めて重要な能力だと考えます」と真っ向から異論をぶつけた。さらに「相手国のミサイル攻撃能力が劇的に拡大している現状を直視し、半世紀も前に採用された『専守防衛』を墨守する姿勢は転換されるべきではないでしょうか」と、訴えかけた。

すると、その日の夜に田中氏は、長島氏のツイートに引用やリプライはしなかったものの、「敵基地攻撃能力についての私のツイートに長島昭久議員は半世紀も前の『専守防衛』を墨守する姿勢は転換さるべきとツイートされた」と反応。「私の主張も、なし崩し的ではなく、敵基地攻撃能力は専守防衛を超えるものとして憲法論議をされるべきだし、日米の役割分担も含め、正面から議論さるべきと言う事だ」と釘を刺すように反論。

長島氏は翌9日朝、これに返答し、「なし崩しは良くない、というのは仰る通りです。また、現実を直視せよ、といった突き放した言い方ではなかなか国民の皆さんにご理解いただけないのも事実だと思います」と応じた上で「積極的に国会内外の議論に参加して、真摯に説明を尽くしてまいります」と、敵基地攻撃能力保有の意義を訴える決意を示していた。

 

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