メタがマイクロソフトからAR技術者「引き抜き」で話題、日本はARで勝機あるか

GMOやソニー、楽天も求人しているが...
ライター/SAKISIRU編集部
  • マイクロソフトのAR(拡張現実)技術者100人が、メタ社に引き抜かれて話題に
  • 日本でもGMOやソニー、楽天などAR技術者の採用に力を入れている
  • しかし待遇面を見ると、「世界基準」は…

マイクロソフト社のAR(拡張現実)技術者約100人が、ここ1年ほどメタ・プラットフォームズ社(旧フェイスブック)に移籍していたことが話題になっている。ウォールストリートジャーナル(WSJ、電子版)が10日報じた。

gorodenkoff /iStock

報道によると、マイクロソフト社からメタ・プラットフォームズ社に引き抜かれたのは、ARヘッドセット「ホロレンズ」開発チームが中心。70人の開発チームのうち、すでに40人がメタ・プラットフォームズ社に移籍しているということだ。マイクロソフト社は、「従業員の自然減は多くのチームが恒常的に直面する課題であり、従業員の維持と必要に応じた新規採用に努めている」と述べているという。

メタ・プラットフォームズ社の人材獲得のあおりを受けているのは、マイクロソフト社だけではない。WSJによると、アップル社も人材を奪われているようだ。「ホロレンズ」は現在、世界最先端のARヘッドセットと言われており、開発ノウハウを持った技術者の人材獲得競争が世界のビッグプレイヤーの間で巻き起こっている。

日本でも、数年前からAR技術者を募集する会社は数多くあった。しかし、その多くは小規模な企業で、年収もいいところ500万円程度。一流のスキルを持った人材が集まるとは思えないものが大半だった。ただ、ここ最近、日本でも潮目が変わってきたようだ。大手企業が続々とAR技術者を募集しているのだ。

インターネットサービス大手のGMOインターネットは、AR技術者を募集しているが年収は最大1,000万円。ソニーも年収1,000万円以上を約束してAR技術者を募集している。年収は明らかになっていないが、楽天グループもAR技術者を募集している。また、フリーランスのエンジニア募集サイトでは、月収150万円を提示する企業も見られた。このサイトでのAR技術者の平均報酬は、月額80万円から100万円ほどだった。

metamorworks/iStock

日本企業はARで世界と戦えるか

とはいえ、世界基準と比べるとどうしても見劣りしてしまうのが現状だ。WSJの報道によれば、メタ社が引き抜きの際に提示している年収は、「(マイクロソフト時代の)時には2倍」。

移籍したAR技術者たちがマイクロソフト時代にいくらの報酬を得ていたのかは定かではないが、マイクロソフト社の平均年収は約3000万円といわれている。引き抜きの対象になるような一流の技術者だけに、当然、3000万円以上もらっているだろう。仮に年収が3000万円だとしても、メタ・プラットフォームズ社は6000万円を提示して引き抜いていることになる。公開求人の年収と引き抜きのそれとを一概に比べることはできないものの、表に出ている金額を比較する限りは、日本企業がとても太刀打ちできそうにない。

「アメリカだから」と見る向きもあるだろう。しかし、実は、場所を日本に移しても同じことが言えるのだ。ファーウェイ・ジャパンが、AR技術者に提示している年収は1500万円から2000万円。アメリカの電子製品企業、モレックスの日本法人がAR技術者に提示している年収は最大1200万円。中国・深圳に本社がある機械メーカー、AAC Technologiesの日本法人もAR技術者には年収1200万円を提示している。現状、GMOやソニーといった日本企業が想定している年収より1割から2割ほどの増額だ。

日本企業がARの世界で戦っていくには、当然、質の高い技術者が必須だ。質の高い技術者を迎え入れるには人材獲得競争で、世界の企業に打ち勝っていく必要がある。現状の待遇では、とても世界の企業と伍していくことができるとは思えないのだが、日本企業はAR技術者人材に、これからさらなる投資をしてくことができるだろうか。大方の予想は「無理だ」というものだろうが、果たして。

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