韓国の反発で、佐渡金山の世界遺産推薦を見送りへ。期待していた地元民はどう思った?
政府の言う「総合的に検討」とは何を検討したのか- 「佐渡金山」の世界文化遺産推薦に見送り報道が地元新潟に衝撃
- 佐渡の旅館業女性、本土と島を結ぶ唯一の航路、佐渡汽船…反応は?
- 佐渡市長や島出身の県知事らが苦言する国の「煮え切らない」態度とは
政府が、世界文化遺産の国内推薦候補に入っていた「佐渡金山」(新潟県佐渡市)のユネスコへの推薦を見送る可能性が20日強まり、地元・新潟県に衝撃が広がった。
佐渡金山は文化庁の文化審議会が既に推薦していたが、読売新聞がこの日の朝刊で、政府が、韓国の反発を受け、2023年のユネスコ世界遺産委員会で登録される見通しが立たないと判断した、と特報した。

コロナ禍にあえぐ島民の命綱が…
佐渡市在住で旅館業を営む50代の女性は、「もし本当ならガッカリです」と肩を落とす。
「コロナのせいでここ2年の売り上げは、良くて例年の40~50%。お客さんが数組なんて月もありました。年末にはコロナの新規感染者が減って、一瞬、光が見えたように感じましたがこのオミクロン株騒ぎでしょう? せめて、佐渡が世界遺産に登録されてくれれば先に望みも見えたのですが…」
地元報道を確認する限り、佐渡島民はもとより新潟県民の大半が佐渡の世界遺産登録を熱望している。なかでも、最も望んでいたのは佐渡汽船(新潟県佐渡市、尾崎弘明社長)かもしれない。同社は、佐渡と本土を行き来する唯一の手段である佐渡航路を運航している。佐渡島民の命綱ともいえる存在の同社だが、新型コロナウイルスの悪影響を直に受けている。

昨年9月28日に、佐渡市議会の全員協議会に出席した同社の尾崎弘明社長は経営状態について、「債務超過が解消されないと来年(編集部注:2022年、つまり今年)4月以降、佐渡航路の運営が困難になる」と述べている。
同社は新型コロナウイルスによる利用者減などで、2020年12月期に債務超過に陥っている。2021年第2四半期の経常損失は16億円超で、第3四半期の経常損失は17億円超。役員報酬や管理職の給与・賞与の減額、高速カーフェリーの売却、貨物運賃の改定など債務超過の解消に向けた取り組みは行っているが、その効果は微々たるものだろう。根本的には、利用者が増えなければ債務超過は解消されないと見られている。同社が利用者増の起爆剤として、佐渡の世界遺産登録に大きな期待を寄せていたことは明らかだ。
政府の言う「環境整備が不十分」とは何か?

また、政府は佐渡金山の世界遺産推薦見送りの理由を、「環境整備が不十分で登録の見通しが立たない」としている。これには、“愛国者”を自認する新潟市民(40代、男性)は次のように憤る。
「環境整備ってなんですかね?何の環境を整備すればいいのでしょうか?佐渡の環境でしょうか?佐渡の環境はもともと良いですよ。まさか韓国にお願いするための環境が整っていないなんて言いませんよね」
確かに、政府の発表では何の環境を整備する必要があるのかが見えてこない。環境が整っていないにも関わらず、なぜそもそも国内推薦の候補に選んだのかという疑問も湧いてくる。
佐渡市の渡辺竜五市長は推薦見送りの報道を受けて、20日に行われた記者会見で次のように指摘し、政府に説明を求める。
「もしそうなったとしたら、非常に問題だと思っていますし、(政府には)説明の方はしっかりと責任を果たしていただきたい」
佐渡市(旧・金井町)出身の新潟県の花角英世知事も、19日に行われた定例記者会見で次のように述べている。
「国内推薦の決定以来、政府は総合的に検討すると言ってきたが、何を検討しているのか。はっきり説明してもらいたい。国は佐渡の世界遺産登録を目指すと言っている。それは大変ありがたいが、そのためにはどういう進め方をしたら良いのかをはっきりさせてほしい」
一方、前新潟県知事で、衆議院議員の米山隆一氏の見方は前出の2人とは少し違うようだ。米山氏は20日、次のようにツイートしている。
「在任中関わった者として非常に残念ですが、一方推薦してユネスコで認められなかった場合傷は深く、外務省の情勢分析が正しいのであれば止むを得ない部分もあると思います。国際機関も政治であり、平素から人を送り、関係国と良好な関係を築いておくことが重要だという事です。」
米山氏の指摘も一理あると頷けるところはあるが、花角知事や渡辺市長が言うように、政府はせめて島民や新潟県民をはじめとした当事者に詳しい説明はするべきではないだろうか。
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