平将明衆院議員が自民党NFT特別担当に就任も、「規制のデザイン検討」発言でプチ炎上

イノベーションと適正なルールの両立できるか
ライター/SAKISIRU編集部
平将明衆院議員(副大臣時代の2019年撮影:内閣府サイトより)

自民党のデジタル社会推進本部は19日、同党ネットメディア局長で内閣府副大臣などを歴任した平将明衆院議員をNFT(非代替性トークン)特別担当に任命したと発表した。

ただ、平議員が、就任にあたってツイッターに「本日、平井卓也自民党デジタル社会推進本部長から、新たにNFT特別担当に指名されました。規制のデザインを検討していく」と投稿すると、多くのユーザーから鋭いツッコミが続出するなどちょっとした炎上を招く波乱も。

平氏のツイートには

早速、規制とは実に日本らしい

規制から始まるのではなく、推進から始まってほしい。

どうか「規制」からご検討されませんよう。よろしくお願いいたします。

規制じゃなくてイノベーションを起こして参りますだろうが。

批判や苛立ちを見せたのは仮想通貨やNFTユーザーが多いと見られるが、一方で、NFTはこのまま規制なしで広まっても良いのかというとそれは違う。NFTに詳しい弁護士などからは、現行のルールでは「第三者に対して権利侵害が主張できない」「出品されたプラットフォームでしか転売できない場合もある」など、消費者を守れているとは言い難い課題も指摘される。同一作品が複数NFT化される詐欺にも対応できないと考えられている。

新経済連盟(代表理事:三木谷浩史・楽天グループ会長兼社長)もNFTの規制に関する提言をしている。新経連が昨年10月28日に牧島デジタル相ら関係3閣僚に提出したブロックチェーンの国家戦略化に向けた提言では次のように指摘し、法的な位置付けや現在はあいまいになっているルールの整備を要求した(関連記事はこちら)。

NFTが表章する価値や権利について法制度上の扱いを整理し、ユースケースや生じうるリスクを類型化の上、関連規制への該当性をガイドラインなどで明示すべき。

Vertigo3d /iStock

度重なる規制でシェア低下のビットコイン

NFTの規制を考えるうえで参考になるのが、暗号資産(仮想通貨)の規制だ。意外に思う人もいるかもしれないが、実は日本は数年前まで暗号資産大国だった。暗号資産専門の情報サイト「CryptoCompare」の調査によると、2018年3月時点で円建てのビットコイン取引高は全体の約50%に上っていた。

ところが、度重なる規制強化によって、ビットコインの円建て取引高シェアは徐々に低下。昨年の時点では、シェアは6%程度にまで落ち込んでいる。暗号資産取引所「Kraken Japan」代表の千野剛司氏は日本の暗号資産規制の問題点について、テクノロジー専門メディア「TechCrunch Japan」に寄稿した論文で次のように指摘する(太字は筆者)。

日本では資金決済法で暗号資産の定義がきっちりと決められているため、定義に当てはまらない場合は、たとえイノベーションとして世界を変えるほどのプロダクトであっても、いくら海外で暗号資産として流通していても、日本国内ではそれが認められません。「やって良いこと」を毎回事前に決めてしまう日本の法律と規制は、イノベーションを進めるという観点からは難点が多いのではないかと感じています。

新経連も同様の認識のようで、前出の提言でNFTの法制度や政策について次のように指摘する。

「紙面・対面・中央集権」を前提としたレガシーな法制度によって、BC(編集部注:ブロックチェーン)の技術中立性が担保されない事態が生じている。NFT一元的な相談窓口を設置し、「まずやってみる」という事業者の挑戦を許容する政策スタンスのもと、事業環境を整備すべき。

なお、平氏はその後、次のように釈明している。

いろいろコメントあるけど、基本線は成長戦略。スタートアップや人材が海外に流出する今の環境を改める。投資を呼び込む。税制改正の提言も視野。自民党デジタル社会推進本部にPTを作りスピード感をもって検討を進めます。

衰退する産業が多い日本において、NFTは数少ない成長産業となり得るポテンシャルを秘めている。イノベーションと適正なルールの両立を目指したうえで、暗号資産の二の舞にだけはならないようにしてもらいたいものだ。

【編集部より:1/24 訂正】当初のタイトルの発言部分「規制していく」は不適切なものでした。お詫びするとともに訂正します。

 
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