「デキる営業」は、直感を信じて決断する。言い訳の前にやることは?

尾藤克之「週末ライブラリー」第3回
コラムニスト/著述家/明治大学客員研究員
  • 大学生の就活で不人気な営業。有名PR会社の女性創業者が営業の極意を語る
  • 苦しい時は「できない言い訳」になりがち。できる理由を考えて腹を括れ
  • 「絶対に売る」覚悟を持つ。自分を信じて行動し、決断していく

皆さまは営業活動と聞いてなにを思い浮かべますか。営業活動とは自社の商品やサービスを顧客に売り収益を上げるための一連のプロセスのことを指します。しかし、いまの大学生の就活で営業職は不人気とされています。「営業だけはやりたくない」という声も強く聞かれます。

今回は、東証1部にも上場するPR会社サニーサイドアップの創業者で、一般社団法人おせっかい協会会長の高橋恵さんの『営業の神さまが笑うとき』(秀和システム)を紹介します

taa22/iStock

いまの営業マンは言い訳だらけ

いま、社内で営業ミーティングが行われています。今日は、社長を交えた営業報告会です。上司からは「頼むから僕に恥をかかさないでくれよ。社長が喜ぶような報告を期待しているぞ!」と注文が入りました。あなたは、実際より水増しした計画と見込みを報告します。しかし、最終的には、コロナ禍の影響もあり、当初計画には遠く及ばない結果に終わりました。

社長が緊急ミーティングを招集しました。営業マンからは様々な意見が出されます。

「コロナの影響で、お客さまの方針が変わってしまった」、「コロナが無ければ受注できていたはず」、「いまは無理です!景気回復を待つしかありません」….etc。

しかし、このような言い訳をしている間に会社は潰れてしまうかもしれません。高橋さんは最近の営業マンの傾向を次のように分析します(太字は筆者)。

(高橋さん)これってすべて『できない言い訳』ばかりですよね。私が思うに、できると思ったら、人間はなんだってできます。『○○だからできない』という言い訳を先に持ってくるからできないだけ。考えなければいけないのは『できる理由』です。どうすればできるのか、それを考えるクセをつけましょう。

(同)私の場合、自分が『今日絶対に売る!』と決めたら、片道の新幹線の切符しか持たずに出張先に向かっていました。もちろん、お金もカードも持っていきません。何が何でも売って、お金を持って帰るぞと腹をくくり、決意どおりに売り切りました。そうしないと、帰れないので仕方ありません(笑)

いまの若い人たちこのような話を聞かせると反論するでしょう。「そんな昭和の考えは通じない」、「ブラック企業みたいだ」と。しかし、高橋さんは次のように続けます(太字は筆者)。

(高橋さん)でも、『絶対に売る』と、強く心に刻むことはできるはずです。背水の陣で臨むからこそ、『こういう言い方はどうだろう』、『もっとこうしたら印象に残るのでは』というアイデアがどんどんあふれ出してきます。私が車で営業エリアを回っていたとき、『せっかく営業に来ているのに、ただ営業先の駐車場やコインパーキングに車を停めておくのは、本当にもったいない』と思い立ったことがありました。

(同)「車を広告代わりにすれば、お客さまのほうから私を見つけてやってきてくれます。そこで、さっそく名刺と営業用のパンフレットをクリアファイルに入れ、『ご自由にお取りください。興味がおありの方はご連絡ください』と油性マジックで書いた紙と一緒に、車のワイパーに挟んでおいたのです。数時間で戻ると、名刺とパンフレットが減っていることがあり、実際にセールスにつながったこともあります。

直感を信じて決断すると成功する

行動することでなにが養われるのか。それは直感力です。「あ、この商談いけそうだな」「根拠はないけど次につながりそうだ」など、経験の積み重ねから、瞬時に感じ取れるものがあります。こうした直感力を身につけるには、「ひたすら行動するしかない」と高橋さんは言います。

(高橋さん)「じつは人間には、もともとかなり精度の高い直感力が備わっているそうです。シカゴ大学のレヴィット博士(Steven D. Levitt)は、『コイン投げサイト』と呼ばれるウェブサイトをつくりました。閲覧者が『いま決めかねていること』を書き込んだうえで、画面上のコインを投げ、表が出たら「実行」、裏が出たら「実行しない」というメッセージが表示されます。

(同)「書き込まれた悩みで最も多かったのは『いまの仕事を辞めるべきかどうか』で、次に多かったのが『離婚すべきかどうか』でした。そして、63%もの人が、コイン投げの結果にしたがって行動しました。 さらに、コインの裏表にかかわらず、悩みの解決に向かって何かしらの行動を起こした人は、半年後の幸福度が高いこともわかりました。

つまり、本当に大切だったのは、「やる」か「やらないか」のどちらを選ぶかではなく、自分を信じて「やる、やらないを決断する」ことなのです。直感にしたがって決断すれば失敗はしないということです。

metamorworks/iStock

まずは行動して動いてみること

決断に自信が持てないという人は、経験に裏打ちされた確信が得られるまで、とにかく行動し、経験を積み重ねていくしかありません。意思決定をして「決める」ことが大切です。腹をくくることが、その後の結果に大きな影響を与えるからです。なかなか決められない人は期限を区切るといいでしょう。

行動するまえに、リスクの高さだとか、忙しさを言い訳にしていませんか。前進するために決断を大切にしてみてください。どう転んだって、結局はどうにかなるのが人生というものです。

また、リモートワークが浸透してきたとはいえ、対面折衝がなくなるわけではありません。この機会に営業スタンスを棚卸ししてみましょう。新たな気付きがあるかもしれません。

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コラムニスト/著述家/明治大学客員研究員

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