グレイステクノロジーが上場廃止、粉飾決算に問われる監査法人の責任

東芝、オリンパス、ゴーン日産を手がけたあの会社
ライター/SAKISIRU編集部

上場廃止基準に該当する可能性のある「管理銘柄」に指定されていた東証一部上場企業のグレイステクノロジーの上場廃止が、27日決定した。

同社は、昨年11月に過去の四半期報告書に不正があったと発表。特別調査委員会を設置して調査を進め、1月17日までに2021年7~9月期の四半期報告書を提出するとしていた。

かつてグレイステクノロジーはCMキャラクターに滝川クリステルさんを起用(同社CM動画より)

しかし、14日に期日までに四半期報告書を提出できない見込みであることを発表。これを受けて東証は「管理銘柄」に指定していた。東証は、同社株について次のようにアナウンスした。

同社が四半期報告書を、延長承認を受けた法定提出期限の経過後、休業日を除き8日目の日までに提出しなかった場合、当取引所は同社株式の上場廃止を決定します。

休業日を除き8日目の日が、今日、27日というわけだ。

1株4235円が58円に

2020年12月に1株4235円の値を付けていたグレイステクノロジー株は、昨年4月からの2021年度期に入ってから徐々に価格を下げていく。6月には1500円~1600円を行き来するようになり、秋には1000円程度まで落ち込んでいた。

過去の四半期報告書に不正があったと発表した11月以降は300円~400円台で推移。今年に入ってからは100円を切っていた。上場廃止前日の26日の株価は58円(終値)だったが、上場廃止によって市場での売買は行えなくなる。投資家にとっては、何の価値もないものとなってしまった。

「経営努力は精一杯やったものの、力が及ばず経営不振になってしまった」ということであれば、投資家も「それなら仕方がない」と思うかもしれない。しかし、同社の株価が大暴落し、そして上場廃止になった原因は粉飾決算だ。

※画像はイメージです(Olena_T /iStock)

同社の報告書によると、2021年度は、約18億円と報告していた売り上げの半分以上にあたる9.9億円が架空売り上げだったという。これでは、投資家が「ふざけるな!」という気持ちになってしまっても不思議はない。

ただ、株取引には「自己責任原則」が適用されるため、粉飾決算があったからと言って損失の全額を同社に請求できるかどうかは不透明だ。そもそも、損害賠償を支払えるだけの資産が同社に残されていない可能性もあるだろう。しかし、少しでも取り戻そうと、あるいは「グレイステクノロジーだけは許せない」との思いからか、株主代表訴訟の動きも一部で見られている。

監査法人の責任は?

もちろん、同社は訴えられてしかるべきだし、株主に対して誠実に対応していく必要がある。しかし、この粉飾決算の責任が追及されるのは同社だけではないだろう。同社と同等とまではいかないまでも一定の責任を取る必要があるのが、監査法人だ。監査法人には、取引企業の財務諸表の信頼性を担保するという重い責務がある。財務諸表の信頼性を担保することで、企業は初めて投資家から安心して投資してもらえる。そのために企業は高い監査報酬を支払っているのだ。

EY新日本のロゴ(Wikimedia)

グレイステクノロジーの監査法人は、EY新日本有限責任監査法人。グレイステクノロジーの有価証券報告書には「全ての重要な点において適正に表示しているものと認める」とのEY新日本の監査意見が付けられている。EY新日本は、トーマツ、あずさ、PwCあらたと並び、日本の4大監査法人と言われているが、過去にも粉飾決算を見抜けなかったことで行政指導を受けている。

東芝オリンパスカルロス・ゴーン氏時代の日産。いずれも粉飾決算事件を起こしているが、この3社の事件時の監査法人はともにEY新日本だ。EY新日本は、なぜ粉飾決算が見抜けれなかったのかの説明を最低限、株主に対しては行うべきだと思うが、どうするか。EY新日本に新たな行政処分が科されるのかどうかを含め、しばらくの間、注目したい。

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