ゲームセンターから「セガ」の名前が消滅、「ゲーセンはオワコン」説は本当か?

コロナ、スマホの“Wパンチ”説を調べてみると...
ライター/SAKISIRU編集部
  • GENDAが28日、セガグループからのゲームセンター事業買収発表
  • コロナの影響やスマホゲームの普及でゲーセンのオワコン説がある
  • 実際に各企業の決算や市場調査を見てみると…

ゲームセンターなどのアミューズメント施設の運営を手掛けるGENDA(東京都大田区、申 真衣社長)は28日、GENDA SEGA Entertainment(東京都大田区、上野聖社長)の全株式を取得したと発表した。GENDA SEGA Entertainmentは、以前はセガ エンタテインメントとして知られていた会社だ。セガグループは新型コロナウイルスなどで業績が悪化したことなどで、2020年に株式の85.1%をGENDAに譲渡していた。

ゲームセンターから「セガ」の名称が消えるが…(tupungato /iStock)

今回、GENDAはセガグループが保有する残りの14.9%の株式を取得したことで、社名はGENDA GiGO Entertainmentに変更されることになる。セガグループは、ゲームセンター事業から完全撤退する。一時はゲームセンターの代名詞だった「セガ」の名称はゲームセンターから消えることになる。

このニュースに、ツイッターでは次のようなコメントが寄せられている。

家庭ゲームよりアーケード派の人からしたら、ゲーセンの衰退は一抹の寂しさを感じるな…

時代の流れといえばそれまでだけど、ゲーセン文化が衰退するのは悲しいねぇ

スマホゲームの普及で、ゲーセンもどんどん衰退していくね…

ゲーセンの衰退は時代とは言え悲しいなぁ。

しかし、ツイートにあるように本当にゲームセンター業界は衰退しているのかと言えば、それは違うようだ。

アミューズメント業界大手のタイトーの2021年度3月期の売上高は、352億円。前期と比べると23.0%の減少となったが、これは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う国内店舗の臨時休業によるところが大きい。

新型コロナウイルス以前の2019年度~2020年度は450億円ほどの売上高を記録していた。タイトーが長期に渡って低迷していた事実はない。むしろ、2013年3月期~2014年3月期はともに450億円以上の売上高で、2016年3月期には400億円を切っていたため、コロナ前まではV字回復をしていた。

Tuayai /iStock

スマホの普及で凋落したのは本当か?

スマートフォンの普及により、ゲームセンターが凋落した――。よく聞かれる意見だが、これも本当にそうなのだろうか。矢野経済研究所の調査によると、国内スマホゲームの市場規模は2015年が9250億円。2018年には1兆円を超えた。その後も市場規模は拡大の一途をたどっている

タイトーの2015年3月期の売上高は約400億円、その後の3年間は380億円前後で推移し、2019年3月期に450億円と売上高を大きく伸ばしている。スマホゲームがゲームセンター凋落の主因であるならば、ゲームセンター業界のトップ企業であるタイトーの売上高推移の説明がつかない。

そして何より、意外に思う人も多いかもしれないが、ゲームセンター業界の市場規模自体が年々拡大しているのだ。日本生産性本部が発行する「レジャー白書2020」によると、2014年に4222億円だったゲームセンターの市場規模は、年間100億から200億円の規模拡大を続け、2019年の市場規模は5408億円だ。

タイトー岩木克彦社長は、出演したラジオ番組で次のように語っている。

「あらゆる世代の遊びが好きな人を対象としたエンターテインメントの体験空間を進化させていって、お客様に提供していく。タイトーという会社は未来永劫、これをやっていきます」

1993年には全国に8万7294店舗あったゲームセンターは、2017年には1万3103店舗にまで減少している。確かに、小規模な店舗を中心に、ゲームセンターの数自体は少なくはなってはいるが、ゲームセンターがまったくなくなるという心配はしなくても良いだろう。

 

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