学級閉鎖・休園続出、ブースター接種の遅れは…オミクロン株の現状と今後

国によって異なる子供のワクチン接種対応
医学博士、医療ジャーナリスト
  • オミクロン株の現状と今後。重症者率は高くないが医療逼迫
  • 「OECD諸国中最下位」とされる日本のブースター接種の現状は?
  • 子どもへの接種は?国によって異なる子供のワクチン接種対応

今月に入り、感染者は急増し、オミクロン株は猛威を振るっている。その一方で、ワクチンの3回目接種が各自治体で進められており、先日、5〜11歳の小児にも、ワクチンが承認された。新型コロナウイルスに関して、わたしたちができることは、感染対策と、順番がきたらワクチンの3回目接種を受けることだが、ここで、現状と今後について考えてみたい。

maruco /iStock

「オミクロン株」重症者の割合は?

現在、国内の新型コロナウイルス感染は、デルタ株からオミクロン株への置換が進んでいる。オミクロン株は、デルタ株よりも実効再生産数が高い、つまり、感染が広がりやすいと考えられている。

1月26日の厚生労働省アドバイザリーボード(1)の資料によると、新規陽性者数は顕著に増加している。重症者の割合はまだそれほど高くはなく、現状では、ICUが新型コロナウイルス感染者で占められている状態ではない。

しかし、第5波までを見ても、感染者の増加と重症者の割合は、増えるのにタイムラグがあり、現状で重症化率が低いからと言って、余談を許さない状況と言えるだろう。同資料では、沖縄、和歌山などで病床利用率が高く、医療提供体制が逼迫している。

厚生労働省アドバイザリーボード提出資料

ブースター接種、日本はあまり進んでいない?

CDCは、26日に、ワクチン2回の効果は、オミクロン株でデルタ株よりも低下しているとが、3回目の接種は、デルタ株のみならず、オミクロン株でも、9割以上の入院予防効果があると報告した2

日本のブースター接種は、OECD諸国中最下位」と言われているが、現状についてみていきたい。

当初、ブースター接種は、2回目を接種して8か月経過後と設定されたが、その後、医療従事者や施設従事者・施設入所者は2か月前倒し、高齢者に関しては、1か月前倒しの方針となり、2月中は、医療従事者・高齢者施設入所者は6ヶ月経過後、65歳以上の高齢者は7ヶ月経過後と定められ、3月からは、65歳以上が6か月、64歳以下も7か月経過後となった(3)

現状では、ブースター接種に使われたワクチンは8割がファイザーで、これは、現在までに接種の終わっている医療従事者や、高齢者の接種の1,2回目が、ファイザーだったことにも起因している。厚生労働省は、1,2回目と異なった種類のワクチンを接種する交互接種も認めているが、多くは、前回と同様のワクチンを希望しているようだ。岸田首相は、ワクチン接種のスピードを上げるために、3回目の接種でモデルナを積極的に打つように推奨した(4)

沖縄県のデータによると、ワクチン回数別・年齢階級別入院率を見ると、やはり高齢者、未接種者で割合が高くなっている

ワクチン接種回数別・年齢階級別入院受療率(沖縄県)

厚生労働省アドバイザリーボード高山善浩氏提出資料

学級閉鎖続出、子供のワクチンは?

現在、新型コロナウイルス感染による学級閉鎖や幼稚園・保育園の休園が続出し、働いている親にとっては、気が気ではないかもしれない。保育施設や、病院などでの感染も続出している。

1月26日の、厚生労働省のアドバイザリーボードによると、新規感染者数は、20代以下を中心に増加しているが、20歳代の割合は減少し、10歳未満の増加が見られる。この年代はまだワクチンが未接種なので、その影響が大きいと思われる。

また、先日、厚生労働省が5〜11歳の子供のワクチン接種を承認した。これまでは12歳以上だったが、11歳以下も受けられることになる。

子供にワクチンを受けさせるべきかどうかということに対しては、子供は依然として、感染しても重症化する可能性が非常に低いことから、議論がある。尾見会長は、「義務より希望者を原則に」というコメントを出している。

PonyWang /iStock

国によっても、子供の接種に対する姿勢は異なる。例えば、アメリカでは、5歳以上に接種を推奨しているが、アメリカと日本では、小児のコロナ感染者数がそもそも異なっており、また、肥満などのあるハイリスクな小児の割合も異なる。

また、ドイツでは、デメリットよりもメリットが上回ることが明確ではないとして、5〜12歳へのワクチン接種を推奨していない。小児で比較的重症化しやすいのは4歳以下の低年齢児だが、ファイザーは、生後6ヶ月〜4歳は2回接種で十分な免疫応答が得られなかったとし、3回接種の治験を行うと発表した(5)

日本小児科学会は、19日にワクチンに対するコメントを出し(6)、基礎疾患のある児はワクチン接種による重症化予防が期待され、それ以外の、5〜11歳に関しては、周囲の大人がワクチンをしっかり接種するとともに、養育者がメリットとデメリットの判断をすることが必要だとした。

学校などで、接種の有無による、同調圧力によるいじめなどが起こらないかには注意を払う必要があるだろう。また、「感染を終わらせるためには、子どもが打たなければならない」というような考え方をしないことが、現時点では求められそうだ。

厚生労働省アドバイザリーボード提出資料

「ワクチン・検査パッケージ」新たなプラン必要

ワクチン2回接種あるいは検査陰性を証明すれば、大規模イベントなどに参加できる「ワクチン・検査パッケージ」だが、感染の拡大を受けて、自治体は相次いで停止した。ワクチン2回接種後も、オミクロン株のブレイクスルー感染が報告されていることから、ブースター接種を条件に入れた、新たなパッケージを作る必要があるのではないだろうか。

参考資料
(1) 第69回新型コロナウイルス対策アドバイザリーボード
(2) CDC
(3) 厚生労働省
(4) 時事通信「岸田首相、モデルナ推奨 3回目接種加速へメッセージ―新型コロナ」(1月26日)
(5) Reuters「Pfizer says pandemic could extend to 2024, vaccine data for younger children delayed」(21年12月27日)
(6) 日本小児科学会「5~11歳小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方」(1月19日)

医学博士、医療ジャーナリスト

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