文科省「小中高の図書館に新聞の複数紙配備」に190億円投入、疑問の声続出

佐々木俊尚氏「今さらそこに予算を投下するのか」

文部科学省がこのほど策定した2022年度から5か年に渡る学校図書館の整備計画で、複数の紙の新聞を配備するよう求めたことに、ツイッターではメディアに詳しいインフルエンサーや国会議員らから懐疑的な意見が相次いでいる。

画像:ゆるまる/PhotoAC

文科省は、公立の小中学校などを対象に、新しい情報を掲載した図書への買い替えなど、児童生徒の情報環境の整備を目的に、1993年から5年ごとに「学校図書館図書整備5か年計画」を策定している。24日に発表された「第6次計画」では、計画的な図書の更新などとともに、新聞の複数紙配備が明記された。その理由として計画では、「選挙権年齢の 18 歳以上への引下げや、成年年齢の 18 歳への引下げに伴い、児童生徒が主体的に主権者として必要な資質・能力を身につけることの重要性」を挙げている。

学校図書館に新聞紙を配備するのは今回が初めてではないが、2017〜21年度の現行計画では、財政措置として5年総額で150億円が計上されたが、今回の計画では、5年総額で190億円に増額された。

日本新聞協会に加盟する全国紙、地方紙の発行部数は2021年が約3300万部。前回の整備計画の初年度となる2017年度は約4200万部と、この5年で1000万部近くも減らした。新聞業界は生き残り策の一つとして、NIE(Newspaper in Education、教育に新聞を)キャンペーンを長年掲げており、近年は主権者教育の一環として、文科省に働きかけてきたが、今回の予算増額は“ロビイング”が奏功した格好だ。

しかし、DXの潮流にあって、衰退著しい紙の新聞購入に税金を投入することにメディア関係者からも疑問も尽きない。

数々のベストセラー書籍を手がける幻冬舎の名物編集者、箕輪厚介氏はツイッターで「頭おかしいんかい!誰が紙の新聞読むんだよ。税金の無駄遣いすぎ」と辛辣に評した。

日本維新の会の沢田良衆院議員(比例北関東)は、前述の箕輪氏のツイートを引用する形で、「そもそもギガスクール(タブレット一人一台)時代に190億円もかけて新聞を図書室に置く理由が無い。 更に、進むペーパーレス化、生き残りをかけ紙業界全体が切磋琢磨している中、一部にだけ190億円もの税金を投入する事で市場原理をも歪める。 税金使って足を引っ張る最悪の例」と厳しく指摘した。

沢田氏も触れているように、ギガスクールなどのDXの推進が求められる中で、学校図書館が情報リテラシーの育成に、紙にこだわることへの疑問は特に強い。

元毎日新聞記者で、ジャーナリストの佐々木俊尚氏はツイッターで「極端化してる新聞が多いので複数読めるようにするのは悪くないとは思いますが、今さらそこに予算を投下するのかあという感。良質なウェブメディア読む訓練取り入れたほうがいいんじゃないかな」との見方を示していた。

元LINE執行役員で、『MEDIA MAKERS』などの著書がある田端信太郎氏は「こんなお金あるなら、小中高生にタブレット配る費用の足しにしたら?」とコメント。

経済産業研究所の中田大悟上席研究員も「こんなの紙の新聞を置くんじゃなくて、児童生徒の手持ちの端末から主要メディアの電子版に自由にアクセスできるような契約にしてあげれば良いことなんじゃないですか。時代の要請はDXなんですよね?」と疑問視していた。

 

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