ヤフーが欧州でのサービス終了を発表、高額な制裁金が科されるGDPRが理由か

新体制が直面するグローバル対応
ライター/SAKISIRU編集部
  • Yahoo! JAPANが英国やEU圏内でのサービス終了発表
  • 終了の詳しい理由を明らかにしてないが、データ保護規則(GDPR)が背景か
  • グーグルが制裁金を課されたGDPRとは?ヤフー新体制が直面する世界展開の課題
Current logo of Yahoo! Japan /Wikimedia public domain

検索サイト大手の「Yahoo! JAPAN(ヤフージャパン)」を運営するヤフー(東京・紀尾井町、川邊健太郎社長)は1日、欧州経済領域(EEA)とイギリスでのYahoo! JAPANのサービスを4月6日で終了すると発表した。4月6日午前11時以降、対象地域からはYahoo! JAPANが提供するサービスが利用できなくなる。

Yahoo!メールやYahoo!カード、ebookjapanについては、ユーザーへの影響などを考慮し、サービスは継続される。同社では、有料サービスに登録している場合、4月の利用料金が発生する前に停止や解約などをするように呼び掛けている。

グーグルに科された62億円の制裁金

cnythzl /iStock

ヤフーは、EEAとイギリスでのサービス終了の理由について、「サービス利用いただける環境を継続的に提供することが困難になったためです」としただけで、具体的な理由は明らかにしていない。しかし、ネットでは発表直後から、2018年5月にEUで施行された「EU一般データ保護規則(GDPR)」が背景にあると見る向きが強い。

GDPRは、EEA域内で企業が取得した氏名やメールアドレス、クレジットカード番号などの個人情報を域外に移転することを原則禁止するという法律。違反すると高額な制裁金が科される。実際にグーグルは2019年1月、GDPRに違反したとして5000万ユーロ(約62億円)の制裁金が科された。アパレルメーカー大手のH&Mも、2020年に3525万ユーロ(約45億円)の制裁金が科されている。

GDPRへの対応が間に合わなかったのか、莫大な制裁金のリスクを回避するためか、あるいは費用対効果が見合わないと判断したのか――。いずれにしても、ヤフーがEEAとイギリスでのサービス終了を決めた理由の一つに、GDPRが関係していることは間違いなさそうだ。

今後のグローバル戦略は?

ヤフーはこれに先立つ前日の1月31日、4月1日からの新経営執行体制への移行と、小澤隆生取締役専務執行役員(COO)の代表取締役社長就任を発表したばかりだった。2019年にはコミュニケーションアプリ「LINE」を運営するラインと経営統合しているが、その狙いはアップルやグーグルなどのいわゆる「ビッグ・テック」への対抗だった。

経営統合にあたっての記者会見では、ヤフーの川邊社長が「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニーを目指す」と述べていた。検索サービス「Yahoo!」の日本におけるシェア率は20%ほどで、グーグルに次いで2位につけている。しかし、世界シェアはわずか1.5%。対して、グーグルのシェア率は92%と、世界的には「グーグル1強時代」が長く続く。

ヤフーのグローバル化への課題は以前から指摘されていたが、今回のEEAとイギリスでのサービス終了により、改めてその課題が浮き彫りになった格好だ。今後、小澤新体制のもと、どのようなグローバル戦略を取っていくか。それとも、グローバル企業への道を諦めてしまうのだろうか。

 
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