テスラが決済見送り…ビットコインはオワコン化するのか?

次の候補は日本の「柴犬コイン」!?
ジャーナリスト
  • テスラが国レベルの環境負荷の高いビットコイン決済は見送り。
  • 次の候補は日本に実在する柴犬コイン?注目のドージコインとは
  • テスラは資産としてビットコイン保有継続。背景を藤巻氏が解説
イーロン・マスク氏(Steve Jurvetson/flickr CC BY 2.0)

ビットコインでテスラの支払いができる--今年2月にそう発表したかばりのテスラが突如、5月13日ビットコイン決済による購入手続きを中止すると発表した。

突然の方針変換には何があったのか。ビットコイン決済をやめた理由についてイーロン・マスク氏は、ビットコインの今以上の普及により化石燃料の使用が増えることを懸念したためとしている。

「暗号通貨はいいアイデアであり、将来性もあると考えていますが、環境に大きな負担をかけることはできません」

この発言によって、イーロン・マスクのツイートでビットコインは一時5万ドルを割れた。

“エコじゃない”ビットコインに懸念集まる

テスラのビットコイン決済に関しては、発表以降、環境負荷の点で批判があった。テスラ株を保有する投資家からも「マイニングによって生じる二酸化炭素の排出量について懸念している」との声があった。

また、ビットコインのエネルギーを追跡するサイト「DIGICONOMIST」の試算によれば、「2021年の初めにビットコイン価格が記録的な高騰を遂げた結果、ビットコインは世界中すべてのデータセンターと同じくらいのエネルギーを消費している可能性がある」とも指摘されていた。

ビットコイン推進派からは、「ビットコインで使われている電力の大半は四川省の水力発電の余剰電力など再生可能エネルギー由来のものだ」などといった反論もあったが、こうした試算は調査によってバラツキがあり、はっきりとはしていない。少なくとも、ビットコインの生成に化石燃料が使われていることは事実であり、それは次世代自動車のブランディングにマイナスイメージを与えることは間違いないだろう。これに加え、ESG投資など環境負荷に配慮する時代の要請は無視できなかったのだろう。

narcisa/iStock

ビットコインの代わりは柴犬コイン!?

とはいえ、イーロンマスクは決済に仮想通貨を使うことを諦めているわけでないようだ。「マイニングがより持続可能なものになった際には、ビットコインを取引に使うつもりですし、ビットコインのエネルギー取引量の1%以下の暗号通貨も検討しています」とツイートしている。ビットコインは暗号通貨の最古参。知名度はあるものの、後で生まれた通貨と比べれば技術的にも省エネ力も劣る。ビットコイン後の仮想通貨は、無駄な電力消費を抑えられるようになっているものも多い。

イーロン・マスクが示唆する”ビットコインエネルギーの1%以下の仮想通貨”とは何なのかさっそく注目を浴びているが、同氏は11日「ドージコインという通貨で決済するのはどうか?」と、ツイッターでアンケートを取っている。このドージコインの電力消費量はビットコインの1%以下なのである。アンケートまでとるところをみると、決済通貨として本気で候補に入れているのだろう。

KAT_TAKA/iStock

このドージコインといえば、2013年に生まれたジョーク系コイン。日本に実在する動物愛護センターで殺処分直前だったところ里親に引き取られた柴犬の「かぼすちゃん」をモデルとした可愛らしいミーム(キャラクター)が日本の2チャンネルに相当する4 chanで人気がでた。

オタク志向のイーロン・マスクのお気に入りコインとしてたびたび発言したことで、このジョーク系コインが年初から100倍になるなど高騰が続いている。テスラがこれを購入通貨として採用すれば、冗談が本気となり、柴犬のコインが将来世界の通貨になる可能性もまさかではなくなるのかもしれない。

ビットコインの資産価値

テスラはビットコイン決済こそ見送ったものの、相変わらず企業の資産にビットコインを組み入れたままだ。1割ほど春に売却したが、市場の流動性を確かめるために実験的にやってみたことだとしている。イーロン・マスク自身も、個人資産のビットコインの売却はせず保有しているという。

同社財務担当のカークホーン氏は4月26日の決算説明会で「ビットコインの企業財務への受け入れは正解だった」とも語っている

「企業財務の観点からも、ビットコインのすぐに現金化出来る流動性の高さに満足している。特にテキサス州オースティンとベルリンに新設した工場の稼働を控え、半導体や港のキャパシティに不安がある中で、すぐに現金にアクセス出来ることは、今の私達にとって非常に重要なのです」(カークホーン氏)。

経済評論家の藤巻健史氏が解説する。

日本にいると分かりづらいですが、国際取引だと国をまたいだ取引通貨が必要なのです。中央銀行が発行するCBDCのようなデジタル通貨はあくまで国の通貨がデジタル化されるだけで、国際的な決済はどこまでいってもできない。ビットコインのような仮想通貨の国を超えた取引通貨が必ず必要になってくるのです」

さらに藤巻氏が指摘するのが世界的な経済大変動のシナリオだ。
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